ささやかな世論〜出版社への著作隣接権付与をめぐるアンケート結果

既にご存じの方も多いかもしれないが、先日、当ブログでご紹介した*1産経ニュースサイトでの「出版社(出版者)に対する著作隣接権付与(創設)」をめぐる「eアンケート」の結果が公表されている。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130110/trd13011021310020-n1.htm

「大学は多すぎるか?」とか「首相公選制の是非」といったポピュラーなテーマの時は2500〜3000人くらいの回答者数を誇るこのアンケート企画だが、出版社の著作隣接権、というテーマはマイナーに過ぎたのか、回答者数は僅か402人にとどまっている*2

だが、さすが、このテーマに関心を持っている人々が回答者になっているだけあって、結果には明らかな傾向が出ている。

(1)著作隣接権海賊版防止効果が期待できるか 
23%←YES NO→77%
(2)電子書籍市場の拡大に役立つか
18%←YES NO→82%
(3)作家や漫画家ら著作権者に不利に働く可能性はあるか
80%←YES NO→20%

個人的には、最も答え方が微妙だなぁ、と思っていた「著作隣接権海賊版防止効果が期待できるか?」という問いに対してすら、「No」が77%にも上っているところからすると、熱心なネットユーザーは、おそらく、この提案に対してかなり不満を抱いているのだろう。

もちろん、このアンケートの結果をもって、「日本国民の約8割が反対している」などというつもりはないし、質問の前提に関する丁寧な説明を受ければ、回答の内容も少しは変わってくる可能性はあるのだが、逆に今、新しい制度を支持する側に回っている回答者が反対に回ることも考えられるわけで・・・。

急ピッチで立法化が進められている、とも囁かれるテーマではあるのだが、こういうアンケート結果を見てしまうと、著作権業界の論理だけで進めていくのではなく、やはりもう少し“現場の声”を拾い上げながら、しっかりとした議論をしていただく必要があるのではないかなぁ、と思わずにはいられない。

*1:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20130104/1357376385

*2:この人数規模は、「国の文学翻訳への財政支援」への回答は上回るものの「調剤ポイントの禁止」に関する回答には届かない、という微妙なラインである。

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