スーパールーキーが歴史に名前を刻んだ日。

開幕当初、恵まれた体格を生かして堂々と自慢の変化球を投げ込んでいた姿を見た時に、もしかしたら、これはスケールが違うかも、とは思っていたのだが・・・

阪神のドラフト1位ルーキー藤浪晋太郎投手(19)が31日、兵庫県西宮市の甲子園球場で行われた広島19回戦で6回1失点と好投し、セ・リーグの高校出新人として1967年の江夏豊阪神)以来46年ぶりに2桁勝利を挙げた。パを含めると田中将大楽天)以来6年ぶり。」(日本経済新聞2013年9月1日付け朝刊・第33面)

最初は興行面の配慮もあって、日曜日に登板するローテーション。
4月から5月にかけて、トントンと勝ち星を重ねたものの、背中の張りで登録抹消になったり、復帰後、交流戦に入ったくらいから、好投はすれど・・・という日々が続いたりして、しばらく伸び悩んでいた。

だが、シーズン序盤に「課題」とされていたところが、いつの間にか修正されていったことで、7月くらいから一気に波に乗り始める。
特に8月に入ってからは決して芳しくないチーム状況*1の中、チームを助ける抜群の安定感*2を見せ、そして8月最後の日に辿り着いたのが、「10勝」の節目である。

これまで、“超高校級”と騒がれたルーキーは、セ・パ問わず結構いたような気がするし、それゆえこれが半世紀近くも遡らないと出てこない記録だった、ということを聞くと、むしろ「そうなの〜?」という思いの方が強い。

だが、名門タイガースの黄金時代(そして悲劇の時代)を語る上で欠かせない「江夏豊」という名前を、「伝統の甲子園」の地で歴史の重箱から引っ張り出してきた、というあたりに、やはりこの選手は何かを持っているなぁ・・・と思わずにはいられない。


ちなみに、ちょうど去年の夏、まだこの投手が縦縞のユニフォームを着てくれるとは思っていなかった時に、甲子園の決勝戦を見て、「これは次元が違う」と感銘を受けたのは記憶に新しいところで*3、自分の素人なりの直感があながち的外れなものではなかった、ということを記録で証明してくれた、という点でも、藤浪投手には感謝したいところ。

「10勝」とはいっても、“高卒新人”というカテゴリーでよく比較される田中将大投手の今季の数字と比べたら、まだ半分くらいの数字に過ぎないわけで、その意味でまだまだ伸びしろはある、と思うのだが、できることなら今季のうちにあと2つ勝って、「田中選手の1年目」の記録はせめて追い抜いてほしい(そして、伝説の江夏豊の記録に肩を並べてほしい)、と願っている。

*1:とはいえ、他のチームが弱すぎるゆえ2位の座はキープしているのだが・・・。

*2:登板した全ての試合でチームを勝利に導いており、勝敗が付かなかった1試合を除き、全て勝利投手に。4勝の荒稼ぎである。

*3:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20120824/1345860411

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