南米の南米による南米のためのワールドカップ(笑)

日本代表の戦いぶりからして、いろいろと共通点が多い、と指摘されるのが、8年前のドイツW杯。

・・・で、懐かしくなって、このブログの8年前くらいのエントリーを見返していたら、ちょうど「欧州の欧州のための欧州による・・・」というフレーズが出てきて、そんなところも似ているな、と思わず苦笑いしてしまった。

今大会は、グループリーグが終わった時点で、アジア勢4チームは1勝もできずに全滅*1
欧州勢もスペインを筆頭に、イタリア、イングランド、と3大リーグの母国が枕を並べて討ち死にし、実力的には台風の目になっても不思議ではなかった旧ユーゴ勢(クロアチアボスニア・ヘルツェゴビナ)も早々と大会を去った。

結果、決勝トーナメントに残った16チームの半分を、「エクアドル以外の南米勢」5チームと、USA、メキシコ、コスタリカという北中米勢3チームが占める*2、という、極めて分かりやすいが、ここまで極端になるとは誰も予想できなかった・・・というような展開でここまで来ている*3

皮肉なことに、決勝トーナメントの1回戦から、ブラジル対チリ、コロンビア対ウルグアイ、というコパ・アメリカ準決勝のような組み合わせが実現してしまったゆえに*4、ベスト8から先はある程度ダイバーシティが確保される、という不思議な状況になっているのだが、それでも最後は、「やっぱり南米大陸の大会だったなぁ・・・」という感想で終わってしまいそうな気がするのは、自分だけだろうか。

(以下、当たらないのは承知で、予想込みのあれこれ。)


ここまでの派手な試合ぶりからして、開催国ブラジルが優勝に一番近いところにいるのは間違いないだろう。
大会のずっと前から「主役」の座に置かれていたネイマール選手が、このまま得点を積み重ねて、得点王&MVP&世界一、なんてことになったら、まさに少年ジャンプの世界なのだが、それをやってのけそうな星の強さと雰囲気が、彼にはあるような気がして、少なくとも決勝戦を待たずに姿を消すことは、ちょっと想像しづらい。

そのような“理想的な筋書き”を乱すことができるとすれば、準々決勝で対戦するであろうコロンビア*5くらいなのだけど、名将ぺケルマン監督も、「勝負師」としての力と運には今一つ恵まれていない感があるだけに*6、善戦しつつ、やっぱり最後はブラジル、という結末になることは容易に想像できる。

そして、準決勝の相手に、フランス、ドイツのいずれが勝ちあがってきたとしても*7、ブラジル相手に“サプライズ”を起こせるほどの意外性はない。

準決勝でフランスと対戦するようなことになったら、16年前の記憶が蘇って、いろいろ盛り上がるだろうなぁ、というのは想像できるけど、興味と言えばそれくらいで、試合が始まってしまえば、思いのほかあっさりと方が付いてしまうような気がしてならない。


一方、反対側のブロックはどうかと言えば、一回戦から、実力拮抗の好カードぞろいで、勝ちあがるチームを予想するのが、なかなか難しいところはある。

グループリーグの出だしが絶好調だったオランダは、そろそろピークアウトして、尻上がりに調子を上げてきたメキシコの良い餌食になってしまいそうな気がするし、今大会で大ブレイクの気配がするベルギーも、トーナメント初戦の相手がクリンスマン監督率いる米国、というのは、かなり厄介だ。
コスタリカギリシャなんて、それこそ大会前には誰も予想しなかったようなカードだけに、展開を見通すことすら難しい*8

そして、知名度的には、一見、力の差がありそうに見えるアルゼンチン対スイスの試合も、今大会のアルゼンチンが決して安定した試合運びをしていないことを考えると*9、“ジャイアント・キリング”が起きる可能性は十分にある*10

何だかんだ言っても、最後はブラジル対アルゼンチン、という予定調和の決勝戦になるのではないかな、と想像してはいるものの、誰が最後にブラジルの引き立て役になるのかは良く分からないなぁ・・・というのが、正直なところである*11

いずれにしても、ここから先は、純粋に、(自国の興亡を気にすることなく)“世界中に何億人かいるサッカー好きのうちの一人”として試合を眺めることができるわけで、どこが勝とうが、魅力あふれる試合を目にすることができれば、それだけで幸福を味わえる。
今は、日本代表が早々に敗退してくれてよかったな、と思えるような好勝負を期待するとともに、せめて心だけでもそんな好勝負を堪能できるような余裕を保ち続けていられるように、ということを願うのみである*12

*1:1勝もできなかった、といっても、イランはアルゼンチンを最後の最後まで苦しめたし、オーストラリアも随所に意地は見せていたから、一括りにするのは気の毒だと思うが(そして、日韓だって、全く無抵抗に敗れ去ったわけではない。当然ながら。)、結果は結果。

*2:アメリカ、メキシコまでは予想できたが、まさかのコスタリカ・・・。

*3:おかげで、大会前の予想の外し方が、恥ずかしいことこの上ない(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20140612/1402600591)。単に米州大陸勢が健闘した、というだけではなく、オランダやスイス、といった国が思いのほか爆発力を発揮していたり、ナイジェリア、アルジェリアというアフリカでも地味な方のチームが勝ちあがることを読み切れなかったことの影響もあるのだが・・・。

*4:しかもこのカードを勝ちあがったチームが次の準々決勝で激突する。

*5:怪童スアレスが出場できなくなった今、ウルグアイが勝ちあがる可能性は、相当低くなったんじゃないかなぁ、と言わざるを得ない。個人的にハメス・ロドリゲスをもっと見ていたい、という希望込みの予想、というのも、もちろんあるけど。

*6:アルゼンチンを率いて戦った8年前の大会で、攻撃の選手のカードを切り損ね、延長戦の末、開催国ドイツにPK戦で敗退したシーンは、今でも忘れられない。

*7:アフリカ勢2チームは、さすがに無理だろう・・・という気がする。ドイツのグループリーグの戦いぶりが、あまりに順当過ぎた故に、アルジェリアのような波乱含みのチームに一泡吹かされる可能性がないとはいえないが、今のチームの完成度の高さを考えると、すんなり勝ち上がってくると考えるのが妥当な予想だろう。フランスは、今大会一番好きなチームの一つなので、これも当然負けてほしくない、という意味を込めて、勝ちあがりを予想する。そして、ドイツ対フランス、というカードになれば、準々決勝は当然見逃せない(実績からすれば当然ドイツ有利だが、デシャン監督の執念がレーヴ監督のロジックを打ち砕きそうな雰囲気もある)。

*8:個人的には、前回大会の日本対パラグアイ的なロースコアの膠着した試合になって、最後はPK戦ギリシャ・・・みたいな展開を予想するのだけど。

*9:イラン相手にすら再三カウンター攻撃を食らい、メッシのスーパーゴールがなければ引き分けでも御の字、という状況だった。

*10:そもそも、スイスは欧州予選無敗で堂々の1位通過をしたFIFAランク8位のチーム(アルゼンチンは7位)だから、仮にスイスがアルゼンチンを破ったとしても“ジャイアント・キリング”というのは失礼な話だろう。

*11:なお、個人的には、今大会のギリシャには、2002年のトルコ(ブラジルに敗れ、コスタリカにドロー、という1分1敗の展開ながらも最終戦で中国に3-0で勝利し、得失点差で勝ち抜け。そのまま日本、セネガルと撃破し、あれよあれよという間にベスト4進出)と同じ香りが漂っているように思えるだけに、ベスト4まで勝ち上がって、反対側のブロックで、ブラジルに準決勝で敗れて意気消沈するフランスorドイツあたりを得意の蟻地獄ディフェンス+高速カウンターで粉砕する、という展開も見てみたいな、と思う次第。

*12:どうでもよい話だが、8年前の自分のエントリーを改めて読み返すと、あの頃の方が、いろんな意味で「自由に」モノが書けているし、発想のバリエーションも広かったような気がして、少々寂しくなる。あの頃もそんなに余裕があったわけではないのだけど、今は、あの頃なかったものが満たされかけている分、他のところに歪みが出ているような気がしてならない。