ちょっとした数字のマジック。

いよいよ今年も本番まであと一週間くらい、という状況になってきた新司法試験&予備試験。

去年、散々、「法曹養成制度への批判」が新聞紙上で展開されていたことを考えると、試験制度の変更等も経て、今年は少し静かになったかな、という印象もあるだが、先月公表された受験予定者数の数字を見ると、事態はより深刻になっている、ということがうかがえる。

まず、(新)司法試験の方。

法務省の公表資料は、http://www.moj.go.jp/content/001144382.pdf で、今年の受験予定者数は8,957人。

平成24年以降、11,100人→10,178人→9,159人 と、毎年1000人ペースで減少していたことを考えると、一見、下げ止まり(?)のようにも思える。

だが、資料に記載された「受験回数」の内訳をみると、

1回目 3,137人(35.02%)
2回目 2,639人(29.46%)
3回目 2,169人(24.22%)
4回目 1,012人(11.30%)

ということで、司法試験法の改正により、今年から受験できるようになった「4回目」の受験者が実に1000人以上の割合を占めており、もし、これまでどおり3回までしか受験できなかったと仮定すると、受験予定者数は7,945人(‐1,012人)と、例年以上の大きな減少幅、ということになる。

既に多くの法科大学院が定員割れを起こしており、募集停止や撤退、という段階に入ってしまっていることを考えると、想定の範囲内、ともいえるのだが、受験予定者数、実際の受験者数ともピークだった平成23年(受験予定者数11,891人、受験者数8,765人)と比べると、随分スケールダウンした感は否めない*1

受験回数を気にする必要がなくなった昨年の試験で、(受験予定者は1,000人以上減っていたにもかかわらず)実際の受験者がプラスに転じたように、実際の受験状況となると、また違った様相を見せるのだろうし、「4回目のチャンスをもらった受験者」がどの程度意地を見せるかで、試験合格のためのハードルの高低も変わってくると思うが、いずれにしても、試験制度が変わったことによる“数字のマジック”に誤魔化されない方がよい、というのは間違いない。


一方、予備試験の方は、制度ができてから右肩上がりで伸びていた受験者数が、遂に頭打ち、となりそうな様相を呈している(http://www.moj.go.jp/content/001142885.pdf)。

     出願者   受験者
平成23年 8,971人  6,477人
平成24年 9,118人  7,183人
平成25年 11,255人  9,224人
平成26年 12,622人  10,347人
平成27年 12,543人   ?

出願者数ベースでは減少に転じているとはいえほとんど前年と差がない状況だけに、実際の受験者数のレベルではまだ増える可能性が残っているのだが、このままシュリンクする方向に向かっていくのだとすると、法曹業界としては、かなり深刻な事態だと言えるだろう。

ここ最近、法曹を取り巻く環境について、景気の良いニュースがほとんどない現状では、やむを得ないことなのかもしれないが、“裾野の縮小”が業界自体の力と勢いを失わせる、というのは、分かり切ったことなのだから、法科大学院ルートの司法試験受験者数減少の問題以上に、予備試験受験者数減少の問題は、深刻に受け止めないといけないのではないか、と思わずにはいられない。


司法試験の数字(さらに遡ると法科大学院受験者の数字)にしても、予備試験の数字にしても、結局は、「資格」の魅力、そして、その「資格」を生かしてできる仕事の魅力が、潜在的な受験者層にどれだけ伝わっているか、ということに、大きく左右されることになる。

ラウドスピーカーによってネガティブな話題ばかりが拡散される中、業界の末端を支えるものとしては、日々忸怩たる思いに駆られているのであるが、こんな状況でも真摯に、ぶれずに、目標をめがけて努力している人々の中にこそ、法律家となるにふさわしい真の素養を持った人たちがいるのだ、と信じて、自分は、もう少し魅力を語り続けていければ、と思っている。

*1:とはいえ、未修者が初受験した平成19年度の司法試験では受験予定者数5,401人、受験者4,607人で、合格率が40%を超えていた(合格者1,851人)ことを考えると、今でも十分過当競争、と言えるのかもしれないが。

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