静かに成立した改正個人情報保護法。

民法改正の見送りが公になった*1翌日、個人的には、今国会でのもう一つの目玉法案だと思っていた「個人情報保護法」の改正案が無事成立した。

「匿名の個人情報を企業などに提供できるようにして商品の購入履歴などの『ビッグデータ』を経済活動に生かすようにする改正個人情報保護法が3日、衆院本会議で可決、成立した。」(日本経済新聞2015年9月4日付朝刊・第34面)

もっとも、このニュースを伝える朝刊の記事は、第2社会面の片隅に小さく掲載されているだけ。

元々、この改正案は、「個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案」と、マイナンバー法の改正案とセットで国会に提出されていたのだが*2、メディアの関心は、対応が目前に迫った「マイナンバー」の方に偏ってしまっていたようで、審議過程においても、見出しになっていたのは、実質的な改正内容はさほど多くない「マイナンバー」の方・・・*3

制定以来となる実質的な改正点を多く含み、マイナンバー法との関係でも「親」に当たる「個人情報保護法」に光が当たる機会は思いのほか少なかった。

匿名加工情報の加工や、安全管理、公表の基準等、肝心な細かいルールの多くが、今回の改正で設置される「個人情報保護委員会」が定める規則に委ねられており、今回成立した改正法だけでは、新たなルールの全容がまだ見えない、という事情も、「改正法が成立した」という事実だけではメディアが飛びつかない原因の一つなのかもしれないが、せめて、施行されるまでには、もう少しルールが世の中に浸透し、より成熟した議論がなされるようになることを、自分は願ってやまない。

*1:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20150902/1441508032参照。

*2:改正案の内容については、http://www.cas.go.jp/jp/houan/150310/siryou3.pdfを参照。

*3:3日付の夕刊にはマイナンバー法改正の記事が1面で大々的に紹介されていた。マイナンバー法自体はとうの昔に成立していたから、今国会での法案の帰趨にかかわらず、来月からの通知カード交付等は実施できたはずであるが、何となく今回の改正をもって制度スタート、というようなニュアンスになっている記事も多い。

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