今年も波乱なき弁護士ランキング

年々、紙面掲載のタイミングが年末に近づいている気がする日本経済新聞の「企業法務・弁護士調査」。
今年は、とうとう12月の最終週にもつれ込むことになってしまった*1

ランキングに名前が載った先生方に気持ちよく仕事納めを迎えていただく、という意味では良いタイミングなのかもしれないし、企業の担当者にとっても、発表直後から長い正月休みに入る分、次に顔を合わせた時にこの話題に触れなくてよくなる(苦笑)、という点で、メリットがあるのかもしれない。

いずれにしても、年明けまで引っ張るようなネタでは元々ないので、他の諸々の年末回顧ネタと合わせて、年の終わりとともに流してしまえ・・・ということなのだろう。

で、今年も「ガバナンス」に関するアンケートや、「弁護士の注目案件」の結果にはいろいろと面白いものが散見される。

特に、ガバナンスに関して、制度の見直し等に散々苦労させられた跡が浮かび上がる企業側のアンケート結果を載せた後に、

「弁護士への調査で、ガバナンス向上で最重要なものを複数選択で聞いたところ『経営トップの資質・自覚』が66人(71%)で首位。『企業風土の改革』(42人)が続いた。」(日本経済新聞2015年12月28日付朝刊・第1面)

という身もふたもない結果が続いているのを読んだときはさすがに噴いたし、弁護士に聞く「16年度以降の注目案件」の国内トップが「民法(債権法)改正案の動向」(21票)だった、というのも“何で今さら?”とはてなマークがたくさん付く感じである*2

アンケートの設問の立て方等もあって、必要以上に極端な結果になっている可能性もあるが、この辺の状況分析だとか将来予測については、弁護士と企業法務の実務担当者との間で捉え方に大きな違いもあるところで、あえて「弁護士の」調査結果を掲載することが、実務にどれだけ資するか、といえばちょっと疑問もあるところ。

それでも、日頃、法務分野にあまり関心のない経営層が、この記事を見て、ちょっとだけ関心を示してくれたりすることもあるので、企画自体は続けていただきたいと思うのだけれど・・・。

なお、弁護士のランキングについては、今年も紙面には企業票のみ掲載(弁護士票も合わせたランキングは電子版に掲載)されている、ということもあり、概ね順当な結果、という印象である*3

相変わらず票は分散しているようだし、カテゴリー別のランキングなどは、「メディアやセミナーへの露出度」のランキングでしかないようにも思えるが、それもまた弁護士の「活躍」の一つのあり方だと思えば、それもありかな・・・と。

<企業法務分野>
1.中村直人(中村・角田・松本)15
2.太田洋(西村あさひ)10
3.野村晋右(野村総合)9
4.柳田一宏(柳田国際)8
5.川合弘造(西村あさひ)7

あとは、来年のこの企画の「今年の注目案件」に、自分の会社の不祥事が取り上げられないことを願うのみである。

*1:日本経済新聞2015年12月28日付朝刊・第15面。

*2:民法改正案に関しては、既に内容自体は固まっており、いつ国会で可決されるのか?ということくらいしか、実務家の関心が及ぶところはないはずである。消費者契約法などの方が話としてはずっと大きいはずなのだが・・・。

*3:「企業法務分野」のほかに、「ガバナンス分野」という項目を設けた趣旨が今一つ良く分からないし(トップは武井一浩弁護士(西村あさひ))、「情報管理分野」というカテゴリー(トップは渡辺雅之弁護士(三宅))も微妙だな、と思うのだが、ここであまり細かいことを言っても仕方あるまい・・・。