今年も繰り返されたジンクス。

新しい一年が始まったのはつい最近だったような気がするのに、気が付けばもうクラシックレースの季節である。
ということで、今年も第1弾は桜花賞(第76回)から。

事前の予想番組は、どれを見てもほぼメジャーエンブレム推し一色で、当日のオッズも単勝1.5倍。
確かに、昨年の阪神JFも前走のクイーンCも、ゲートをポンと出て早々と先頭に立ち、最後は後続に影を踏ませず快勝、という展開だったから人気になるのは分かるのだが、年明け早々に強い競馬をしてトライアルを使わずに本番直行、と聞くと、去年のルージュバック単勝1.6倍を背負って9着惨敗)をどうしても思い出してしまう。

自らレースを作れる分、去年のような幻惑的な展開に振り回されることはないかな・・・とは思いつつも半信半疑で、むしろ、1分32秒台、という驚異的なレベルで競り合っていたチューリップ賞上位組(シンハライト、ジュエラーの1,2着組と、3着に入ったラベンダーヴァレイまで)の方が怖いんじゃないか、という思いの方が強かった。

そして、終わってみれば、案の定、というか、想像していた以上に“荒れる”結果に。
これまで先行して押し切ることで存在感を示していたメジャーエンブレムが、スタート直後から目を疑うような“中団待機”を余儀なくされ、直線に入ってからも馬群に包まれて仕掛けがワンテンポ遅れたことで、シンハライトに先に行かれてしまった、というのは、誰も予想し得なかった展開だったと言わざるを得ない*1

惜しむらくは、パドックでのメジャーエンブレムのあまりの雰囲気の良さに騙されて、彼女を外した馬券を思い切って買う勇気を失ってしまったこと。
そして、マイル戦に挑もうとする馬とは思えないくらいのんびりと歩いていたジュエラーの姿を見て、「今回は“頭”はない」と思ってしまったこと・・・*2

ジュエラーとシンハライトのゴール前の壮絶な叩き合いは、前日まで自分がイメージしていたシーンにかなり近いものだっただけに*3、レース後に掲示版に表示された数字を見た時は、爽快感半分、後悔半分、という非常に複雑な心境だった。

今日のこの悔しさの記憶が未来永劫残っていれば、今後、どんなに“史上最強”の呼び声が冠される牝馬桜花賞の舞台に現れようと、ローテーションを見るだけできれいに取捨選択できるのだが、次にそういう馬が出てくる頃にはもう忘れていて、同じジンクスの下で同じ失敗を繰り返してしまう、という可能性を否定しきれないのが、とても残念なところである。


なお、元々“オークス向き”という評価も強かったジュエラーが一冠目からタイトルを奪ってしまったことで、ここから先、彼女が4年ぶりの「牝馬三冠」の称号を手にすることも現実味を帯びてきた。

そして、もし次の舞台でそれを阻むとしたら、ディープ×母父シングスピールという絶好の血統背景を備えたシンハライトくらいしか考えられないわけで、お互いが故障しない限り、この2頭の熾烈な戦いはもうしばらく続くのかもしれない。

いずれに転んだとしても、今日の桜花賞が歴史の出発点として振り返られる日になるのは間違いないだけに、明日のスポーツ紙の競馬のトップ記事の見出しが、「藤田騎手初勝利」のネタに奪われないことを、今は願うのみである。

*1:もっとも、ルメール騎手は、時々こういう“どっちらけ”な騎乗をすることがあって、そこが、母国での輝かしい実績がありながら日本ではミルコ・デムーロ騎手を超えられない最大の原因だと思う。

*2:ついでに言えば、ラベンダーヴァレイに次ぐ「3頭目」候補として考えていたアットザシーサイドの馬体減りがひどく(10キロ減)、パドックで貧弱に見えてしまったがゆえに購買意欲を失ってしまった、ということも、3連複の大魚を逃す痛恨の一事につながっている。おそらくギリギリの仕上げをした、ということだったのだろうけど・・・。

*3:いつもなら“騎手の差”とざっくり切り捨てても不思議ではないところだが、今回に関して言えば、シンハライトの池添騎手の騎乗も、本来なら勝者にふさわしい完璧に近いものだったと思う。それでも、数センチの差でまた一つ新しいタイトルを持っていってしまうのが、ミルコ・デムーロ騎手の超越した力と強運を象徴しているような気がする。

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