マリアライトの激走で蘇ったツンデレの記憶。

かつては、同じオールスター戦でも、有馬と比べると極めて地味な存在だった宝塚記念
あのメジロパーマーなどは、半年前にこのレースを勝っていたにもかかわらず、有馬記念では全く人気にならずに15番人気で大穴を開けたし、その後も、マーベラスサンデーメイショウドトウダンツフレームのように、善戦続きだけど大舞台でなかなか勝てなかった馬が、メンバーが落ちたこのG1で、最初で最後のタイトルを取る、というケースが比較的多かった。

ところが、最近では、「阪神2200m」というスタンダードな舞台設定や、6月末という開催時期ゆえに秋以降に備えた絶好のステップレースになる、という巡りあわせもあってか、相当なメンバーが揃うようになってきた。

特に、今年は、春先に国内のレースをパスして海外に遠征していた馬たちにとっても、ちょうど良いローテーションになった、ということで、ドバイ帰りのドゥラメンテラストインパクトワンアンドオンリーに、香港帰りのラブリーデイサトノクラウンといった実績馬たちが勢揃いし、それを、国内で盤石の地位を築きつつあるキタサンブラックが迎え撃つ、という、極めてハイレベルな戦いが予想される顔ぶれになっていた。

個人的には、ドゥラメンテキタサンブラックの4歳馬2頭はこれまでの傾向からしても鉄板で、残り1頭の枠をめぐってステファノスとか、アンビシャスあたりの新興勢力が争うんだろうな、と思っていたのだが・・・。


蓋を開けてみれば、キタサンブラックが終始レースを引っ張り、ドゥラメンテが驚異の末脚で追い込む、というところまでは想定の範囲だったものの、ドゥラメンテよりもちょっとだけ良い位置に付け、いち早く抜け出した5歳牝馬マリアライトが8番人気という低評価を覆して優勝する、という大波乱の決着となった。

エリザベス女王杯優勝、有馬記念で僅差の4着、と、“伏兵”と言うのは憚られるくらいの実績を残していたとはいえ、上がり馬に競り負けて初重賞勝ちを献上してしまった前走の戦いぶりを見れば、マリアライトがこのメンバーで上位に来ることはなかなか予想しにくかったのだが、前記2着、3着馬はもちろん、4着以下にもラブリーデイステファノスと人気上位馬が順当に並ぶ中で、名実ともに勝利を“もぎ取った”レースぶりを見てしまうと、軽視した我が身を恥じるほかない。

で、そんな中気になったのは、「マリアライト優勝」のニュースを伝える記事とセットで取り上げられた「11年ぶりの牝馬優勝」という話題である。
そして、“宝塚記念を勝った牝馬、って、どの馬だっけ・・・?”と思い出せないまま、ネットで検索して気付いたこと。

11年前の優勝馬は、(稀代のツンデレ娘)スイープトウショウではないか!!

自分の記憶の中では、次こそは、と期待させればさせるほど、じれったい末脚を発揮してあと一歩頂点に届かない、という晩年のレースっぷりが鮮明に残っていたために、すっかり頭の中から抜け落ちていたのだが、3歳まで牝馬限定戦でしか走ったことがなかった秋華賞*1が、10番人気の安田記念で2着、11番人気の宝塚記念で堂々のG1・2勝目、と、かつてのイクノディクタスを彷彿させるような*2確変を見せたのが、この馬のツンデレ伝説の始まりだったなぁ・・・としみじみ*3

今や、“ツンデレ”という言葉自体、あまり耳にしなくなるくらい、時代は移り変わっているだけに、11年前の優勝馬の名前を聞いてもピンと来ない人は多いのかもしれないが、自分は、懐かしい記憶を喚起させてくれたマリアライトに心から感謝している。

*1:しかも、初めての牡馬との混合戦となったオープン特別は、1番人気を背負いながら5着に沈んでいた。

*2:というか、宝塚記念で勝った分、かの馬を超えている・・・。

*3:3歳のエリザベス女王杯から2戦連続して1番人気で馬券圏外に消えた後にこの確変。さらに、秋の毎日王冠天皇賞・秋で人気に応えられない走りをした後に、エリザベス女王杯制覇、と、つくづくファンの心を弄ぶ馬だった。本ブログの05年、06年頃の競馬のエントリーにも頻繁に出没していた。

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