“伝説”が幻になってしまった寂しさ。

昨年のクラシック2冠馬で、今年は凱旋門賞での好勝負も確実視されていたドゥラメンテが、一転して「競争能力喪失」、引退、という悲劇に見舞われた。

宝塚記念の入線後、自力では戻って来られず、詳細な診断結果を待たずに「凱旋門賞断念」が直ちに発表されていた、という状況を見れば、ただ事ではないだろう、ということは概ね想像が付いていたものの、想定されていた中では最悪に近い結果だけに、ため息しか出てこない・・・。

自分は、昨年のダービーでの圧倒的な勝ちっぷりを見た時に、この馬にただ者ではない何かを感じたし*1、骨折で一頓挫した後も、中山記念優勝、そして、ドバイでの惜しまれる2着、と、十分なパフォーマンスを発揮していた。

マリアライトに足元を掬われた宝塚記念にしても、上がりタイムはメンバー中最速で、この馬らしさは十分発揮していただけに、ゴール後のアクシデントが招いた今回のアクシデントは、本当に残念でならない。

9回走って5勝、2着4回。
ケガもなく淡々と走って勝ち星を積み重ね続けたディープインパクト*2に比べると、戦績が見劣るという指摘もあるかもしれないが、同世代に世代を超えて“好敵手”になれるような馬がほとんどいなかったディープと、1年後にドバイのG1やら天皇賞やらを制覇する馬たちとしのぎを削ってきたドゥラメンテとでは状況が異なるところもある。

そして何より、主戦のM・デムーロ騎手が絶賛していた、最後の直線での弾けるような瞬発力が、実際のレースでの着差以上に強さを感じさせていた*3

「出ていれば勝てた」と断言できるほど凱旋門賞が生易しい舞台ではないことは百も承知であるが、欧州の馬たちにどんなに包まれても、最後の最後の爆発的な脚だけで、その包囲網を突破できるんじゃないか・・・という期待は十分できた馬だっただけに、全てが夢の彼方に消えた今、何とも言えない気分になる。

今は、何とか“ポスト・ドゥラメンテ”の馬たちが発掘され、その馬たちが、叶わなかったドゥラメンテの夢をかなえてあげてほしい、と、ただただ願うのみである。

*1:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20150601/1433685812を読むと、当時の感動が蘇る。

*2:敗れたのは3歳末の有馬記念と、凱旋門賞だけ、である。

*3:今年の春先のデムーロ騎手のインタビューでのやり取りは、ほとんどがドゥラメンテへの絶賛と、それを追うリオンディーズへの期待、といったもので構成されていたのだが、その両方を事実上失ってしまった今、同騎手の落胆は察するに余りある。

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