オリンピックも3日目くらいになってくると、だんだんどの種目がどの時間帯にやっている、という感覚もつかめてくる。
「時差24時間」だから、現地で各競技のクライマックスをゴールデンタイムに設定してくれていれば、出社前にちょうど良い感じで観戦できるはずなのだが、そううまくはいかないようで、柔道は準決勝、メダルマッチ、という一番おいしいところが朝早すぎて見られないし、逆に水泳は現地時間22時、という信じられないような時間に決勝レースが始まるので、休日はともかく平日はさすがにLIVEで見るのは難しい。
世界中に視聴者がいる大会だから、いろいろと大人の事情で不自然な時間帯にずらさざるを得ないのは一応理解するのだけど、せめて柔道くらいは、日本人にフレンドリーな時間帯にやってくれないかな・・・と思わずにはいられない。
裁量型課徴金制度をめぐる噛み合わない議論
新年早々アドバルーンが打ち上げられた「独禁法に裁量制課徴金制度を導入する」という議論*1だが、やはり既に丁々発止の攻防が始まっている、ということで、日経紙の法務面に公取委と産業界、双方の言い分が掲載されている*2。
個人的には、公取委が挙げている“導入の狙い”には全く説得力がないと思っていて、特に「協力への動機づけ」という点については、今のリーニエンシー制度の問題点*3ですら十分に消化できていないのに、さらに重ねて当局の処分の裁量性を強化するようなことをしたら一体どうなってしまうのか、という批判は、至極全うなものだと思っている。
よもや、1年そこそこくらいの議論で見切り法改正、なんてことにはならないと信じているが、公取委の暴走を食い止めるために、今は厳しい目を向け続けることが大事。
絶好の突っ込みどころ
これまた日経紙の「経営の視点」というコラムに、「取締役会、全会一致のなぜ」(塩田宏之編集委員)*4というタイトルの記事が書かれている。日本の取締役会では“全会一致ルール”が採用されているところが多く、その結果、「社外取締役が事実上の拒否権をもつ」ことにより「意思決定が遅れる恐れもある」ことを指摘しているところまでは、うんうんそうだよね、と思いながら読めたのだが、「議論の深さと迅速さをどう両立させるか」という最後の問いへの応答として掲載されているコンサルティング会社の社長さんの以下のコメントには、ちょっとな、と思うところがあった。
「議論を早めに始めることが重要。M&Aなら、水面下の交渉を始めた時点で報告をしておけば、時間を確保しやすい」
いろんな事情で、最初からオープンにせざるを得ないような特殊な案件はともかく、通常のM&A案件で、「水面下の交渉」段階から取締役会にドーン、と出してしまうような対応は、情報管理の観点から行わない会社がほとんどだと思うのだけれど・・・。
イチロー選手3000本安打達成!!
五輪の話題に行く前に、今朝達成されたこの話題に触れないわけにはいかないだろう。
しばらく足踏みが続いたがゆえに、オリンピックの報道に紛れるような形になってしまった*5のだが、最後のチャンスで放ったあわやホームラン、という豪快な一打と、三塁に到達した後のじわじわと湧いてくる観衆の声援、他のプレーヤーが自然と祝福する姿等々などを見ていたら、これが、かの地で誰もが認める本当の「節目」の記録なのだな、ということをしみじみと感じる。
現在メジャー歴代29位タイで、まだまだ現役。“日米通算”などというまがいものの数字は忘れて、ここから先もイチロー選手がどこまで記録を伸ばして伝説に近づくか、ということを、我々は見届ける義務がある*6。
そして、今季は比較的チームが好調な中で、これまで縁がなかったワールドシリーズの舞台にイチロー選手が立つ瞬間も、この目で見られたら・・・と願っている。
ブロンズの輝き
初日に苦杯をなめ、次こそは、と期待されていた男女柔道。特にこの日は海老沼匡、中村美里という過去の五輪でも実績のあるベテラン勢が出場していたこともあって、個人的には期待するところ大だった。
準決勝までの勝ち上がりを見た段階では、「これは!」という雰囲気に満ちていたのだけれど・・・
残念ながら朝起きてすぐ確認した速報表示のメダルの色は「銅」。
実績があるとはいえ、近年は故障等で必ずしも世界ナンバーワン、と言えるだけの力を発揮できていなかった両選手にとって、重圧がかかった状態で決勝戦にまで勝ち上がるのはやはり難しかった、ということなのか。特に中村選手には「8年越しの悲願」を何としても達成してほしいと願っていただけに、選手たちの無念さを思うと、残念でならない。
それでも、「2つ目」の銅メダルを勝ち取るために、最後に勝って終わった、という執念はほめたたえられて然るべきだし、前回大会の低迷に鑑みると、これまですべての階級でメダルを獲りこぼしていない、というのは大きな進歩。
いろんなものを乗り越えて掴んだものだけに、“お家芸だから・・・”などというドメ的なフレーズに惑わされることなく、今は素直に称賛の声を送りたい。
最後に“ずっこけた”剣士
8年前はメダルが確定するまでテレビ放映等に取り上げられる機会はなかったし、4年前も最初から最後まで中継、ということにはなっていなかったはずだが、太田雄貴選手が既に団体、個人で2つの銀メダルを取っており、かつ、2013年の東京五輪誘致活動の立役者の一人となったこともあって、今大会のフェンシングは、初戦から地上波の放映が入る破格の扱いだった。
それが、結末は、地元ブラジルの格下選手相手にポイント先行を許し、立て直しも叶わないまままさかの敗退を喫する、という余りに悲しい幕切れ。
“魔物”と言ってしまえば簡単だが、太田選手がこれまで築いてきたものを考え見ると、心の底から同情せざるを得ない。