2016年8月13日のメモ

日中の日差しは強いけど、夕方になると例年とは一味違った涼しさを感じる東京の夏。
これだけ過ごしやすければ、無理に田舎に帰る必要もない。

正月同様、この時期に首都圏に居残っている人の数が年々増えてきているように思えるのが、“元祖居残り組”(笑)としては、いささか困ったところではあるのだけれど。

三菱重工、日立に3800億円の負担要求」のコラムに思うこと。

今年の5月に報道された、三菱日立パワーシステムズMHPS)の南アフリカ共和国でのプロジェクトをめぐる親会社同士の紛争について、日経新聞のコラム「真相深層」に掘り下げ記事が掲載されているのだが*1、これを読んでわかるのは、「まだこの問題解決してないんだね」ということくらいで、それ以上のことは未だに良く分からない*2

本件で問題になっているプロジェクトが、2007年に日立が受注したプロジェクトで、MHPSが事業統合で設立された時点(2014年)では大型プロジェクトにありがちな工期遅れ等の問題も既に顕在化していた、という事情を考えると、おそらく2013年の時点で日立と三菱重工が締結した事業統合に関する契約の中でも、このプロジェクトの存在は重要論点として俎上に上がっていたはず*3

にもかかわらず、今になってなぜ、このような紛争に発展しているのか、というのが本件のキモなわけで、承継時点で顕在化している事業損失リスクの分配の決め方が甘かったのか、それとも、事業損失の内容や責任に関する評価そのものの食い違いに起因する問題なのか、ということくらいは、はっきりさせてほしい、と思った次第である*4

日本柔道史上最多の12メダル獲得

連日「メダル獲得」のニュースを日本に届けてきた柔道陣は、最終日の男子100キロ超級、女子78キロ超級でも、原沢久喜選手が銀、山部佳苗選手が銅、と結果を残し、一日も途切れることなく史上最多のメダルを獲り続けて日程を終えた。

特に1階級も落とさなかった男子は、“不甲斐ない”と方々から批判を浴びた前回大会から一変、今や井上康生監督が名指導者として祭り上げられそうな勢いである。

おそらくこの後、様々なメディアで分析が繰り広げられるだろうが、素人目に今大会で一番変わった、と思ったのは、各選手から「結果」に徹したリアリズムが染み出していたことで、前日のエントリーで紹介したベイカー選手の決勝戦は極端な例だとしても、“綺麗な一本で勝つ”ことよりも“負けない”ことを優先したと思われるような戦い方や、決勝戦に進めなくても「銅メダルだけは何としても持って帰る」という精神は、出場選手中に広く浸透していたように見えた。

もちろん、“負けない”力を身に付けるために、組み手で優位に立ち続けるためのパワーの強化等、相当な鍛錬は積まれていたはずだし、それがあってこそ全体のレベルの底上げが図られたのではないかと思うが、今のように出場選手たちのレベルが拮抗している時代に*5、“お家芸”特有の精神論に固執しても仕方ないわけで、選手を選ぶ段階から、勝ちに徹するという思想を貫いたことが結果につながった、ということではないだろうか*6

次の五輪の開催場所が場所だけに、今回の結果を受けて「全階級金メダル」とか、「結果だけでなく美しさも再び」といったような、ハードルの高い注文があちこちから付く可能性もあるのだが、若き現場監督には、是非、雑音に惑わされることなく、方針を貫いて欲しいものだと思う。

女子1万メートルで23年ぶりの世界新

ケニアのアヤナ選手が、陸上最初の決勝種目でこれまでの世界新記録を大幅に塗り替えて優勝、という偉業を達成した。
南半球での開催、ということもあって、ここ何回かの五輪に比べればコンディションに恵まれたこともあるだろうが、23年前(1993年!)の記録が“馬軍団”の一員だった王軍霞選手の記録だっただけに、クリーンに塗り替えられてよかった、という感想も思わず湧いて出てきてしまう。

今回の五輪では、ロシアばかりがクローズアップされているが、元々は陸上も競泳も、中国が疑惑のデパートと見られていた時代があった、ということは、心の片隅に留めておきたい。

*1:日本経済新聞2016年8月13日付朝刊・第2面。

*2:というか、記事の内容が途中から、本件とは本来直接関係しない三菱重工の懐事情の厳しさ、という方向に飛んでしまっている等、重工関係者にとってはちょっと気の毒な記事のようにも思える。

*3:当時のプレスリリースによると、三菱重工が設立した新会社に日立、三菱重工の双方の関係事業を吸収分割させる、というスキームが採用されていたようであり(http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2013/07/f_0731.pdf)、2013年6月11日に統合基本契約書及び合弁契約書、同年7月31日に吸収分割契約書を締結したようである。

*4:「事業統合後の損失は出資比率に応じて決算に反映させるべき」という日立の言い分は一見常識的のように思えるが、事業統合時に「統合以前の問題に起因して生じた損害については、株主各社の方で責任を持つ」という取り決めが存在していればそちらの方が優先して適用されるべきだし、概してこの種の損害の原因はプロジェクト受注時点の見通しの甘さに起因するものだから(そしてそれを後から立て直すのは至難の業だけに)、三菱重工の言い分にも十分理があるように思える。契約書そのものを入手するのは難しいとしても、その辺の筋の見立てくらいは立てた上で記事を書いてほしいものだと思う。

*5:特に今大会は、旧ソ連から独立した国々等、これまでの伝統国以外の選手が上位に進出している姿を良く見かけたような気がする。

*6:男子100キロ超級で、絶対王者と言われているリネール選手が、あれだけ“組ませない柔道”を徹底しているのを見てしまうと、まだまだ、という気もするが、決勝で敗れた原沢選手も、勝ち上がりの段階では“無理して技を掛けずに勝つ”ということに徹していたような気がして、なかなか考えさせられるところはあった。

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