2016年8月16日のメモ

関東地方に突っ込んでくる台風は久々な気がする。
そして、災害が起きるたびに過剰さを増すメディアのアラートが、今日は朝からクドイくらいに響き渡っていた。

そのおかげで、いつもなら混んでる時間帯に店に行っても閑散としていて、悠々と飯が食えてラッキーだったのだが、あまり過敏になり過ぎるのもどうかな、と心の底では思っている。

またですか・・・という感じの疑わしい分析結果

日経紙の経済面に、「独立社外取締役を増やす企業は設備投資が活発になる傾向がある」とか、「(社外取締役を)2人以上増やした企業の11〜14年度のROE平均は11.4%と、変化なしまたは減少した企業(9.3%)と比べ、約2ポイントの開きがあった」といった「内閣府の分析」結果が紹介されており、

「コーポレート・ガバナンスの取り組みを強化した企業は、投資の拡大や収益性の向上につながっている可能性がある」

という内閣府のコメントも併せて掲載されている*1

この分析のソース(一次資料)そのものが確認できていないので、実際にどこまでの調査・分析がされているのか、ということまでは分からない。
だが、もし、基礎となっているデータが「一定期間中に社外取締役が増加したかどうか」という事実と、「一定期間中に設備投資額やROEが増加したかどうか」という事実だけなのだとすれば、随分荒っぽい分析のように思えてならない。

2014年度は、まだ「コーポレートガバナンス・コード」等々による“社外取締役の押し付け”が本格化する前だから、そんなタイミングで積極的に社外取締役を増やそう、という会社は、数多ある企業の中でも選りすぐりの“模範生”と言ってよい。
そして、そういう会社が、積極的な設備投資を行ったり、ROEの数字を意識した経営戦略を取るのは当たり前の話で、言いかえれば社外取締役を増やしたから設備投資等が増えた」のではなく、「設備投資を増やすような会社だから、社外取締役も積極的に取り入れた」という分析もできるはず*2

国策として「社外取締役の導入」を進めるのは政府の自由だが、何らかの数字を持ち出して一定の政策方向に誘導しようとするのであれば、様々な角度からの議論に耐え得るだけのものを出してほしいものだと思う。

「メダルの数」で競うことへの疑問

リオ五輪が後半戦に突入した、ということで、「前半を終えた時点で26個、金メダル7個」という数字に対する若干の分析記事が掲載されている*3

最近は、日本選手団が「獲得メダルの個数」をある種の公約のように掲げて大会に突入することが多いし、国家予算の一部を投じて選手強化を行っている手前、何らかの指標がないと居心地が悪い、という感情も理解できなくはない。

ただ、大会の成果を「メダルの個数」だけで判断するようになってしまうと、「1個のメダルを獲るためのハードルがものすごく高い(しかも控え選手も含めて多くの選手を送り出しているにもかかわらず、取れるメダルは1個しかない)団体球技」よりも、一種目で多数のメダリストが出る可能性がある個人競技に偏って力を入れる、ということにもなりかねないし、同じ競技の中でも、例えば体操なら団体戦や個人総合よりも種目別のようにメダルを量産できる可能性があるほうに力を入れる方向に向かいかねない、という懸念もあるわけで、そういった安直な方向に進まないように、何らかの評価指標を作った方が良いのではないか、と思うところである。

レスリングで繋がれた歴史

レスリングのグレコローマンスタイル太田忍選手が決勝に進出し、堂々の銀メダルに輝いた。
レスリングと言えば女子(吉田選手、伊調選手など)という先入観がここ数大会で染みついていたから、男子がここでメダルを獲ったことのインパクトは、それだけで十分大きいと思うのだが、個人的には、日経紙に掲載された記事にあった以下のフレーズを見て、より応援したい気持ちになった。

「フリースタイルを含めた男子12階級のうち日本がリオ五輪出場枠を得たのは、今年3月の予選で初めて日の丸を背負った太田を含めて4人だけ。」(日本経済新聞2016年8月16日付朝刊・第28面)

60年以上メダルを守り続けてきた伝統を持ち、そして、前回大会でも、あまり注目されていなかったところから金メダリストを輩出した競技だけに、まだまだ声援を送りたい。

豊田泰光氏逝去

選手時代には西鉄ライオンズの要として黄金時代を築き、引退後は多くの読者、視聴者を唸らす巧みな論評で鳴らした豊田泰光氏が亡くなられた。

2013年に豊田氏がコラム執筆からの「引退」を宣言された時は、自分もショックだったし、このブログでもエントリーを立ててしまうくらいの思いになったわけだが*4、そこからあまり日をおくことなくこの日を迎えることになってしまうとは、何とも残念である。

これでまた一人、魅力ある西鉄ライオンズを語れるOBがいなくなったこと、そして、あの名コラムを再び目にする機会が名実ともに失われてしまった、ということは、実に寂しい*5

*1:日本経済新聞2016年8月16日付朝刊・第5面。

*2:もう一つの仮説として、「経営に重大な問題を抱えた会社が、体制一新の過程で社外取締役を多数導入した。平時の経営に戻ったおかげで業績は回復し、設備投資もROEも増加した。」というのもある。いずれにしても、「社外取締役の導入」は一種の「結果」に過ぎず、経営改善をもたらした「原因」ではない。

*3:日本経済新聞2016年8月16日付朝刊・第3面。

*4:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20131226/1388679074

*5:今は、権藤博氏が実質的に後を引き継いでいるような印象も受けるが(論評のトーンにはかなり近いものがある)、権藤氏は投手出身、ということもあってか、時々、「私が監督のときは〜」的な話が混じるのが玉に傷、な印象を受ける。豊田氏はそういう意味ではとことん謙虚な方であった。