2016年9月9日のメモ

週末が待ち遠しい、という感覚が昔っからなかったわけではないのだが、ここ最近、それが特に強く出るようになっていて、週初めまでに片付けないといけない仕事が残っていても、金曜日の夜になると“スイッチオフ”モードになってしまう。その繰り返しが何となく鬱陶しい。

あと何年かしたら、こんなふうに思っていた金曜日が懐かしくなる時が来るのかもしれないけれど・・・。

隣の国で核実験成功、のニュースが流れてもどこ吹く風の平和の国

昼間に突然流れた「北朝鮮で核実験成功」のニュース。しかも核弾頭搭載実験、と来れば穏やかな話ではない。
ここ数日の間に報じられた「日本海に飛来した弾道ミサイル」のニュースと合わせて考えれば、どんな軍事素人でも今が尋常な状況ではない、ということには気付く話である。

それでも、街角で話題になることもなく、テレビを付ければ普通にバラエティ番組が流れている、という平和の国で過ごせることに感謝すべきなのか、それとも、それを恨むべきなのか・・・

とにかく、今は日本の国土に何も飛来してこないことを祈ることしかできないのである。

フィンテック」を前面に出すことの功罪

最近、日経紙を開くと一日一回どこかに登場してくるバズワードとなっているのが「フィンテック」。
そして、そんなに流行に乗り遅れるな、とばかりに、一昨日の朝刊には、「国内大手の森・浜田松本法律事務所(東京・千代田)は、金融とIT(情報技術)が融合した『フィンテック』分野で、企業連携を支援する新事業を始める。」日本経済新聞2016年9月7日付朝刊・第5面)という記事まで登場した。

最近本屋で見かけた、↓の書籍が、よく見ると日経BP社から発行されているので、記事に見せかけた一種の宣伝広告なのかもしれないが、おもむろに「フィンテックの法的リスク対策を考えろ」という天の声を受けた気の毒な担当者が駆け込めるような看板を掲げた、ということであれば、全く世の中の役に立たない、ということでもないと思う。

FinTechの法律 (日経FinTech選書)

FinTechの法律 (日経FinTech選書)

もっとも、本をちょっと開いて読めば分かる通り、「フィンテック」というバズワードに隠された実態を紐解いていけば、ほとんどの話は10年、20年前から議論されているあれこれの延長、に過ぎないわけだし、そうではない“本当に新しい問題”についてビジネスの現場を経験していない弁護士が語る中身には、あまり多くを期待することはできない。

新しい“単語”を持ち出すことで儲かる人々がいるのは分かるし、それにすぐ飛びつきたくなる人々の心理も分かるのだが、こういう時こそ、実務の最前線にいる人間が、現実を静かに分析して、“火消し”に走るべき名のではないかな、と思わずにはいられないのである。

なお、法律家が書いた「フィンテック」の本、ということで言えば、先に紹介したものよりも、↓の方が現実のビジネススキームに寄せて解説しよう、という意図が明確に見える分、面白いし使い勝手も良いのではないかな、というのが自分の主観的な印象である。

FinTechビジネスと法 25講―黎明期の今とこれから―

FinTechビジネスと法 25講―黎明期の今とこれから―

「民泊」推しは、もういいんじゃなかろうか。

これも7日の日経朝刊のネタになってしまうが、中国の民泊サイト「途家網」の躍進を伝える記事(日本経済新聞2016年9月7日付朝刊・第9面)の片隅に、

「民泊利用 アジア急増 日本は出遅れ」

という、いかにも日経紙らしい記者のコメントが便乗気味に書かれていた。

規制改革系の方々の旗振り空しく、規制官庁や既得権益層の反発でなかなか規制緩和が進まない、という毎度の論調でそれ自体を全否定するつもりはないのだが、元々、本家本元の米国ですらインターネット仲介型の“民泊”ビジネスの課題はいろいろと指摘されているわけで、正面から“解禁”を議論すれば当局が慎重なスタンスになるのは決して不思議なことではない。

そして、何よりも、この議論が国内で始まった頃の「宿泊施設不足」という問題が、景気の伸び悩みや訪日観光客の宿泊先分散、そしてホテル各社の積極的な設備投資のおかげで、実感としてはほぼ解消されつつある現状であるにもかかわらず、相変わらず壊れたテープレコーダーのように同じ主張を乗せているのは、いかがなものか、という気がする。

いくら価格が安いとしても、三つ星以上のホテルと比べれば明らかに格が落ちる「民泊」を、異国の地で積極的に使う人々の層というのは元々限られているわけで*1規制緩和論者がいつも持ち出す兆円単位の“経済効果”は、所詮机上の空論に過ぎない。

そんな状況で、正面突破で「規制改革」を求めることが、そしてその背景事情として「訪日客の取り込み」を掲げること果たして合理的なのかどうか。
そろそろ考え直すべき時に来ているように思えてならないのである。

*1:この点、他の同種サービスと比べてもそん色ない、というか、新興国では明らかに質が高いサービスを提供できるタクシーの世界とは根本的に異なっている。

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