「広島が直接対決で巨人を退け、25年ぶり7度目のセ・リーグ優勝を決めた。」(日本経済新聞2016年9月11日付朝刊・第33面)
様々な人々の思いを背負って戦い続けてきた広島東洋カープが、2016年9月10日、遂にリーグ優勝を決めた。
本拠地で決められなかったのは気の毒だが、敵地で宿敵・巨人に3発を浴びせ、点差以上に打ちのめして自力で優勝を勝ち取れたわけだから、ファン(特に在京のファン)はさぞかし長年の溜飲を下げたことだろう。
Twitterでも少し呟いたのだが、優勝から長年遠ざかっていたとはいえ、「明らかに弱すぎたシーズン」というのがほとんど存在しなかったのがカープという球団の凄いところ。
アマチュア時代は無名だった選手を鍛え上げてレギュラーに定着させ、Bクラスに終わったシーズンでも開幕当初は快進撃を続けて鯉のぼりの季節の頃には首位争い、というケースが多かったから、他球団のファンとして率直に言うなら、「ようやく優勝できたね」という気持ちよりも「25年も優勝してなかったの?」という感情の方が強い*1。
ただ、歴代順位を眺めれば、リーグ優勝したのは紛れもなく25年ぶり、である。
そして、「1991」という数字を見て鮮明に蘇るのは断片的な記憶だけで、“最近”という感覚はさすがに湧いてこない。
ずっと霞がかっていた季節の中でも特に濃い灰色に染まっていたあの年のことを振り返ってあれこれ言うとそれだけで気分が落ち込むので細かくは触れずにおくが、あの頃自分の心を曇らせる元凶の一つだった“赤ヘル”のニュース*2を耳にしても、不快な感情はほとんど湧いてこなくなった(むしろ世間の人並には喜んでいる)というところに、重ねられた歳月の重みを感じる、と言ってしまうと大げさだろうか。
もっとも、このままの勢いでカープがCSを突破してさらにそのまま日本一に輝くようなことになると、次に出てくるのは「32」という数字だから、それに比べれば「25」なんて言う数字はまだまだ軽い。
00年代にロッテ、日本ハム、中日、といった長期滞留組が次々と日本一に輝いたこともあって、今、最も日本一から遠ざかっているのは広島球団、ということになっている。
あのころとは違って、リーグ優勝を決めてもすぐに「さぁ、日本シリーズ」とならないのが今のシステムの悲しいところだが、できることならもう一丁、カープには歴史をこじ開ける戦いをしていただき、来年以降、我らが愛しのチームに“断トツに日本一から遠ざかっている球団”の称号を授けていただけないものか、と思うのである。