グダグダと仕事やら家事やらに追われているうちに、あっという間に飛び石連休も終わり、日が変われば仕事の負荷がますます増えてくる憂鬱なシーズンに突入してしまう。
立ち止まって考えることも、秋の夜長に本でも読みながら思索にふけることも、かれこれもう何年も果たせていない“夢”のまま変わりない状況だが、いつか、そう遠くないうちに、こんな時が懐かしくなる時もくるのだろう、と信じてやっている。
「解禁前に選考」の何が悪い。
全国の大学でつくる就職問題懇談会と内閣府が、今年度の就職活動について企業や学生を対象に実施した調査結果をまとめた、という記事が載ったのは22日の朝刊。
そして、翌23日、文部科学省のサイトに調査結果(速報版)がアップされた。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/09/1377496.htm
日経の記事では、就職活動「解禁」前に採用選考を開始した、という会社が56.7%と、5割を超えた、という点がやたら強調されているが*1、個人的には、4割以上の会社が「6月解禁」ルールを守っていたのか・・・ということの方が興味深かったわけで*2。
そして調査結果を見ると、「内々定」を出したタイミングに関しては、「6月」という回答がさらに増えて単月で40.1%という数字になっている*3。
これと、「就職活動が比較的短期間で済んだ」53.6%という学生の回答を合わせ読むと、浮かび上がってくるのは、5月に入った頃からそろりそろりと五月雨式に採用選考が始まり、6月に入ってヨーイドンと内々定祭りが始まる、という状況。
今年度に関しては、「就職・採用市場が売り手市場だった」と回答した会社が実に82.8%に上っているし*4、現場の実感もその感覚にかなり近い。
それゆえ、ちょっと出遅れたばっかりに、目を付けていた学生をごっそり他社にさらわれた、という企業も今年は決して少なくなかったはずで、来年以降はより「6・1」に近接した採用活動がなされることが想定されるのだけれど、そうなったときに律儀に「解禁日」を守って、1日、2日で採用活動を終わらせてしまう会社と、3月、4月くらいからじっくりと水面下で採用選考を進めていた会社とではどちらが学生フレンドリーか、と言えば、個人的には後者のような気もするわけで、「ルールを守れ」と唱え続けることが能じゃない、ということは、もう少し強調されて然るべきではないかと思う。
思わぬところで登場した元欧州委員会委員の名前
パナマ文書に続いて話題になりそうな「バハマ文書」。
良くまぁこれだけ立て続けに情報がリークされるものだと思うが、そんな中、新聞を賑わせているのが、かつて競争法の世界で“鬼”と恐れられた、欧州委員会のクルス元副委員長が「バハマ登録企業の役員として登録されていた」というニュースである。
「バハマ設立企業の役員として登録されていた」という事実だけでは、いかなる色も付けようがないわけで、現時点で安易に評価を下すことはできないのだが、仮に悪い方のシナリオで考えるならば、
「あれだけ「公正競争」の旗を振り回していた方のお名前をこんなところで見かけることになるとは、欧州というのは何と懐の深いところなのだろう・・・」
ということになってしまいそうである。
もちろん、皮肉だが。
Bリーグ、はどこへ行く?
ここのところ1,2週間、広瀬アリス・すずの姉妹を前面に出して*5、かなり派手に前宣を展開していたバスケットボールの新リーグ。
何となくJリーグ開幕前のワクワクするような雰囲気も思い出したりもして、少々懐かしさに浸っていたりもしたものだが、始まってみると開幕戦の東京−琉球以外のカードは、ほとんどスポーツニュースでも省みられることがなかったし、テレビ中継とも無縁な状況になっているようである。
テレビ中継に関しては、1993年と今とでは、そもそも「テレビ」というものを取り巻く環境が大きく異なっており、サッカーはもちろんプロ野球ですらも「テレビ中継三昧」というパターンからは縁遠くなっているから、あまり言っても仕方ないのかもしれないが、そうであれば、せめて新聞のスポーツ面で報じられる時くらいは、もう少し目立つような取り上げられ方をされても良いのではないだろうか。
会場が熱狂的なファンでどんなに盛り上がっているのだとしても、その結果が、かつての「日本リーグ」と同レベル、J2の試合結果と同じレベルの小ささで扱われてしまっているとなると、コアな層以上にファン層を広げていくのはなかなか難しいような気がしてならない。
当世随一の仕掛け人、川渕チェアマン(古い・・・)が絡んでいる企画だけに、Jリーグの100年構想同様、中長期的視点でいろいろと手を打っているはずだし、だとすれば足元のメディア上での“不人気”など取るに足らないことなのかもしれないが、ちょっと火が付けばもっともっと盛り上がられるスポーツだと思うだけに、これからじわじわと人気が浸透していくことを今は願うのみである。
「○○年ぶり」というフレーズの懐かしさと切なさと。
先日、カープが25年ぶりの優勝を遂げた、というニュースに触発されたのかどうなのか、大相撲の秋場所では、大関・豪栄道関が貴乃花以来20年ぶりの日本人全勝優勝という快挙を成し遂げ、東レテニスでは大坂なおみ選手が伊達公子選手以来21年ぶり、という決勝進出を成し遂げた。
自分にとってはどちらのエピソードも、“もうそんなに経ったの?”と言いたくなるような感じで、時の流れの速さを身に染みて感じているわけだが、こういうのが続く、というのも何かの巡りあわせなのだろう。
かつて伊達公子選手の体力を振り絞った戦いに一喜一憂し、時に涙した世代の人間としては、彼女に大坂選手並みの身体能力が備わっていたらどれほど凄い戦績を残せていただろう・・・と、思わずにはいられないのだけど。
「君の名は。」遂に興行収入100億円突破。
封切りから1カ月。新海誠監督が生み出した史上最高のアニメーションが、とうとう興行収入でも大台を超えた。
日本映画としては3年ぶり。当初話題が先行していた「シン・ゴジラ」を遥かに凌駕する結果を残し、今もなお、スクリーンめがけて映画館に通う人波は途切れることがない。
映像表現の美しさと並んで、ストーリー展開の意外性(そして張り巡らされた伏線が最後の最後で一気に回収される爽快感)にこの作品の最大の魅力があるので、ネタバレになるようなことを今ここで書くわけにはいかないのだが*6、商業主義に毒された“ジブリ”ブランドに殺されかけた日本のアニメ、そして二次元だからこそ描ける良質のドラマの神髄を見事なまでに復活させてくれたこの作品を、自分は一日本人として誇りに思う。
そして、(少々のリスクはあろうとも)「クライマックスは映画館でしか見せない、教えない」というスタンスを徹底することがいかに大事か、ということも、(シン・ゴジラとの比較で)この映画が教えてくれたように思うのである*7。
*2:アンケートには建前だけ書いた、という会社も何社かは混ざっているだろうが、それにしても、高い数字である。
*3:http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/09/23/1377501_4_1.pdf
*4:http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/09/23/1377501_4_1.pdf・5頁。
*5:どうでもいいが、この姉妹、特に広瀬すずの方は、この件に限らず、さすがに最近“出過ぎ”じゃないかと思うくらいテレビ画面に映り込んでいたこともあって、個人的には若干食傷気味ではあった。
*6:とりあえず、前宣で繰り返し流れていた映像は、この映画のほんの一部分にすぎない、ということだけは言っておこうか。
*7:これから、「そんな映画だったんだ」ということに気づいて映画館に足を運ぶ人はもっと増えるだろうから、200億円の大台に届くのも夢ではないと思っている。