最後の直線で重なった名牝の面影。

昨年のエリザベス女王杯で、6番人気ながら同世代のオークス馬・ヌーヴォレコルトを抑えてG1初勝利を飾ったのがマリアライト
明け5歳となった今年は、G2で3着、2着と徐々に調子を上げ、宝塚記念では、ドゥラメンテキタサンブラックという4歳古馬のNo.1、2を封じ込める大金星を挙げた。

こうなると、再びのエリザベス女王杯では当然の大本命、ということで、当日のオッズも2冠馬・ミッキークイーンを差し置いて堂々の1番人気となっていたのだが・・・。

テレビ映像では隠れてしまった1コーナーの不利が響いた、というのがレース後の評価。
騎乗していた蛯名騎手が激高していた、という報道もなされている。

だが、馬群の後方から進出し、最後の直線で鞍上が必死に追っても、ジリジリするだけでなかなか先頭との差を詰められない、そんなシーンを見ていたら、どうしても稀代のツンデレスイープトウショウの姿がだぶってしまった。

スローペースで前に行った馬がなかなか止まらない展開で、まんまと出し抜けパターンに持ち込みかけたルメール騎手騎乗のシングウィズジョイ(12番人気)が2着に突っ込んだとはいえ、優勝したのは、名手・Mデムーロ騎手が操り、馬場の内側から狭い空間を縫って駆け抜けてきたクイーンズリング

道中では自分よりも後方に付けていた馬が完璧に差し切る展開の中、14番人気の逃げ馬(プリメラアスール)すら捕まえられずに敗れた女王を“ジリ脚”と言わずに何と言おう。

クラシック戦線には縁がなく、4歳の秋になってようやく才能が開花した遅咲き・マリアライトと、3歳時に秋華賞を制し、4歳の夏には一度古馬の頂点に立っていたスイープトウショウとでは、キャリアも、「エリザベス女王杯初勝利」前後のプロセスも大きく異なる。

にもかかわらず、両者がかぶって見えてしまうのは、期待を込めて応援すればするほど、先頭の馬の背中が遠ざかっていく、タイムを見れば33秒台の上がりを記録しているのに、届かない末脚が鈍く感じられてしまう。そんなところが嫌というほど似ているから。

奇しくも、今年の宝塚記念の結果を見て思い出した*110年前の名牝の面影をこんなところで見ることができたのは、幸福なことだったのかもしれないけれど・・・。


10年前の歴史では、宝塚記念エリザベス女王杯というG1タイトルを獲った後、かの名牝は引退するまでG1タイトルを取ることができなかったのだが、できることならマリアライトにだけは同じ道を歩いてほしくない、と心から思う次第である。

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