大声ダイヤモンド。

菊花賞から有馬記念に直行してきた3歳馬は強い、というのは競馬ファンなら大方知っている知識。
それでも、今年はそのジンクスは通用しないんじゃないか、と思わせるくらい貫禄のある古馬陣が揃っていた。

今年大きなG1で2勝、昨年の有馬記念3着の実績もあるキタサンブラック、そして不思議なくらいに人気がなかった前年覇者、ゴールドアクター
脇役にも、昨年の有馬で2着、前走ジャパンカップでもしぶとく2着に食い込んできたサウンズオブアースを筆頭に、シュヴァルグランミッキークイーンヤマカツエースマリアライト、といった個性的なメンバーがずらっと顔を並べる。

前年の有馬記念1〜3着馬が綺麗に顔をそろえて菊花賞馬を迎え撃つ、という分かりやすい構図自体が自分には新鮮だったし、ちょっとした博打打ちの血を高ぶらせる材料でもあった。


澱みない流れの中から人気上位3頭が綺麗に抜け出し、最後の最後にスパートをかけたサトノダイヤモンドが、粘り込みを図ったゴールドアクターを交わし、さらに前を行く勝利寸前のキタサンブラックに襲いかかったあの瞬間は、おそらくこの先何10年と語り継がれることだろう。

いつもなら煩いアナウンサーの煽り声が全く気にならない、冷静に見ようと思っていても大声を出してしまうような文字通りのデッドヒートを目撃できたことに、今は感謝以外の言葉はない。

ただ、おそらく、決して記録には決して残らないエピソードを一つだけ取り上げるならば、この順当過ぎる実力馬ガチンコ対決を創り出したのが、果敢に逃げてペースを作ったゴスホークケン産駒、マルターズアポジーだった、ということを、この瞬間を目撃した者としては決して忘れてはいけない、と自分は思っている。

そして、ずっと毎年、テレビ桟敷から同じレースを見続けることで、今年こんなレースに巡り合えた、という幸福を、今は噛みしめていたいと思うのである。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html