そしてまた会社法改正の季節。

最近、ひっきりなしに基本法の見直しを議論している感がある法制審議会に、今度は「会社法改正」が諮問された。
http://www.moj.go.jp/content/001216452.pdf

諮問された内容をそのまま引用すると、

「近年における社会経済情勢の変化等に鑑み、株主総会に関する手続の合理化や、役員に適切なインセンティブを付与するための規律の整備、社債の管理の在り方の見直し、社外取締役を置くことの義務付けなど、企業統治等に関する規律の見直しの要否を検討の上、当該規律の見直しを要する場合にはその要綱を示されたい。」(強調筆者)

ということで、上記強調部分がこれから審議されることになる。

前回、法制審議会に会社法改正の諮問がなされたのは、まだ民主党が政権を握っていた平成22年で、気が付けばもうあれから7年も経ってしまっているから、経済社会を規律する法律の改正審議のタイミングとしては、決して“早い”とは言えないのかもしれない。

ただ、前回は社外取締役の義務づけ等をめぐって法制審部会での審議が難航した、ということもあったし、要綱が出た後も国会での法案審議で一悶着あって、改正法が成立したのは平成26年になってからだった。施行に至っては平成27年5月だから、何となく、ついこの前改正したばかりなのになぜ? という思いもこみあげてくる。

前の改正要綱がまとめられてからの5年弱の間に、世の中(というか、会社の機関をめぐる状況)がそれなりに大きく動いた、ということは否定しないものの、だからこそもう少し様子を見た方が良いのでは? というところもあるわけで・・・。

ちなみに、日経紙の1面では、「株主提案権の濫用を防ぐ」ための改正審議が今回の目玉のような取り上げられ方をしているが*1、今回の改正の前段階として公益社団法人商事法務研究会に設置されていた「会社法研究会」での議論等を見る限り*2、この論点でドラスティックな法改正が行われるとはちょっと考えにくいような気がするし、「社外取締役義務付けの要否」についてもあまり手を付けずに終わるのでは・・・という印象が強い。

そうでなくても大型法改正が相次いでいる今、再び会社法まで大幅改正、ということになってしまうと、国会の法案審議も、実務サイドの対応も消化不良なものに終わってしまう可能性が高いだけに、個人的には、小幅にひっそりと審議が進むことを願うばかりである*3

*1:日本経済新聞2017年2月10日付朝刊・第1面。

*2:https://www.shojihomu.or.jp/kenkyuu/corporatelaw

*3:生の制度に手を付けるより、テクニカルな論点に関してテクニカルな議論をとことん突き詰めた上で結果は鼠一匹、くらいの方が、みんな幸せだと思うのである・・・。

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