「風」に振り回された時代の終わり。

公示までの1週間くらいは、「風」が吹き荒れる予感がしていた今回の衆院選だが、今朝の朝刊では「与党、300議席に迫る勢い」と、あらら・・・な感じの見出しが躍っている。

大義なき解散に、大義なき新党。特に後者は、「踏み絵」で旗印を明確にしようとした結果、政権党との区別がつかなくなり、筋を通した少数派新党に支持層を奪われてしまったのだから、何と皮肉なことか。

そして、そんな日の「大機小機」には、「政治家の最大の武器は言葉である。その言葉がどんどん軽くなっている。」というフレーズで始まる「横ヤリ」氏の強烈な批判が掲載されている。

ユリノミクスとは何か。『消費者に寄り添いマーケティングなどをベースに進める』と答える。『AI(人工知能)からBI(ベーシックインカム)へ』とも言う。言葉は躍るがどれも意味不明である。」
「野党に見られる言葉の軽さの背後には、政権を本気で担う自覚の無さと幼稚さがある。安倍政権に見られる言葉の軽さの背景には、強行突破が可能という権力者のおごりがある。」
「共通しているのは誠実さの欠如だろう。底流には知的退廃があり、その向こうには民主主義を脅かすニヒリズムが漂う。」
日本経済新聞2017年10月12日付朝刊・第21面)

シュールな辛口コメントが多いこのコラムの中でもかなり上位に来る部類の痛烈さだが、心ある有権者であれば、多かれ少なかれ同じような感想を抱くよな、という光景が今は目の前に広がっているのも事実なわけで。

奇しくも、同じ日の朝刊には、英国の混乱した政治状況を描くFT紙のコラムも載っていて、その中には、

「中規模の民主主義国家では、最も有能な人物は決して政治家になろうとは考えない」日本経済新聞2017年10月12日付朝刊・第6面)

という名言も出てくるから*1、日本だけではないんだよね、とは思うんだけど、それは決して気休めにはならない。

世界中のあちこちで、典型的な民主主義の誤謬、と言えるような惨状が広がっている中、「日本よお前もか」になるのか、それとも、政策の筋を通した人々を勝たせて、「日本もまだ捨てたもんじゃない」になるのか。できることなら後者であってほしい、と今は願うのみである。

*1:今回の選挙でも「出馬してくれてありがとう」(勝っても負けてもしばらく本業には戻って来れないだろうから・・・)と思われている立候補者は結構いるようである。詳しくは知らないけど。

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