“超不良馬場”が引き出した真の力。

先週に続いて日本列島に台風が接近し、芝コース、というよりは、「全面水壕障害」といった感のある状況の中で行われた天皇賞・秋

週末、雨が降り続くとわかった時から、過去の重・不良馬場で実績のある馬(例えばネオリアリズムとかディサイファとか)が強いだろう、と物色を始め、前日、当日とレースが進んで、もはや常識的なタイムで芝コースを走ることは不可能だ、と分かった瞬間に、ディープな欧州血脈を承継している馬(サトノクラウンはもちろん、シャケトラ(母父・シングスピール)とかグレーターロンドン(母父・ドクターデヴィアス)、ミッキーロケット(母父・Pivotal)など)に浮気したり、と、二転三転したのだが、結局終わってみれば・・・という感じだった。

個人的には、宝塚記念の大敗もあって「キタサンブラックはもうここまでかな」と内心思っていたところはあったし、現にスタートで出遅れた瞬間に「今日の馬場では挽回不可能だろう」と確信したのだが、その後、随所で“ワープ”と称されるほどの、武豊騎手の見事なポジション巻き返し走法で4コーナーを回った時点で一気に先頭へ。

その前の京都のカシオペアSで、わざわざ馬場の悪い最内を就いたクラリティシチーが、見事なまでの惨敗を食らったのを見ていただけに、果たして最後まで走れるんだろうか、と一瞬心配したのも全くの杞憂で、うまく抜け出すと、武豊騎手の手綱に操られて馬場のいい外側にあっという間にコースチェンジし、終始先行して完璧な「勝てるレース」をしていたはずのサトノクラウンまでをも出し抜いて、最後は有利な態勢からの合わせ馬を制す・・・と、感動すら覚える素晴らしい勝利となった。

タイムは2分08秒3、と記憶のみならず、記録にも残ってしまいそうな超スロー決着で、6年前のトーセンジョーダンレコードタイムから遅れること10秒以上、と、もはや笑うしかないのであるが、、こんな馬場だからこそ、馬も、騎手も真に力のある者だけが勝ち残った、という感じで、それは2着以下の錚々たる顔ぶれを見ても如実にわかるだろう*1

これで、キタサンブラックディープインパクトを抜いて賞金歴代2位。年内あと2戦で、JRAのこれまでの記録を全部塗り替える可能性をも残した。

できることなら、このままジャパンC有馬記念と勝ってもらって大団円、というのが一番美しい姿なのだが、こうなってくると惜しむらくは、秋に凱旋門賞にチャレンジできなかったこと・・・。

後から、「体調がすぐれないオーナーを気遣って(海外遠征の話を潰せるように)宝塚記念をわざと負けたんじゃないか」という根拠なき風評が流れてきそうなくらい、道悪を危なげなくこなして勝ち切っただけに、、自分は複雑な気持ちでいっぱいなのである。

*1:3着のレインボーラインだけが異質なのだが、4着・リアルスティール、5着・マカヒキ、と海外の過酷なレースをこなしてきたものだけが上位に来た、というのも分かるような気がする。逆に、ネオリアリズムや、ステファノスのように実績のない馬たちは、順当に負けた。実に“紛れ”のない戦いであったと思う。