雪が降った日に思うこと。

東京にしては珍しく雪が降り、そして、予定調和のように、今回もまた夕方から「足が乱れる」展開となった。

自分は、日中移動していた時に、多少の混雑とノロノロ運転の影響を受けたくらいで、ほとんど「被害」を受けずに済んだので良かったのだけど、積もったといってもたかだか20センチ、「災害」などと言ったら雪国育ちの人間には鼻で笑われてしまうようなレベルの降雪でこうなってしまうとなると、正直、大丈夫かな・・・?という気持ちになる。

7年前の大震災の頃から思っていることだが、地震でも台風でも大雪でも「いつもとちょっと違う」ことが起きた時に焦って帰宅の途につく、というのは、まったくもって賢い選択肢ではない。特に今回の雪のように、雲が通り過ぎていずれ降りやむ、というタイミングがある程度見えている場合であればなおさらだ。

にもかかわらず、国が率先して「早め帰宅」の呼びかけなんてするものだから、結果的に公共交通機関が手薄な時間帯に混雑が前倒しになって押し寄せ、いくつかの駅で入場規制がかかるような事態になってしまう。

今日に限っては、カフェ等でいつもより早めに営業を切り上げてしまったお店も多かったら、都心で時間をつぶそうとしてもなかなか、という状況だった人もいるのかもしれない。
また子供のお迎え等で、どうしても早く帰らないといけない、という人も相当いただろうし、そういう方々が家路を急ぐのは至極当然のことだろう。

だが、特に早く帰る理由もないのに、何となく言われるがまま早めに動き出して、その結果、阿鼻叫喚の「大混雑」に巻き込まれてしまった、という人も、実のところ結構いたのではないだろうか。

また、「転倒者続出」というニュースも流れているが、まだ外が少し暖かくて、地面に落ちた雪が水混じりになっていた夕方4時頃、というのは、今日の中では歩くのに一番危険な時間帯だったわけで、実際、負傷者が出た時間帯もその辺に集中しているように思われる。
雪の良く降る地域で暮らしたことのある人ならわかることだが、雪は、積もり始めと、降りやんだ後小一時間くらい経った後(の凍結)が一番の脅威で、その合間の時間帯が実は一番歩きやすい*1

その意味でも、夕方の早い時間帯に動くのは、決して賢い選択肢ではなかった、ということになるし、自分も、オフィスを出た後に適当に時間を潰してから家路に着いた結果、さほど混雑もしていない電車に乗り、足元のスリルを感じることもなく、いつも通りに家まで辿り着くことができた*2

いわゆる「異常時」に一番大事なのは、周りに流されずに自ら状況判断して、目の前の危機がピークを越すのを待って動き出すこと。
もちろん、「待つ」ことがかえって裏目に出ることもあるし、この点に関しては、震災の際の沿岸被災地域の記憶が未だに生々しく残っていたりもするから、こういう時は世の中のメディアも、会社も、「待つ」ことを決して勧めてはくれないのだが*3、何でもかんでも早く動けば良い、というわけではない、ということも震災が教えてくれたもう一つの教訓だったりする*4

相手は気まぐれな自然。
たまたま結果的に自分の選択がうまく行ったからと言って、大上段に“逆張り”を勧めるつもりは毛頭ないのだけれど、「雪の日の混乱」を横目で眺めつつ、テレビやラジオ、はたまたオフィスの館内放送の呼びかけに盲従する前に、天気図を確認し、Twitterで情報を集め、そして最後は自らの直感で、ややこしい状況に巻き込まれない最善の策を探る、という努力は、みな怠るべきではないのかな、ということを改めて感じた次第である。

そして、できることなら、明日も、凍結した路面の餌食になることなく、平然と出社したいものだ、と*5

*1:これが、油断すると背丈を超すような雪が積もってしまう地域だとまた話は別なのだが、少なくとも今日の東京で、そんな事態になることは到底考えられなかったはずだ。

*2:そして、こういう経験をしたのは、今回が初めてのことではない。いつぞやかの夏か秋かに、台風で大騒ぎしていた時も“時間差”で平然と家路につき、何事もなく済んだことは何度かある。

*3:本来「避難すること」と「帰宅すること」は全く異質の行為(前者は確実にリスクから免れるための行為だが、後者は必ずしもそうではない、という点で)なので、パラレルに扱われていること自体に個人的には強い違和感があるのだけど・・・。

*4:実際、あの3・11の日に都心にいた人の多くは、「動かなかった方が得をした」ということを身をもって学んでいるはずだ。

*5:残念ながら、このリスクを回避する唯一の方法は「滑りにくい靴を履いて、足元に気を付けて歩く」ということ以外に思いつかないのだけれど・・・。

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