ここ最近、2020年の東京五輪を控えて、これまでとは一番大きな違いを感じるのが「パラアスリート」を取りあげる機会が非常に増えている、ということで、選手をメディアで目にする機会も増えたし、街中での競技体験イベントのようなものも、随分あちこちで見かけるようになった。
だから、今年の冬季五輪イヤーでも、パラの注目度は上がるかな・・・と期待していたのであるが、五輪の方が冬季にしては珍しい盛り上がり方だったこともあって、そのギャップで、パラリンピックの方がどうしても寂しく見えてしまうのは、いつもの大会と変わらない。
五輪と違って競技日程自体、アスリートの体内時計に合わせて行われているから、夜帰っても競技映像をライブで見られる機会はほとんどなく、筆者自身、2月以上に今の方が余裕がないこともあって、この2週間の間、大会の結果を取りあげることも皆無だった。
だが、大会終盤になって、村岡桃佳選手が女子アルペン大回転(座位)で、スノーボードの新種目(男子バンクドスラローム)では成田緑夢選手が、そして、バンクーバーから8年の時を超えて、新田佳浩選手(ノルディッククラシカル男子10キロ立位)が・・・と次々と金メダルを獲得。
特に、成田選手はトリノ五輪での兄、姉の悲劇的な敗北から12年、というタイミングで、しかも自ら五輪アスリートを目指すプロセスで障害を負った、という歴史を背負いながらもここで見事なまでの結果を出した、ということで、まさに“人生の影と光”を地で行くような、感慨深いトピックだった。
日経紙が、アルペンでチェアスキーの日本勢の「凋落」ぶりを取りあげるなど、決して明るい話題ばかりではなかった今大会。
そして、2020年に向けた政治・経済状況、国際情勢とも予断を許さず、五輪ですら一つ変な風が吹けば飛んでしまいそうな今、パラリンピックに対する熱がどこまで持続できるのか、自分は決して楽観はしていないのだけれど、絶望や挫折の先に光がある、ということが少しでも多くの人に伝わるように、大会本番だけではなく、そこに至るまでのプロセスを支えていけたらね・・・と思わずにはいられないのである。