”サランスクの奇跡”と22年前のデジャブーと。

ロシアW杯、サランスクのモルドヴィア・アレーナで行われたグループHの初戦、日本対コロンビア戦で起きた歴史的なジャイアント・キリング。

4月の監督交代を支持して声援を送っていた人々はもちろん、自分も含め、"新生西野ジャパン”にシニカルな目を向けていた者にとっても、興奮せずにはいられない、衝撃的な結果だった。

前半3分、故意といえば故意だが、どちらかといえば「反射的に手が出た」という類のこの世界では決して悪質とは言えない相手選手のハンドに一発レッドが出た、という幸運。そして、万全な状態であれば、日本の守備陣を翻弄したであろう4年前の輝けるスター、ハメス・ロドリゲス選手が、前半ベンチを温めることを余儀なくされる状態だった、という重ねての幸運。

もちろん、どん底の時期の代表チームだったら、11人対10人、の戦いだったとしても、相手のFKで同点にされた時点で、ズルズルと“良くてドロー”の展開に嵌っていただろうから、後半立て直して、大迫選手の勝ち越しゴールまで持って行った雰囲気作りは、素直に称賛するほかない。

スタッツを見ても、ボール支配率60%、枠内シュート14本(相手は9本)、ほとんどすべての項目でコロンビアを上回る数値を叩き出しているのだから、この試合の結果を「ラッキー」だとか「フロック」というのは、選手たちにも監督にも失礼、というものだろう。

凄腕の外国人監督だったら、前半の時点で攻撃の選手を一枚増やして、早々と試合を決めにいったかもしれない展開の中、慎重に慎重に相手の動きを見て、相手の運動量が落ちてきたタイミングで本田圭佑選手を香川選手に代えて投入した結果が、コーナーキックからの大迫選手の決勝ゴールにつながったわけだし、最後の選手交代も大迫選手に代えて岡崎選手を突っ込む、という極めて攻撃的なスタイルのもの。最後まで守りに入ることなく、終始優位なポジションを保って戦い続けることができたのは、まさに西野監督の采配ゆえ、といっても過言ではない。

なので、ここまでの動きを冷やかに見ていた専門メディアの手のひらを返したような絶賛ぶりも、決して大げさとは言えないのだけれど・・・。


グループリーグの初戦で南米の優勝候補国に勝った上で、2戦目にアフリカ勢、最終戦は旧東欧勢、という組み合わせを見てしまうと、連想するのはアトランタ五輪しかない。

2勝1敗、という普通なら優に勝ち上がれる結果を残しながら、得失点差であえなく散った1996年のU-23と、今のフル代表を比べるのが適切かどうかは分からないのだけど、今大会でのセネガル代表のパフォーマンスを見る限り、次の試合が最大の関門になってくるのは間違いないところ。

仮にそこで星を落とすようなことになれば、かつて味わった最悪の事態の再来も頭をよぎるのだけれど、今の日本代表が22年前の悲劇を繰り返すのか、それとも過去を乗り越えて新しい歴史を拓くのか・・。

悲観主義にさいなまれながらも、自分はほんの少しだけ、後者の可能性を信じてみたいと思っている。

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