120分の死闘と、ホッとした結末。

東京2020を控えて、日本選手団にいつになく力が入っていた2018アジア大会
序盤の競泳で、池江選手を筆頭に金メダル祭りで幕を開け、折り返していつもならペースダウンする後半の陸上競技に入っても男子マラソンの金メダルを皮切りに、●●年ぶり、の見出しが躍る価値ある金メダルがチラホラと飛び込んでくる。
そして、球技でも(いろんな意味で味噌を付けた男子バスケを除けば)、取るべき競技で着実に金メダルを積み重ね、そこまで行かない競技でも軒並み「次」に期待を持たせる結果に。

そして、やはり開会前から最後まで、驚きを与え続けてくれたのが、我らがサッカーU-21代表だった。

他の参加国が23歳以下の世代で構成したチームを送り込む中、「2年後」を見据えた21歳以下のチームで参戦。
メンバー中5名は大学生だし、プロチーム所属の選手たちの中にもレギュラーとして盤石な地位を築いている選手はほとんどいない。
そして、A代表の公式戦ではない、ということで、早熟の海外組は「ゼロ」。

たかが2年、とはいえ、この世代の進化のスピードを考えると、国際経験の差とかプロでの経験の大小は、個々の選手の力量に如実に反映される。

それゆえ、準備期間の短さも相まって、グループリーグの初戦では世界的には無名のネパール相手に1-0の辛勝。最終戦ベトナム戦では歴史的な敗北を喫し、続く決勝ラウンドでは1回戦で早々と散ることも十分想定されるような状況だった。

それが、である。

1回戦、押され気味のゲームで最後の最後に掴んだPKでマレーシアを1-0で下すと、A代表でも苦戦するサウジアラビアUAEといった相手に堂々の勝利。

グループリーグからたびたび入れ替わっていた11人のメンバーも、中盤の松本泰志選手、渡辺皓太選手が核になって、俊足の前田大然選手、得点感覚に優れた岩崎悠人選手が攻撃の主導権を握る、というパターンがほぼ定着。そして先発した試合ではさっぱりだった上田綺世選手を終盤に投入して決定的な仕事をさせる、という森保采配も見事にはまり「想定外」の決勝進出と相成った。

勝戦で当たった韓国は、U-23のメンバーだけでも欧州組を抱えている上に、W杯代表クラスのオーバーエイジ選手をフル活用。
なんといっても「優勝して兵役免除」が必達ミッションだったチームだから、まともにぶつかって勝てる相手では到底ない*1

したがって、一観戦者としては、ここで宿敵相手にあっと言わせて欲しい、という思いを持ちつつも、頭の中では「まぁ無理だろうな」という予想がほとんどを占めていたし、ここで勝ってしまうのは空気を読まないにもほどがある、という気持ちもあった*2

なので、最終的に1-2で敗れて銀メダル、という結果には何の意外感もなく、どちらかと言えばホッとした気持ちの方が強いのだが、圧倒的な劣勢をしのいで互角の攻防にまで持ち込んだ90分間と、2失点後の選手交代で一気に息を吹き返した最後の15分の戦いを実際に見てしまうと、勇敢に戦った日本チームの選手たちもまた金メダルにふさわしい戦いだったな、という思いも当然よぎるわけで、試合後には、韓国に「勝たせる」意味と合わせて、「ここで負けたことが次のステップになる」というありきたりなフレーズを思い浮かべ言い聞かせることで、どっちつかずの応援しかできなかった自分を慰める羽目になってしまった・・・。


既に森保監督が、U-23だけでなくA代表の監督にも就任したことで、U-21代表の選手たちのターゲットも「2020」から「2022」にまで、一気に広がっているのが今の日本の状況。そして、事実上の初陣となった今回のアジア大会で、事実上「最高」の結果を残したことで、2018W杯から一部で続く“フィーバー”も当分は細々とながら続くことだろう。

だからこそ、着実に世界に向けてステップアップしている今の流れを止めないために、この大会で結果を出した選手たちの目標を「2020」で止めないこと、そして、五輪は捨石にしてでも次のW杯でもう一つ前進すること、を目指してほしいな、と自分は心から思う。

このたびメンバーが発表され、世代融合の取組みにも既に手が付けられている新生A代表の中に、そう遠くないうちに今日のメンバーが1人でも2人でも顔を出すことになれば、そして、そのメンバーで4年後、隣の国を堂々と粉砕することができたら、今年の「銀メダル」がよりクローズアップされるはずだから。

*1:同じく「最強」と言われたウズベキスタンともども、決勝戦まで対戦せずに済んだことに感謝しないといけない・・・。

*2:大会前から報道が過熱していたとおり、「ソン・フンミン選手が欧州のキャリアを捨てて兵役に入る」などということになってしまったらアジアのサッカー界にとっては大きな損失だし、ましてや最後にたどり着いた決勝の舞台で日本が敵役になることなんて考えたくもなかった。「病的なまでにヒステリックな世論」という悪弊に支配されている国民の苦しさが一番分かる立場だからこそ(だって、それって日本とまるで同じだから(苦笑))、今回ばかりは負けても失うものがない方が譲る、という判断があっても良いだろうと個人的には思っていた。