台風接近で、2場開催の片方が早々と中止を決定。
そのおかげで、いつになく馬券検討に集中できたのがかえって裏目に出た感のあった日曜日の中山開催だったが、そんな結果にかかわらず、メインのスプリンターズSは、実にしびれるレースだった。
心配された馬場は、午前中思いのほか雨が降らなかったことで、メインレースの時間帯には「重」から「稍重」にまで回復。
それでも、やはりこういう時は、芝が荒れていてもパワーで押しきれそうな「デカい馬」が人気になる。
1番人気こそ実績重視で(しかも道悪実績もある)ファインニードルが奪ったものの、2番人気には520キロ牝馬のナックビーナス*1、4番人気にも490キロのレッツゴードンキが続き、510キロ・ムーンクエイクや、504キロ・セイウンコウセイを上位に推す人も多かった。
だが、走ってみたら、直線で先頭に立ったのは、出走16頭中一番体重が軽い3歳牝馬、ラブカンプーだった。
最後の最後に追いかけてきた真打・ファインニードルに差され、2着に甘んじたのは前哨戦のセントウルSと同じだが、着差は前回よりさらに縮めて「クビ」の差に。まだ3歳の牝馬(片や相手は歴戦の古馬)の上に、前回の斤量差6キロが今回4キロに縮まっていることを考えると、主役のお株を奪う活躍だったと言ってよい。
そして、何よりも大きい馬たちを後ろに従えて、荒れ目の馬場を難なく駆け抜けてきたタフさは、実に絵になるものだった。
冷静に考えれば、前走のセントウルSで、雨の中、明らかに水を含んだ重馬場を同じように2着で駆け抜けたのがこの馬だったわけで、11番人気、という評価はいくらなんでも低すぎた、ということなのだろう*2。
紅梅S、葵Sといった同世代のオープン格のレースから、G3、G2、G1まで、同じような走りをして最後は2着、3着に甘んじる、というところが何ともじれったいところではあるのだが、気が付けば獲得賞金は既に1億円超。
むしろ馬場が荒れれば荒れるほど、サクラバクシンオーの血を引くこの馬のタフな逃げ脚が光る・・・そんな気持ちで、体のサイズと先入観にとらわれずに追いかけていきたい馬である。