どれだけお膳立てが整っても・・・。

前週のチャンピオンズCまで秋のG1を「外国人騎手」が勝ち続けている、というニュースは、もうあちこちで散々流れているので繰り返さない。

「外国人」といっても、通年で騎乗しているルメール騎手やミルコ・デムーロ騎手がずっと乗ってきた馬で勝つのはある意味当然のことだし、日本人だけが日本の競馬を支えているような時代でもないのだから、あれこれ言っても仕方なかろう、という思いはある。

ただ、香港でビッグレースがある関係で、今年飛ぶ鳥を落とす勢いのモレイラ騎手(元々は香港所属)はもちろん、ルメール、M・デムーロの両騎手も日本国内のG1をパスした今週の日曜日には、連続記録も止まるかな、というささやかな期待をしていたのも確か。

常に、カタカナ表記の騎手名が馬柱に4人も5人も名を連ねていた前週までとは異なり、第70回の阪神JFに騎乗する外国人騎手は、まだ若いC・デムーロ騎手と、今年来日したばかりのアヴドゥラ騎手の2人だけ。
そして、C・デムーロ騎手が騎乗したダノンファンタジーと、アヴドゥラ騎手が騎乗したペルスールは、ファンタジーSの1.2着馬ではあるものの、過去10年、同レースから参戦した42頭のうち、阪神JFを勝ったのはたったの1頭しかいない。

データ的には、武豊騎手が乗るシェーングランツ(ソウルスターリングの妹)や、福永騎手に乗り替わったビーチサンバ(名牝・フサイチエアデールの娘)などのアルテミスS組と、OP勝ちから参戦する北村友一騎手のクロノジェネシスあたりの方がずっと勝つ確率は高かったわけで、さすがに今回ばかりは・・・という思いで馬券を買ったのは、自分だけではなかったはずである。

それが・・・だ。

終わってみれば、スタートで後手を踏んで「もはやこれまで」と思われたダノンファンタジーが、直線で巧みに前を捌いて半馬身差優勝。

続く人気を集めていたクロノジェネシスは、最速の上がりを見せたものの、位置取りがダノンファンタジー以上に悪すぎてあと一歩届かず、ダノンより前にいたはずのビーチサンバやシェーングランツも追い出しでモタモタしている間に先を越されて万事休す。

そんなに差がない戦いだったとはいえ、結局今週もC・デムーロ騎手にタイトルを持っていかれてしまった、というのは、大惨事というしかないだろう*1

特に、ビッグレースがある週に招待レースで香港に行っていながら、斜行して騎乗停止処分をくらい、肝心の週末には現地での騎乗馬もなく日本に舞い戻らざるを得なかった武豊騎手にとっては、踏んだり蹴ったりの一週間になってしまった。

JRAの情け(?)で、オジュウチョウサン有馬記念に勝つ、という一筋の「夢」はまだ残されたものの、先のある2歳馬、3歳馬に有力なお手馬がいてこそ、の騎手人生。

今日、日本で乗っていなかった「外国人」騎手たちが、次のレースで今日勝てなかった馬たちに乗る可能性も十分にある*2ことを考えると、勝つべきところで勝てなかったツケは、後々まで重くのしかかってくるのではないかな、と思わずにはいられないのである*3

*1:そもそも、データ的には買えないはずのダノンファンタジーが1番人気に支持されていたこと自体、福永騎手や北村友騎手はもちろん、武豊騎手ですら国内のファンには信用されていなかった証というほかない。

*2:シェーングランツにしても、一度はルメール騎手が乗って未勝利を脱出した馬である。

*3:ちなみに、ダノンファンタジーの主戦だった川田騎手が香港に行かずに日本でそのまま乗っていたら、そのまま勝つにしても順番が変わるにしても、「外国人騎手の連勝」を止められた可能性は高いのだが、今日のシェーングランツのレースを見る限り、武豊騎手がタイトルを獲れた可能性は限りなく低いわけで、おそらく次は乗り替わりになるのだろうな・・・と。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html