ビジネスで生き残るための「手打ち」

昨日の時点では、「これから始まるよ~」という雰囲気で記事になっていたクアルコムvsアップルの特許訴訟。

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だが、今日になって一転、全くトーンの異なるニュースが配信されている。

スマートフォンスマホ)向け通信半導体の知的財産をめぐり米国内外で訴訟合戦を繰り広げていた米アップルと米半導体大手クアルコムは16日、全ての訴訟を取り下げることで和解したと発表した。」(日本経済新聞Web 2019年4月17日 4:34 配信記事、強調筆者)

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この手の特許がらみのドンパチに関しては、自分の見方はずっと一貫していて、

「本業で伸びしろがなくなかった会社が、窮余の策として手を出すもの」

だと思っているし、それはこのブログでずっと書き続けてきたことでもある。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

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どんなに強い特許や豊富な特許ポートフォリオを持っていたとしても、それを振りかざして訴訟まで突き進むかどうかは権利者の自由。
そもそも自分たちの商売が順調にいっていれば、訴訟を起こすまでもなく市場での優位性を保って利益も上げられるわけで、コストをかけてまで特許訴訟のような結果の見えないリスクを負う必要はない。

だから、2年前に、このクアルコム対アップルの紛争が始まった、というニュースを聞いた時も、ちょっと前までは一世を風靡していた世界有数の半導体メーカーが、伸びしろの小さい成熟産業になりつつあるスマホの分野で、それを主導してきた「老舗」企業に最後の消耗戦を挑んできたな・・・という感想しか出てこなかった。

「次世代通信規格「5G」の開発を主導してきたクアルコムとの関係修復によって、ライバルに出遅れていた「iPhone」の5G対応が前進することになる。」
「両社は16日に出した共同声明で、世界中で提起された両社間の全ての訴訟を取り下げると述べた。アップルは2018年9月に発表したiPhoneの最新機種で停止していたクアルコムからの通信半導体の調達を再開することでも合意。クアルコムが持つスマホ関連特許について使用料などの条件を定めた6年間のライセンス契約を新たに結ぶことも明らかにした。」(前掲記事)

幸いにも、1ステージ進んだ技術を世の中が受け入れる機運が進み、「5G」という新たな鉱脈になりそうな材料が出てきたことが、こういう実務者的には極めて美しい形での決着につながったことは間違いない。

ここで手打ちをして紛争に区切りをつけ、再び新世代端末を世に送り出すビジネスパートナーに戻ることで、低迷気味だった業績も上向きとなり、会社も再び成長を遂げる。実に美しいストーリー。

ただ、いつか「スマホ」にだって終わりは来る。

再び断末魔の特許訴訟が展開されるのが、3年後なのか、5年後なのか、それとももっと先なのか、はわからないし、その時の「主役」が誰になるのかは分からないけれど、歴史はきっと繰り返す。それだけは心にとめておきたい。