荒れ気味の「令和」の始まり。

元号が変わったことをどこまで意識するかは人それぞれだとしても、自分も含め、世の中のほとんどの人は、この先も(少なくとも自分の周りだけは)穏やかに調和が保たれていてほしい、と願うのが普通だと思う。

だが、こと競馬の世界に関しては、「令和」が始まって早々、荒れに荒れた。

土曜日は、府中の天候が午後に入って急変し、自分もこれまで30年近く、競馬中継の画面では決して見たことがなかった激しい雹(ひょう)の襲来を受けて、第10レース以降の競走があえなく中止*1

加えて、そのショックに輪をかけるように、京都のメイン(京都新聞杯)では、11番人気のレッドジェニアルが突っ込んで穴をあけ、新潟のメイン(直線1000mの邁進特別)では、これまでもっぱらダート専門で使われていた15番人気のライオンボス、という馬が5馬身ちぎる大爆勝を見せて単勝9,810円の大穴を炸裂させる、というとんでもない結果に。

こんな目にあってしまうと、自分でなくても、これだけでもうお腹いっぱい、せめて日曜日は穏当に収まってほしい、となるのが一般的なファンの心情だろう。

しかし、一日明けた今日も、天候こそ崩れなかったものの、「令和初のG1」と散々煽られたNHKマイルカップが、まさかの展開に・・・。

レース前の人気では、桜花賞馬・グランアレグリアが「単勝1.5倍」と他馬を圧倒。
元々、一昨年のアエロリット、その前年のメジャーエンブレムの実績から、桜花賞路線で上位争いしていたレベルの馬が回ってくると実に強い、ということを多くのファンは身に染みて理解していたし、そこに、この馬の桜花賞での衝撃的な勝ち方*2と、藤沢和雄調教師&ルメール騎手という鉄板的要素が加われば、ここまで突き抜けた人気になっても決して不思議ではなかったのだが、その結果、同じレースに出ていた2歳牡馬チャンピオン(しかもマイルの朝日杯を制した馬)の存在感が必要以上に薄くなってしまっていた。

いつものように先行策をとったグランアレグリアにとっては、イベリス、クリノガウディ―といった一発狙いの逃げ馬が、競り合って想定以上に早いラップを刻んでしまったことも不運に働き、最後の直線でもたついたところで、後方でぴったりマークしていたアドマイヤマーズに差し切られて優勝をさらわれる、という事態に。

さらに、馬郡の後ろの方にいた人気薄の2頭が一世一代の差し脚を使って2.3着に食い込んできたことで、馬券的にはかなり荒れる結果となってしまったのである*3

自分も、グランアレグリアが「負ける」予測までは立てられたものの、まさか馬券に絡めない順位(入線時は4着)で終わる、ということまではさすがに想定していなかったし、「伏兵」が飛び込んでくるとしても、まだ芝で底を見せていなかったグルーヴィットあたりだろうと思っていたから、結果、痛い目にあったことは言うまでもない。

そして、これだけでは終わらなかったのが「令和最初の開催週」の恐ろしかったところで、最大の「波乱」は、上位3頭の着順だけが先に確定し、審議の青ランプが付いたまま地上波の中継が終わった後に起きた。

headlines.yahoo.co.jp

「5日に東京競馬場で行われたGI・NHKマイルカップクリストフ・ルメール騎乗のグランアレグリアは、直線で外側に斜行してダノンチェイサーの走行を妨害し、かつ走法妨害がなければ被害馬が先に入線していたと認められるため、4着に入線していたが5着に降着となった。」
「これによりルメールは5月11~26日まで騎乗停止処分となった。」
ヴィクトリアマイルのノームコア、オークスコントラチェックだけでなく、ダービーで1番人気が予想される皐月賞馬サートゥルナーリアまで乗り替わりとなる。」(2019年5月5日18:00配信 東スポWebより、強調筆者)

最近では滅多に見られない「降着」、そしてこのG1シーズン真っただ中に、昨年のリーディングジョッキーに対して実効6日間、という強烈な制裁が課されるとは・・・。

大レースでのルメール騎手の「走行妨害」自体は、どちらかと言えば「平成時代からの名物」だし、主役はあくまで馬。
サートゥルナーリアなどは、誰が乗っても順当に2冠までは達成できるだろう*4

ただ、誰が見ても「幸先悪いなぁ」とつぶやきたくなるようなトピックが最初の開催週からいきなり重なった、というところに、今後の競馬界における様々な波乱を予感させる何か、もあるわけで、あとは、それがこの世界だけにとどまってくれることを願うしかないのかなぁ、というのが、今の率直な感想である。

*1:メインのプリンシパルステークスは、ダービートライアル、ということもあって翌週日曜日の番組に組み込まれたが、仮にここで権利をとっても本番まで中1週・・・。この路線からの本番入着を本気で狙っていた陣営にとっては不運としかいいようがない結果になってしまった。

*2:超越した一頭の前に、法則は通用しない。 - 企業法務戦士の雑感参照。

*3:なお、2着に入ったケイデンスコールは新潟2歳Sの勝ち馬ではあったものの、その後はあまりぱっとしないレースが続いていたため、この日も「14番人気」という低評価に甘んじていた。また3着に入ったカテドラルも、前走アーリントンカップで2着に入って復調する気配は見せていたもの、そこまでの過程があまり芳しくなかったこともあって、この日、3頭出しだったキャロットファームの馬の中では人気上一段低い扱いを受けていた(7番人気)馬だった。

*4:キャロットは、既に代打としてレーン騎手を立てる方向で動いているようだが、この辺のドラマ分欠如(乗る予定の馬が決まっていなかった往年のベテラン騎手とか、台頭しつつある若手騎手とかに回してチャンスをつかませる、という粋な計らいは、少なくともノーザンファーム系の馬に関しては、平成末期には既に過去のものとなっていた)も今に始まったことではない。

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