久々に放たれた稀代の逃げ馬の輝き。

前週とはうって変わって良い天気に恵まれ、雹が降ることもなくパンパンの良馬場で順調に進行した今週の東京競馬。
メインのヴィクトリアマイルは、出れば確実に圧勝したはずのアーモンドアイが出なかったこともあって、1番人気に押されたのは同世代の2番手・ラッキーライラック
かつての桜花賞馬・レッツゴードンキや、かつてのオークス馬・ソウルスターリング、といった懐かしい名前にもスポットが当たる敗者復活的な一戦となった。

そんな中、最後の200mまで主役を演じたのは、我らがアエロリット。
久々の横山典弘騎手とのコンビで、ゲートを出るなり先手を狙ったアマルフィコーストやミッキーチャームを押しのけて迷わず先頭に。
そして、馬券を買ってハラハラしながら眺めているファンの心配を横目に、牝馬限定戦にしては明らかに速いペース(1000m・56秒1)で後続を離して気持ちよく突っ走る。

一年前、「必勝」と目されながら、2番手追走で最後は馬場の悪さに泣かされた(4着)*1この馬が、同じ舞台で「これぞアエロリット!」という走りを見せてくれたのが、ファンとしては嬉しくてうれしくて・・・。

開幕週以来、「前が止まらない」馬場になっていたとはいえ、他の先行勢はズルズルと後退を余儀なくされる展開の中で、「あとちょっと~」と叫び声が出るくらいのところまで粘ってくれたアエロリットのおかげで、後方から突っ込んできたノームコアとプリモシーンのタイムは、なんと「1分30秒5」。

かつて、マイルを1分32秒台で走れば「超ド級」と評されていた時代もあったことを考えると、もはや信じられない次元に達してしまった、というほかないのだけど、そんなタイムが出たのも、よどみないハイペースを演出した馬がいてこそ、である。
馬券には絡めなくても、着順も去年より落としていても(結局5着)、この日の主役は、久々に「逃げ」で才能を発揮したアエロリットだった、と自分は確信している。


なお、明日の新聞の見出しを飾るのは、おそらく、ノームコアで初のG1勝利を飾った若干25歳のレーン騎手の方なのだろう。

来日以来、短期間で既に13勝、川田騎手やルメール騎手を上回る勝率29.5%、という数字は、いかにいい馬に乗せてもらっていると言っても驚異的な数字であることは間違いないし、騎乗停止になったルメール騎手から乗り替わって早々、大舞台で見事な一発を決めた、というのも大きい。

この日のレースを見ても、準メインのプリンシパルSで、デビュー2戦目のヒシゲッコウを冷静に後方からインを突いて3着に持ってきた手綱捌きは見事だったし、出遅れたイーグルバローズを最後の直線だけで勝たせた最終レースもかなりの衝撃だった*2

なので、「ルメール騎手がいないあと2週間はもちろん、短期免許が切れる6月いっぱいまでは、この人を中心に回っていくのだろうなぁ」、「もしかするとここから「4週連続G1制覇」くらいまではさらっとやってくれるかもしれないなぁ」という妄想すらかきたてられてしまうのであるが、一方で、彼が母国に帰国した後の騎手界の勢力図がどうなるのか、というのもちょっと気になるところ。

生粋の日本人ジョッキーでも、海外出身のジョッキーでも、「いつまでも安泰」ということはあり得なくて、年中常に、世界のどこかからやってくる名手と競い合わないといけない、というのは、ちょっと気の毒な気もするのだけれど、見ている側としてはそういうのがないと面白くないよね、ということで、まずは来週のコントラチェックのレースぶりに注目してみることにしたい。

*1:ちょっとした雨のいたずら? - 企業法務戦士の雑感参照。

*2:このイーグルバローズ、という馬は出遅れ癖が付いていて、過去2戦、ルメール騎手が1番人気を背負いながら掲示板にも持ってこれなかった馬だったのだが、今回はレーン騎手が見事に脚を引き出した。

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