熱狂の宴の後の現実との対峙。

10日付のエントリーをいろんな方が宣伝してくださったおかげで、(他の人が書いて下さったコンテンツの「顧客吸引力」あっての話にもかかわらず)昨日、今日のページビューがどえらいことになった。

ここ数日別の仕事にかかりっきりになっていることもあって、経過はロクロク見ていないのだが、確認してみたら・・・??・・・!!

喩えていえば、東証”根拠なき9連騰”がまとめて2日間に集中したような話で*1、自分自身も首を傾げたくなるレベル。そして、開設以来14年以上変わらない「気合いを入れて書いた記事が必ずしもヒットせず、そこまででもない記事がなぜかヒットする」という法則を改めて思い知らされることになった。

まぁ、昨日電撃辞任した名物経営者の言葉によれば、自分も「アタマも鈍っている」年代のようだから、いい加減、判例の検討だとか、改正法の解説だとかといった、かたっ苦しい原稿執筆の仕事に時間を費やしてないで、月にでも行ってこい(行く金がなければ、月を見上げて詩でも吟じてろ)と言われてしまいそうだけど、幸か不幸か、自分は若い頃、かの経営者の方ほど知力体力を使っていないこともあり*2、今の方が冴えてるんじゃないか、と勘違いするくらい「変化」には鈍感だ*3

なので、もうしばらく、今のペース(読まれない長文記事+ごくまれにヒットする軽め記事のコンボ)にお付き合いいただければ幸いである。


なお、10日付の記事に関して言えば、「皆、盛り上がるのはいいけど、議論して高揚感に浸った後が大事」なんじゃないかな、と思っている。

自分も含めての反省だけど、法務の人々は、概して「考える」ことは皆好きだし、それをロジカルに「言語化」することも決して苦手ではない。

ただ、経営との距離感の話になると、考えていることを理解してもらわないといけない人々にダイレクトにぶつけられないのはもちろん、間接的に策を練って・・・ということもなかなかできないのが常で*4、そこでいつもきまって損をする*5

内輪で研究会の報告書を輪読したって何ら周囲からのポジティブなリアクションにはつながらないし、「経営陣の信頼」なるものが空から降ってくるわけでもない。

だから、「今、『法務組織』として、トップから十分な信頼を得られていない」と感じるのであれば、「どうしたら信頼してもらえるようになるか?」と悩む以前に、「どう策を講じたら信頼させることができるか?」とか、「どうすれば信頼しているふりをせざるを得ない状況に追い込めるか?」という戦術を駆使することこそが大事だし、そうしていかないと、これからの時代に「一極集中型」の独立した法務組織を維持することは難しいだろう。

一番手っ取り早いのは、コーポレート・ガバナンス報告書の開示項目に「他部門から独立した法務部門の存在」を追加するとか*6、ESG評価基準にその開示内容を取り込ませるとか・・・(笑)だろうけど、そんな大それた話ばかりしていても現実は変わってくれないから、自分も、今の立場でできることを地道にやろう、と思っているところである。

*1:つい1か月前、トランプ発言に端を発して延々と株価が下降の一途を辿っていた時は、あれこれ理由を付けて「まだ下がる、まだ下がる、底なしかも・・・」と言っていたアナリストたちが、数日前くらいから「やっぱり上がると思ってたんだ~」みたいなことを言っているのを朝夕のラジオで耳にし、「投資は自己責任で」という言葉を改めて実感した次第。そして、個人的には、同じように外れても、負けたらちゃんと反省したふりをする競馬評論家の方が、まだ好感が持てるな、と思ってしまうのである。

*2:これは変な意味ではなく、本当に凄いことだと思う。会社を立ち上げてから21年、今の通販サイトの形になってから15年。時系列だけは自分の人生とも何となくラップするところはあるのだけど、いろいろ毀誉褒貶はあっても、名実ともにあの業界では唯一無二の経営者としてトップの孤独に耐え、会社を牽引してこられたというのは間違いないわけで、それに比べて自分は何をしてきたのか・・・と、反省しかない。

*3:そもそも世に出てから30近くになるまで、本気で頭を使って「仕事」をした、という経験がほとんどなく、体力と反射神経だけで乗り切っていたので、そりゃあ比較しようもない。

*4:この点に関しては、”理を重んじる”というリーガルオリエンテッド特有の気質が、「職業的狡猾さ」を備えた他の管理・企画職掌との比較で相対的劣位をもたらす結果になっているような気がしないでもない。そこが「法務」のいいところでもあったりするので、”ワルになれ”とまではなかなか言いにくいところではあるのだけど

*5:「管理部門の人員一律削減」という大号令がかかった時に、馬鹿正直に丁寧に仕事を整理して言われた通りに人を減らすのが法務、さんざん言い訳を並べ、裏技を駆使して減らしたように見せかけて実は増員、となったのが人事や財務、というのも自分のいたところではよくある話だった。

*6:言い訳エクスプレインで逃げる実務が主流になるような気もするが、中には形だけでも合わせよう、と思ってくれる会社がいるかもしれない。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html