○○エフェクト、って言葉が最初に囁きだされたのはいつ頃のことだっただろうか。
確かにCDショップの衰退に始まり、Amazonの脅威の下で消えていく書店、小売店、といった類の話が米国発で世界中に広まってきていて、最近ではフォーエバー21、お前もか!という感じでなかなか痺れる感じになってきていたのだが、まだ一つ、リアルビジネスの象徴が倒れた、というニュースに接して、何とも言えない気持ちになった。
「英国の大手旅行会社トーマス・クック・グループは23日、ロンドンの裁判所に破産を申請した。英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感などから業績が悪化、必要な資金を調達できなかった。」(日本経済新聞2019年9月24日付朝刊・第7面、強調筆者)
記事上ではBrexitが決定的な原因のように書かれているが、今はExpedia、Booking,com、その他諸々のOTAが世界中を席巻し、それと平仄を合わせるように航空会社も大手ホテルもWeb経由直販で顧客囲い込みに走っている時代に、未だに「実店舗」へのこだわりを見せていた老舗旅行代理店が生き残れるほど時の流れはゆっくりではなかった、ということなのだろう。
”Thomas Cook”といえば、かつては欧州旅行を夢見る者たちにとって必需品のブランドだったし*1、最近でも、英国本国をはじめ、英国連邦圏ではまだ時々看板を見かけた。
それが、こんな形で終幕を迎えることになってしまうとは・・・。
最後にスポンサーになっていたのが中国企業だった、ということも含め、今の世界産業地図を丸ごと反映したようなこのニュースと日本が無縁なはずもないわけで、リアル店舗時代から生き残っているAGTが比較的多い日本でも、旅行商品が街角で買える時代が終わる日は近い*2。
どんな「進化」にもぶち当たる壁はあるし、そこでいろんな問題が湧きだしてきたところで生じる「反動」は必ず存在するので、このまま一筋縄で行くとは思っていないのだけど、それでも確実に時代は進む。
だから、消えていくものをただ惜しむよりは、消えた後に形を変えて出てくるものに希望を寄せよう、というのが、自分のポリシーではあるのだけど、全てが巨大なプラットフォームに飲み込まれていこうとする時代だからこそ、(競争当局の力を借りずに(笑))リアルビジネスで一矢を報いたい、という思いもあり、それがこれからのささやかな目標になるのかな、と思ったりもしているところである。
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