名物オーナー逝去の報が思い出させてくれたこと。

年末に向けてビッグレースが続く時期だが、そんな中、開催日当日に名物オーナー逝去のニュースが飛び込んできた。

「「アドマイヤ」の冠名で知られる近藤利一氏が17日朝、大阪市内の病院で亡くなった。77歳だった。近藤さんは今年7月9日のセレクトセール終了後には抗がん剤治療が終了したことを報告していたが、関係者によると、その後に転移が見つかり、現在は闘病中だった。」
武豊、馬主の近藤利一氏を悼む 「ダービーを勝たせていただいた」 : スポーツ報知

自分がこのニュースを最初に聞いたときに頭に思い浮かんだのは、「アドマイヤムーン」事件で*1、それだけに、武豊騎手がどういうコメントを出すのか(そもそもコメントするのか)というところも気になっていたのだが、そこはさすが当代一の名騎手。

「日曜朝に聞きました。たくさん乗せていただき、特にダービー(99年アドマイヤベガ)を勝たせていただいたことが印象に残っています。多くの思い出があるので残念ですね」(前掲)

実に大人の対応だなぁ、と心から感じ入った。

もちろん、あの一件を経て、2010年代に長い低迷期に突入していた彼が、齢50を超えて再び上昇気流に乗っている*2ということも、この前向きなコメントの背景にはあるのかもしれないけど・・・。

この日のマイルチャンピオンシップをインディチャンプで制した池添謙一騎手もそうなのだが、明らかに他の騎手より一枚も二枚も抜けた騎乗技術を持っていて、過去の実績もあるのに、馬主との関係等でなかなか大舞台で出番が回ってこない、という騎手が年々増えているのは間違いないところ*3

そしてそれも、かつてのような「個性的な大馬主」対「騎手」という構図ではなく、もっと大きな力によって組織的に動かされている。だから最近の競馬は面白くない、という話もしばしば耳にする。

だからこそ、今となっては「古典的」なエピソードのようにすら思える2007年の事件が懐かしく思い出されるわけで、その直撃を受けたジョッキーが違うところで活路を切り開いて、再び自らの力でポジションを取り戻した、ということにも目を向けずにはいられないのである。

なお、GⅠ2勝のアドマイヤマーズを筆頭に、故・近藤氏が残した38頭を誰が引き継ぐのか、ということにも興味は向くところだけど、「2代目」の心次第では、また再び「アドマイヤ」を冠したサラブレッドに武豊騎手が跨るシーンを目撃することができるかもしれないわけで、そんな日が巡ってきたらまたいろいろな感慨が湧くのだろうな、と。

*1:この20年くらい競馬を見続けている人々にとっては周知の事実だと思うが、ご参考までに引っ張ってくるとこんな感じ(武豊が社台グループを激怒させた3大失態(4)年間最多勝もまだ獲れる - ライブドアニュース)。

*2:今年はシーズンを1か月以上も残して早々と4年ぶりに100勝に達する勢いで、10年ぶりの勝利数に迫る勢いを見せている。

*3:福永祐一騎手のアクシデントによって急遽代打騎乗→今年初のGⅠ勝利、という結果を出すことができたが、本来なら毎年もっと多くのタイトルを獲れる騎手だと思うし、60勝程度のラインに留まっているような騎手でもない。

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