今年も懲りずに「占い」を。

一年の計は元旦にあり、という言葉を覚えてからもう40年近く経とうとしているが、相変わらず年末から年始にかけてのこの時期はダラダラムードで過ごしてしまい、自分に課したつもりのミッションを全く予定通りには消化できないまま、ズルズルと日が過ぎて行ってしまう。

ということで、せっかくの年の幕開けエントリーも、既に何日か経ってしまってからようやく、といったところで、今さら年始の挨拶をするのも出遅れ感が半端ないので省略。

その代わりに、昨年に続き、毎年恒例の「占い」でお茶を濁すことにしたい。

「経営者が占った2019年」はこうなった。

ちょうど1年前、経営者20名が「2018年」の予測をことごとく外したことを揶揄しながら、ついつい調子に乗って自分も日経平均のトレンド予測に手を出してしまったのだが、今となっては後悔しかない*1

自分が予測した中身は、大体こんな感じだった。

・年明けから春先までは米中間の緊張緩和やハードBrexit回避(そもそも撤回もありうる)のムードが高まって相場的には上昇基調で推移。
・5月頃に一度調整の大波が来る(G20の動向次第では、6月にさらに下がる可能性も)。
・国内主要各社の第一四半期&通期見通しが出てくる7~8月頃(おそらく増税を見越した駆け込み需要で数字は予測より跳ねる)に再び上昇に転じる。
・消費増税を控えた9月に利益確定売りで一気に調整局面へ。
・10月以降は、実際の国内消費動向と、世界の動き次第。特に中国の建国70周年(10・1)に合わせて何が出てくるか、による。

で、結果を眺めてみると、2018年末からの流れで大発会で450円超下げたものの、その翌週から相場が一気に上昇に転じ、その後も留まるところを知らずに5月ほぼ右肩上がりで推移した、というのは、想定の範囲内。そして、上がり切ったところでGW明け、米中間の緊張もあって一気に調整が入り(5月7日~10日の間に日経平均は900円超下げた)、6月初めに20,400円台まで下落、その後7月に再度上げに転じた、というあたりまでは、まさに読み切った予想通りの展開だった。

8月に入ってから大きな下げの波が来たときも(結果的に、8月26日に終値20,200円台にまで落ち込む)、想定していたよりちょっと早かったけど、このトレンドでそのまま行くのだろうな、と思っていた。

ところが・・・である。

終わってみれば、その辺りが実質的に今年の底値。その後、株価は9月いっぱい上昇を続け、10月上旬に一瞬「谷」に入ったものの、10月15日に終値22,000円台を回復して以降は、一度もそのラインを割ることなく、12月までほぼ右肩上がりに上昇し続けた。

元々製造業は、今年前半からかなり業績の下振れが続いていた上に、今年後半の株価の指標となるはずだった増税後の消費動向もまぁまぁ深刻な状況。さらにはここ数年、日本の小売・サービス業界を下支えしてきた「訪日外国人効果」という神風も大失速していた状況だったにもかかわらず、終わってみれば、

最安値 19241.37円(1月) 最高値 24091.12円(12月)

という、多くの企業経営者が飛びつく”終わりよければ~“的な結果となってしまい、「前半に山、後半に谷」という少数の予想者に親近感を抱いていた者としては、何とも残念なことになってしまった*2

もちろん、12月に最高値更新、というところまで読み切った人は「経営者」の中にもほとんどおらず、「年終盤」というところまで緩和しても、”願望”も入った予想をされていた証券会社の方お2人*3と、日本ガイシの大島卓社長くらいなのだが、それ以上に自分自身が外してしまった、ということに、ちょっとした無念さを感じている。

そして、この流れを受けて、今回の「経営者が占う2020年」でも、11月~12月に山が来る、という予想の方が20名中7名(レンジは25,000円~27,000円)、トレンドとしても前半に谷、後半に山、という傾向の予想が過半を占める、という状況なのであるが・・・


2019年を通じて改めて分かったことは、今の日本の証券取引所の株価は、大型株であればあるほど、各企業の個別の業績動向とか、足元の国内景気とは無関係に「トランプ大統領のツイート」と、頭越しに繰り広げられる米中間の貿易摩擦の動向如何に左右される、ということで、だからこそ、4年に一度の米大統領選挙がやってくる2020年は、本当にどう転ぶか分からない、というのが正直なところである。

米国とは異なり、既に足元で景気の悪化を示す兆候が如実に見え始めている今の日本で、株価チャートがこのまま右肩上がりで伸びていく、なんてことは誰も想像していないとは思うのだけれど、それ以上に米国の貿易・為替政策、金融政策の振れ幅が大きすぎて、”一息”がどこで入るのか、入ったとして、それがまだ上り坂の途中の踊り場なのか、それとも”リーマン級”の惨事につながるのか、予想することは極めて難しい。

ただ、それでも2年続けて恥をかくことを承知で、以下、予想を書き残しておくことにしたい。

・昨年の大納会からの流れと、予断を許さない米中関係、不穏な中東情勢の影響で、1月はキツめの下げでスタート。
・2月中旬くらいから、トランプ大統領が本選を意識した株価引き上げのアドバルーンを打ち始める。Brexitの混乱も一服で、世界的に株価は上昇基調に(3月末くらいが山?)。
・3月期決算の数字が出始める4月中旬~5月にかけて、2019年度の着地と、2020年度の業績見通しの下振れが相次ぎ、一部の個別銘柄の下げが深刻化。
・さらに、五輪効果で景気回復、という当て込みが思ったほどではない、という数字がチラホラ出始めたことで、6~7月はさらに低迷。
・日本人がオリ・パラに夢中になっている間に、大統領選を意識した政策のあれこれで株価は乱高下。
トランプ大統領の再選を見込んで、10月末までは上昇基調をキープするものの、11月3日の結果が出た後は、現大統領が勝っても負けても反動で株価は下落。

ということで、前半の山は3月、谷は6月、後半の山は10月、逆に一番の谷底が結果的に前の方に来ることになるか、後に来るのかは大統領選の結果次第、という予想である*4

もちろん、日本でも五輪前後で政権交代(少なくとも首相交代)が実現する可能性は、決して低くないと思ってはいるのだが、それがすぐに何か大きなインパクトにつながるとも考えにくいので基本的には織り込んでいない。

また、その他の点については、これまで世界中の”金余り”状態の中で、潤沢に資金が供給されてきたVC絡みのお金の流れがいよいよ逆回転し始めて、今年は倒産・企業再生分野の弁護士の出番がかなり増えてくるんじゃないかな、ということと、人手不足が深刻化する中で都心部でもコンビニ等の「大量閉店」ブームが起きて、いよいよ不動産価格も賃料相場もマイナスに転じる、という二点を、占い師の当たらないご託宣として、掲げておくことにする。

個別の取引なり、投資案件なりを見ていけば、全体のトレンドとは「逆方向」に動くものも当然あって、”逆”の動きだからこそ勝ち残った時のリターンがより大きい、という幸運を味わえる人も出てくるとは思うのだけれど、それよりは、本当に気づいていないのか、あるいは気付かないふりをしているだけか、傍で見ていると、普通に世の中のあれこれを観察しているだけでも分かるような如実な変化に気付いていないように見える人の方がはるかに多いのもまた事実だけに、自分自身への戒めも込めて・・・。

*1:恥を忍んで当時のエントリーを上げておく。「占い」は外しても、読み外したくない時代の潮流。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

*2:現物株で資産運用している限り、「株価が上がって損する」という場面は限られるのだが、結果的に、保有銘柄の安値売り & 欲しい銘柄は気が付けば目標株価から大きく上方乖離しているために資産を増やせない、という憂き目にあったことは間違いない。

*3:SMBC日興証券大和証券グループ本社、ただし、高値の金額レンジはさすがに予想額が高すぎるので、これで「当たった」というのは・・・という感じである。

*4:なお、自分は民主党の指名候補者は、エリザベス・ウォーレン上院議員になると予測している(一時の勢いはだいぶ落ちてきた、という報道もあるところだが・・・)。日本では、対ウォーレンなら現大統領が再選される、という予測報道も多いのだが、そればかりは蓋を開けてみないと分からないのではないかな、と。

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