変わらないことに価値がある。

3月、この時期の週末は、百貨店の地下がホワイトデーに向けた催事で盛り上がるのだが、今年足を運んでみたら案の定、いつも長蛇の列ができているような売り場も、まぁそんなに待たずに買えるな、という感じの雰囲気になっていた*1

日経の朝刊にも、日中の勤務者人口が2割減、夜の銀座で5割減、というデータが出ていたりして、いい意味でも悪い意味でも日本が変わっていく渦中にあるのだろうな、と思う。

ただ、この週末もこれだけは変わらなかった・・・というものがある。

それは言うまでもなく「馬」だ。

もちろん、先週のエントリーでも書いた通り、「無観客競馬」というのは中央競馬の歴史の中でもかなり大きな事態ではあるのだが、この世界の凄いところは、

「競馬場に行けなくても、そこにいるかのような臨場感の下で馬券を買い、レースを楽しむことができる」

ということを長年追求し続けてきた歴史がある、ということにある*2

物理的に設置できる競馬場の数、レースを開催できる場は限られており、場外馬券売り場も「迷惑施設」として敬遠される状況の中、ラジオで、テレビで、そしてネット投票で・・・。

自宅の環境さえきちんと整えれば、少なくとも馬券を買う、ということに関しては、競馬場やWINSに足を運ぶよりよほど充実した環境で楽しめるわけで、他の週末の「現場観戦型」スポーツが軒並み休止に追い込まれている分、なおさら、淡々とレースが行われていることの価値は高まっているような気がする*3

ちなみに、今週の2日間で変わったことと言えば、短期免許でヒューイットソン、という長い名前のジョッキーが南アフリカから来日したこと*4、そして、あの伝統の弥生賞もまた「報知杯弥生賞ディープインパクト記念」という長ったらしいレース名になった、ということである*5

後者に関しては、昨年亡くなった歴史的名馬の名前をどこかのレース名に冠したかった、という主催者の思いは分からないではないのだが、往年のあの馬のスケールを知るファンとしては、「それが弥生賞か?」と問われれば絶対違う、と断言する*6、どうせ名を冠するのであれば、G1級のレースを新設して名馬に報いるべきだったのでは?と思わずにはいられない。

ただ、そんな名称変更を経た最初のレースで、今年重賞未勝利だった武豊騎手が、ディープインパクト産駒できっちり勝った、ということについては、さすがだなぁ。。。と嘆息するほかなかった、ということは申し添えておきたい*7

土曜日には、チューリップ賞阪神JFの上位組が激しく火花を散らしていたし*8、トライアルレースが続く来週、再来週を乗り切ればあっという間に春のGⅠシーズンに突入していく。

このままズルズルと「無観客」が今年の定番になってしまうのか、それとも、クラシック本番に突入する頃には、中山で、府中でいつもの賑わいが戻るのか、神のみぞ知る世界ではあるのだけれど、変わらないことのありがたさをかみしめながら、次の週末をまた待つことにしたい。

*1:それでも「閑散」というには、それなりの人出はあったので、せいぜい平年の3~4割減くらいで済んでいるとは思うのだが。

*2:この点は、今日から「無観客」での催行が決まった大相撲にも共通するところはある。こっちは”賭け”は禁物だが。

*3:もっとも、「競馬場に行こう!」系のキャンペーンCMは、ラジオを聞いていても残念ながらここ2週間ほどは、耳にすることがなくなった。現地観戦には現地観戦の良さがもちろんあるだけに、一日も早い”正常化”を望んでいることは言うまでもない。

*4:ラジオの解説では「まだまだコース取りが・・・」みたいな突っ込みも受けていたが、ノーザン王国の強力なバックアップの下、帰国したマーフィー騎手からの乗り替わりで素質馬に騎乗する等の幸運に恵まれることもあって、3勝、とまずまずの好スタートを切っている。

*5:これ、JRA-VAN等での表記だと、「報知弥生ディープ記念」になっていて、全部中途半端だから何とかしてほしい、と思ったのは自分だけだろうか・・・。

*6:だからといって、神戸新聞杯とか阪神大賞典のレース名を変えれば良い、というものでもない。

*7:今年は朝日杯FS組の出走がなく、ホープフルS組も3着のワーケアが最高位。あとは新馬、未勝利、条件戦からの参戦、ということで、買いどころは非常に悩ましいメンバー構成だったのだが、終わってみれば「唯一の」ディープインパクト産駒が勝つ、というできすぎた結末となった。

*8:キズナ産駒のマルターズディオサの力強い勝ち方は、クラシックでの快進撃を予感させたがさてどうなるか・・・。

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