今日のCOVID-19あれこれ~2020年4月9日版

緊急事態宣言の効力が発生してから2日目。

既に「休業要請」を遅らせたのはけしからんだの何だの、という泥仕合的な話が飛び交っているようだが、その決着を待つまでもなく、街中の飲食店は軒並み店じまいし、一見関係なさそうな雑貨店や文具店に至るまでシャッターを下ろしてしまった。

確かに自分も「外出自粛要請の2週間後に休業要請を」なんて話は妙ちくりんだと思うし、非常に憤っているのだが、その理由は、一部の小池都知事シンパ(?)のような「営業を継続させるのはけしからん」という理由ではなく、「高リスク施設への休業要請より先に『(一律の)外出自粛要請』なんか出しちゃったら、2週間待つまでもなく、関係ない業種までみんな店閉めちゃうだろ!」という点に尽きる。

目標の「8割減」にはまだ届いていないのかもしれないが、自分が見る限り、既に東京の山手線西側エリアでは、「5割」どころか、「6~7割」までは確実に屋外の人口が減っている。

そして、そんな状況で、営業を続けてきっちり利益を出せるような事業者がそうそういるはずもないのであって、加えて、既に各種補償や家主の賃料減免等、様々な休業インセンティブが浮上している状況では、まさに「閉じたもの勝ち」*1

もし、本当に「三密」を解消し、感染拡大の温床となるような「接触」の機会を減らそう、と考えていたのであれば、居酒屋やバー、クラブからフィットネスクラブに至るまで、実績のあるクラスター発生源に等にピンポイントで強度の営業中止要請を行うのがまず最初だったはずだ。

その上で、感染者数が一向に減らず、他のクラスタ発生源が疑われるようなら段階的に「中止要請」の対象を広げていく。それでよかったのではないか・・・?


もちろん、こういう社会的に重要な局面で発するメッセージに「分かりやすさ」が必要なことは自分も十分承知しているし、それゆえに、子供でも十分意味を理解できる「外出自粛」というフレーズがまず最初に来てしまったのかもしれないが、初期の段階から指摘されている「達成しようとしている目的と、その制限手段のバランス」の問題は結局未だに宙に浮いたまま。

しかも、裏側で猛烈な政治への働きかけが行われているのか、普通に考えれば高リスクでは?と思われるような業種がなぜか「営業自粛要請」の対象から除外されようとしていたり*2、既に休業に追い込まれている業界でも、「うちに手厚く」の声ばかりが目立って、いくら大盤振る舞いすべきタイミングだからといっても過剰にリップサービスし過ぎでは?と思われるような事例も散見される。

一時地獄絵図のようになっていた武漢が2か月半で封鎖解除、より悲惨なことになっていたイタリアや、目下最悪期を迎えている米国ですら、ロックアウトから1か月経って「ピークアウト」という声もチラホラ出てきたから、それが本当なら”終わりなき戦い”にはならずに済みそうだな、という気はしてきているのだが、それもブレない、かつ、効果的な対処方針があってこそ

だからこそ「民の声」、それも永田町の近くで大きく響く声に振り回されて右に行ったり左に行ったりしないでほしいな、というのが一つ。そして、「東京」、それも「東京駅周辺」だとか「新宿駅周辺」だけが日本ではないぞ、そこで減った人々がどこに行ったかまで追っていかないと、思わぬところでクラスタ大発生を招きかねないぞ・・・*3、という二点だけは、書き残しておくことにしたい。

*1:そうでなくても、ついこの前までこの国は高騰するアルバイト人件費に経営が圧迫される!と騒いでいた国なのだから、ここでいったんいろんなものを切って、コスト構造を再構築するにも今はちょうどいい時間だったりする。もちろん、どんな状況でも確実に人件費をカバーできるような豪快な粗利で稼げる業種・事業者だったり、固定費が賃料と自分の体だけ、という零細事業主の場合は話は別かもしれないが、それに加えて、稀少価値があるがゆえの「新型コロナウイルス被弾するリスク」まで計算に入れるならば、もはや営業を継続することには一片の経済合理性もないと思われる。

*2:例えば、待合スペースに不特定多数の人々が一定時間滞留する「理髪店」「美容室」のような業種はどうしたって高リスクになる(病院の外来棟が危険、と言われるのも似たような理由だったはずだ)。さすがにいつも大量の待機者がいる某有名チェーンは一斉休業に踏み切ったのが、そこまで行かなくても「完全予約制・入替制で、待ち時間ゼロにする」くらいのことをしない限りは危ないんじゃないか、と自分は思っている(ということで、しばらくは髪を切るのも無理そうだ・・・)。

*3:もちろん、賢明なクラスタ対策班は、あらゆるデータをかき集めて分析に着手してくれているのだろう、と信じたいところだが、「4・8」前後で逆に人口密度が増える場所、というのも確実にどこかにある、ということは気に留めておきたいところである。

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