遥かなる大地に再び立てる日は来るのか?

日本では急スピードで収束に向かいつつある「新型コロナウイルス禍」。

あれほど猛威を振るった米国や欧州からも、ペースの違いはあれど、既に「制限解除」の声は聞こえてくるようになったから、気の早い株式市場が盛り上がるのもまぁ当然か、という状況ではある。

だが、今日の朝刊1面、まだまだ~という感じのニュースを見て思わず仰天してしまった。

「インド政府は17日、行動制限を含む都市封鎖(ロックダウン)を31日まで2週間延長すると発表した。3月下旬に始まった都市封鎖は感染者の少ない地域から段階的に緩和され、今回も長距離バスの運行が条件付きで許可された。ただ都市部を中心に感染者の増加は続いており3度目となる延長を決めた。」(日本経済新聞2020年5月18日付朝刊・第1面)

すっかり見慣れてしまった感染者数の「カーブ」が未だに天高く伸び続けているのは、決してこの国だけではなく、しかも、数で言えばロシアやブラジルの方が圧倒的に多い。

あの人口にして、まだ感染者数が10万人にすら届いていない、というのは検査体制等々を考慮しても、ちょっと少なすぎる気さえする。

ただ、個人的にこの国らしいな、と思っているのは、「封鎖」に向けて動き始めたタイミングだけで言えば、実はこの国、結構早かったのだ。

そうでなくても取得するのが面倒な訪問インド用のビザを一斉に「無効化」され、皆仰天したのは3月の初めのことだったし*1、3月下旬にはいわゆるロックダウン(都市封鎖)に踏み切っている。

まだ欧米ほどは感染者も出ていなかった状況で、日本より一足も二足も早い判断だったから、ここまではさすがだな・・・と思ったのだが、問題はそこから。

通常なら、都市封鎖して1か月を超えたくらいから、ちょっとずつ落ち着きを見せ始めても不思議ではないのだが、2か月近く経ってもまだまだ収まる気配が見えず、今回とうとう3度目の延長と相成った。

かつては頻繁に足を運んだこの国も、昨年は丸々一年足を踏み入れることなく過ぎてしまっていたので、本来なら今年のGWくらいには足を運んでいても不思議ではなかったのだけど、こんな状況ではとてもじゃないが無理。

・最先端のものに飛びつくのは早いが、それが隅々まで浸透する頃には進化が世界を一巡している。
・どこに行っても大抵人が集まってる。人口に比して人のいられる場所が狭すぎるから、大都市圏で「キープ・ディスタンス」と言ったところで象に平均台の上を歩かせるようなものだし、「ステイホーム」といったところでスラム街のバラック小屋の中は常に「密」。
・ことを進めるために汗をかく時間より議論する時間の方が長い。そして、その結果、何事も牛の歩みのようにゆっくりとしか進まない。
・おそらく議会でも現地のCNNの番組でも、連日、登場人物がしゃべり続けているだろうが、そうこうしている間に1か月、2か月、あっという間に過ぎていく・・・。

百家争鳴、議論こそ正義。究極の民主主義が徹底して貫かれているがゆえの悲劇というか喜劇というか。

自分がいつも現地で使っていたUberやZomatoのアプリからは、「エッセンシャルワーカー優先で」とか「グリーンゾーン限りの営業で」といったようなメッセージが時々飛んできて、それを見るたびに懐かしい気分になるのだが、こんな調子だと、半年後、1年後もまだ「禍」が現実的な脅威として続いていても全く不思議ではなく、異国の民が観光で足を運べるようになるのは、一体いつのことになるのやら・・・。

できることなら、これを機に「消毒」文化が一気に普及して、日本人出張者の3人に1人が腹をこわすような現地の諸々の環境が劇的に改善される、といった夢でも見たいものだが、それを確かめに行けるのも、まだまだ先のことになりそうである。


・・・と、いろいろと皮肉交じりに書いてしまったが、どこの国の人であっても命が尊いものであることに変わりはないのは当然のことだから、今はかの国でも、一人でも多くの命が救われますようにというのが一つ。

そして、最後に、定時株主総会の延期や、継続会に踏み切った会社の中に「インドの決算手続きの遅れ」を理由とする会社も多かった、ということを思い出しながら、もうこれ以上、財務、IR、そして総会担当者にご苦労がかからなければよいな、ということを祈って、このダラダラとしたエントリーの締めとしたい。

*1:なお、その後、先日の「無効」の話は無効、あくまで一時的な措置でした・・・的なオフィシャルリリースも出たようで、何ともこの国らしいというか何というか、である。インド ビザの一時無効措置に関する大使館からの案内 | 日本橋夢屋

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