まだまだ「無人」でいいじゃないか、と思う週末。

世の中は、もはや分裂してしまったのではないか、と思うくらい奇妙な日常が続いていて、全国の感染者数の数字だけ見れば、今や4月の「緊急事態宣言」発出日の数字さえ超えてしまっているのに、お上からは行動抑制を促すどころか、「まだまだこれから、どんどん本格的に経済活動再開していくよ!」という危ういメッセージが発せられているように見える状況で、思慮深い人であればあるほど困惑するような状態になっている。

あちこちで再び発生し始めたクラスタの報に接すると、

「3月、4月に国や自治体が苦労して行っていた各種要請がいかに正しいものだったか。」

ということを改めて実感せざるを得ないし、それでもなお「そんなもんただの風邪だ。飲み屋が営業再開し、イベントも人が入れるようになったのに行かないのは臆病者だ!」等々のたまわれている方々には、本当に一度自ら罹患して「大丈夫であること」を証明してほしい、と思うのだが*1、今は、そこで喧嘩するより自分の身を守ることがまず最優先、ということで、「人の集まるところにはいかない」「人と密に接触せざるを得ないような機会はすべて避ける」というのをとにかく徹底している今日この頃*2

ここにきて、プロ野球Jリーグが、限られた人数ながら「観客」を入れ出したことについても、あくまで他人の商売の話だからとやかく言うつもりはないのだが、球場に人を入れるとなれば、そのためのコストも当然かかることになるわけで、収入に見合わないかもしれないコスト増や、クラスタが生じた場合の風評リスクまで考慮してもなお、「5000人」の入場者にこだわる、というのは、自分にはちょっと理解できないところではある。

そんな中、JRAも、この週末から遂に北海道内をはじめとする一部の「ローカルWINS」で馬券の発売を再開した。

利用者の数では圧倒的に多い首都圏のWINSは変わらず閉鎖したままだし、そもそもここしばらく、馬券の売上自体は全く落ちていない(むしろ対前年比10%を超える勢いで伸びている)のがこの世界だから、わざわざ開けるのは、純粋な経営とはまた別のところにある地域への配慮だとか、地元雇用創出といった要素に起因するところが多いのだろう。

そして、土曜日の売上の数字だけを見れば、前年比∔16.6%、函館競馬の売上に限れば∔20.9%、と、ここ数か月の間に開拓したユーザー層に「リアル馬券購入層」が加わったことによる効果も明確に出ている。

ただ、ここまでせっかく、競馬サークル内でクラスタを発生させることもなく、大事な大事な競走馬にウイルスを伝染させることもなく、しっかりと守って育ててきたことを考えると、これ以上に関係者以外の「人」がリアルにかかわる機会を増やすのは時期尚早だろう、という気がして・・・。

大きなレースのシーズンは一段落したけれど、続々とデビューする2歳馬たちのレースと、後がなくなった3歳未勝利馬たちの必死のレースが交じり合う、そしてトリッキーなコース形態、洋芝、不安定な気候に、世代の混合、といった春競馬にはなかった様々な変数的要素が加わる、という状況の中、地味だけど面白いレースが毎週続く、というのが今の状況*3

それだけに、今を楽しむ、という意味でも、おそらく治療薬が間に合って「新型コロナ」そのものへのリスク度合いも劇的に改善する(はずの)秋以降の競馬を楽しむためにも、「頼むから、今無理して『有観客』の方向にもっていかないでくれ・・・」というのが、今のささやかな願いである。

週明け以降、政府の方針が転換され、再び「抑制」方向に舵が切られることで杞憂に終わるのか、それとも、「国策」の前にリスクを抱えた運営をJRAが強いられることになるのか、あるいは、世の中の動きも”馬耳東風”とばかりに独自路線を歩み続けるのか・・・。

ラジオから流れてくる過去のレースの録音放送には、当然、観衆のざわめきや声援も吹き込まれていて、そういったものを耳にすると「いつかは競馬をライブで楽しめる日々が戻ってきてほしいものだなぁ」という思いに駆られるのも事実だが、何度も言う通り、「急いだ結果、元の木阿弥」というのではどうしようもないし、この業界のこれまでの優等生ぶりを考えると、万が一の場合は、「元の木阿弥」どころか「純粋な状況悪化」になってしまうわけだから、やはりここは、どんな声が出てこようが、「No コロナ」にならない限りはまだまだ「無人」で良い、ということを強く訴えておくことにしたい。

そして、もう一度、3月、4月の、毎週、週末を無事迎えられるかどうかが不安で仕方なかった頃のことを思い出し、初心に帰って、

「次の週末も無事、レースが開催されますように」

とただひたすら天に祈るのみ、である。

*1:そういう人に限って、自分は安全なところにいて、他人を煽るだけだし、万が一自分や身の周りの人がかかるようなことになったら、掌を返して「国の無策」を責めるに決まっているのだ。

*2:普通に買い物したり、マスク越しに会話をしている限り問題は起きない、というのは、既に4月、5月の状況が証明してくれたことでもあるので、「段ボールに付着したウイルスまで恐れる」といった過剰な感覚には陥らず、だが、決して間違っても団体客のいるような居酒屋には足を運ばない、といったリスク回避のための正しい行動の選択こそが今求められていることだと思っている。

*3:今日の七夕賞も、馬と騎手のコース相性(内田博幸騎手はこれで2週連続福島重賞を制覇している)と、この荒れまくった馬場への耐性といったところから推理すれば、クレッシェンドラヴの勝利と、伏兵ヴァンケドミンゴの馬券圏内入線までは予想できたはずで、後付けだとそういう説明もできるのに、いざ予想するときは微妙にずれたところで勝負して後悔を余儀なくされる、というのもこの季節の伝統だったりする。

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