「23」の先にあるもの。

相変わらず週末の売上は留まるところを知らず、ここにきて対前年比∔50%前後の数字を開催日ごとにたたき出している中央競馬

それでいて、世の中の変化には機敏に対応し、決して情に流されることなく、「地元限定、僅か600人」という観客入場プランすらここにきて撤回する、という迅速な意思決定ができるところが政府の外郭団体とは思えないくらいの素晴らしさだと思うわけで、このまま秋のシーズンまで、徹底した管理体制で乗り切ってほしいと思わずにはいられない。

そんな中、この週末開催の話題としては3つほど。

1つは、これまで勝ち上がった馬が僅か1頭にとどまり、今年のセレクトセールでも評価ガタ落ち、と伝えられてきた種牡馬モーリスの産駒が新馬戦で3勝を挙げたこと。

モーリスといえば雄大な馬格が目を引くいかにもパワータイプ、という感じの馬だっただけに、新潟競馬場が東京にいると想像もできないようなひどい雨に見舞われ、日本一水はけがよいはずの芝コースまで悪コンディションになったことが産駒たちにはかえって幸運だったのかもしれないし(今週の新潟の2勝は稍重、不良の芝でのもの)、同じ理由で洋芝にも向いていた、ということなのかもしれないが(これまでの唯一の勝利は函館、今週も札幌の芝で1勝)、これでホッと胸をなでおろした人も多いことだろう。

パンパンの新潟コースで息を吹き返したドゥラメンテ産駒に続き、モーリス産駒もこの先勝ち星を積み重ねて行けるようになれば、ますます今後の”ポスト・ディープインパクトキングカメハメハ”の争いが面白くなるはず。

続く2つは、騎手の話、ということで、まずは日曜日の武豊騎手の4200勝

武豊騎手の場合、とっくの昔に「誰も踏み込んだことのない領域」に突入していて、こと通算勝利数の記録に関しては、”自分との戦い”の中で淡々と数字を伸ばしていくだけ、ともいえるから、「節目」だからといっていちいち大騒ぎするのは失礼なことなのかもしれないが、それでも歴代2位の岡部幸雄騎手に水をあけること1200勝以上。

数年前に「衰え」とか「そろそろ終わり」といった類の陰口すら飛び交うようになっていた騎手が、ここにきて完全復活を遂げ、現時点でリーディング3位の71勝を挙げているというのだから、もう何というか・・・である。

このペースでいけば、よりキリの良い「4500勝」、そして「5000勝」も徐々に近づいてくるわけで、その時まではまだまだ自分も追い続けていたい、と思わずにはいられない。

そして、最後はやはり、23歳の誕生日に藤田菜七子騎手が久々の2勝を挙げた、というニュースだろう。

新たに導入された斤量システムの恩恵を受けているところがあるとはいえ、藤田騎手の騎乗には年々確実性が増している。

デビューした頃の単なる”アイドル”的な取り上げ方や、いわゆる”クオーター”的な発想で彼女を見るのは、今や全く適切ではなく、特に今週も勝ち星を挙げた新潟「千直」のようなレースになってくると、話題性よりも何よりも、腕をかって彼女を鞍上に指名したい、と自分が馬主なら間違いなく思うはず((とにかくスタートダッシュを確実に決めてくれる、というのが大きいところで、元々コース相性が良い上に、お手馬が大外枠に入った日曜日の9Rなどは、彼女の馬を軸にしない選択はあり得なかっただろう、と思うところである。

また、変則的な2場開催ゆえ、関西からも多くの一流騎手たちが参戦している中、この開催最終日の新潟で勝ち星を挙げたことも特筆すべきことといえるだろう。

現時点では、迎えた歳の数にわずかに届かない「21勝」という数字にとどまっているが、来週から再び定番の3場開催に戻れば、有力馬への騎乗機会もより増えるはずで、夏の間の固め打ち、というストーリ―だって十分にあり得る。

同じ日に競馬界のレジェンドが記録した「4200」という数字はまだまだ遠いし、いくら彼女が今の人気を背景に果敢に挑み続けたとしても、そこまでたどり着くのはさすがに難しいだろうと思う。

ただ、だからと言って関東リーディングのベスト10争いが目標になってしまっては先々の進歩も望めないわけで、レジェンドと平凡な騎手の真ん中にある「その先」を見据え、さらに、もう再びケガで離脱の憂き目にあうこともなく着実に様々な壁をぶち壊していく存在になってほしい、と思わずにはいられないのである。

以上、とりとめもない語りとなってしまったが、まずは一歩一歩の地道な取り組みが何よりも大事、ということで、来週の開催も無事行われることを願いつつ、再び始まる新しい一週間に備えることとしたい。

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