たった2日間、されど2日間。

あっという間に8月も終わりに近づき、夏競馬も終幕を迎えつつある。

そして今週あたりから、3歳馬にとっては文字通り生き残りを懸けた「最後の未勝利戦」に、そしてまだ先のある2歳馬は、来年のクラシックを占う締めの重賞に突入していく。

3歳馬にとってはこれまでの一年、2歳馬にとってはこれからの一年、いずれにせよ長い道のりの中の一開催週に過ぎないわけだが、それでも勝つと負けるとでは大違い。

特に3歳馬は、デビュー戦から好走を続けていた良血馬もここで掲示板に乗らなければ、中央での馬生はいったん絶たれることが確実になってしまう、ということで、本当に悲喜こもごもの展開に。

生き残りを懸けたレースほど本命馬が勝てない、というのは毎年よくある話ではあるのだが、この週末は特にその傾向が強く、札幌に至っては3歳未勝利戦を含むすべてのレースで1番人気が敗れる、という滅多にないような結末となった。

北国にしては珍しくこの時期に天候が荒れたせいだったのか、それとも何か極端な運気の乱れが生じていたのか・・・

その結果、割を食ったのが、夏競馬に入ってからの再三の固め打ちでリーディングをひた走っていたルメール騎手で、この週末は結局1勝もできずじまい。

報道によると、騎乗した週では実に「2年7か月ぶりに未勝利」*1と報じられるまでの事態になってしまったのである。

彼ほどの騎手になれば、「競馬場の空気が荒れたから勝てなかった」と説明すべきなのか、それとも、「ルメールが勝てなかったから荒れた」というべきなのか、よくわからないところはあるのだが、いずれにしても「勝てなかった」という事実に変わりはない。

本来であれば、ここで猛追してプレッシャーをかけるはずの川田騎手も、騎乗した1番人気の馬を4度も取りこぼして2日間で3勝にとどまったから、縮まったとはいえ128勝と116勝、まだまだ2ケタの勝利数の差を付けている状況ではあるのだが、たかが2日、されど2日。

毎週末の勝負の世界に身を置く者たちにとっては決して短くないこの48時間の間に、1番人気馬に騎乗すること10回、そのすべてに負ける、という悲劇を味わったルメール騎手の翌週以降のバイオリズムの変調度合いによっては、一度は決まったと思われたリーディング争いも分からなくなってくる。

加えて、もう一つの世代内闘争、2歳重賞の方でも、今週の新潟2歳Sでは”青の刺客”ゴドルフィン勢が人気も着順もワン・ツー、というこれまではちょっと考えにくかった結果となり、ノーザンファーム一強時代の終わりを予感させるような不穏な空気が漂っているだけに、ここからいろんな要素がかけ合わさって地殻変動が起きるのかどうか・・・。

様々な候補者の名前が挙がり「戦国」を予感させた自民党総裁選が、現総裁の退陣表明後たった2日で、「本命」の出馬表明により事実上決着がついてしまったように、今は荒れ模様の2歳戦も、秋デビューのたった一頭の馬の鮮烈な走りで一気に勢力図が固まってしまうことはあるのかもしれないが*2、今流れているのはここしばらく味わっていなかったような”変な空気”だけに、もうしばらくは性格悪く期待しながら見守れれば、と思っているところである。

*1:ルメール2年7カ月ぶり土日未勝利「これも競馬」(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース参照。

*2:昨年のコントレイルなどはまさにそのパターンで、デビュー戦の時点で翌年のダービーまで予言した関係者は多かったし、事実そうなった。

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