輝きだした「白」の系譜。

しばらく続いていた夏競馬もいよいよ最終週、そして世の中の流れも大きく変わる中、様々な「異変」も起きた。

まず土曜日の売上がわずか0.9%とはいえ、前年を下回る結果に

夏に入る前まではボリュームが大きいGⅠ、重賞が前年を割り込んだことで日曜日がマイナス、というパターンはそれなりにあったのだが、土曜日はだいたいどんな週でもプラスになっていたし、夏競馬シーズンに入ってからはほぼ例外なく対前年比プラスだったから、これは実に衝撃的な結果。手元調べではなんと、5月2日以来、約4か月ぶりのことだった。

レースの方も、いよいよ最後となった3歳戦で、高額馬たちが次々と敗れて引退を強いられる展開に。

それ自体は決して今年に限ったことではないとはいえ、名門ノーザンファーム出身の馬たちが沈んでいくのを横目に、晩成が定着した日高繋養のスクリーンヒーローの子供たちが次々と最後の切符を掴んでいく様子を見ると、この先ますます分からないな、という気分になってくる*1

そして、極めつけは土曜日に札幌、日曜日に小倉で行われた2歳重賞で、思わぬ牝系の血が燃え盛った、ということ。

まず札幌では、SS産駒の白毛馬として人気を集めたシラユキヒメの孫娘、自らも白毛のソダシ(父・クロフネ、母・ブチコ)が2番人気に応えて札幌2歳Sを優勝。しかも同競馬場の2歳レコード更新、というおまけつき。

白毛馬の重賞ウィナーといえば、昨年レパードSを人気薄で勝利したハヤヤッコ(父・キングカメハメハ、母・マシュマロ)に続きJRA2頭目、ということになるのだが芝では初めて。そして、シラユキヒメ以来、この血統を長年大事にしている金子真人オーナー(金子真人HD名義)の所有馬として勝った、という点でも非常にドラマチックな結果となった。

で、その余韻がまだ残る中行われた翌日の小倉2歳Sでも再びドラマは起きる。

優勝したのは、これまた2番人気の牝馬・メイケイエールだったのだが、この馬は鹿毛ながら、母は白毛のシロインジャー、その母は人気のあったユキチャンでさらにその母は先ほどのシラユキヒメ、と3代続いた白毛一族の末裔である。

この世界では、それまであまり目立っていなかった牝系がちょっとしたきっかけで急に盛り上がりだし、気がつくとファミリーラインに記された馬名が太ゴシックだらけになった、ということも決して珍しいことではない。ただ、それが「白毛」という特殊なDNAを持つ「シラユキヒメ」の家系から出てきた、ということ、そして、この牝系をつないだ白毛の馬たちは、強かろうが弱かろうが、メディアでそれなりに大きく取り上げられて自分も大体知っている*2ということが、より感慨深さを増す。

この時期の2歳重賞戦が常に本番に直結するわけではないし*3、この先、彼女たちがずっとクラシックロードの舞台に立ち続けられるのかどうかも分からないが、特にソダシの白い馬体が躍動するのを見た時、自分は季節が変わったところで訪れた何かの「吉兆」のようにすら思えたわけで、このまま少しでも長く、この縁起の良い白毛の遺伝子を持つ馬たちがターフを賑わせ続けてくれることを願ってやまない*4

結局、メインの新潟記念でも1番人気・ワーケアが飛び、最後まで”波乱”のムードが色濃く残ったこの開催週。

唯一順当だったのは、札幌・ルメール、小倉・川田、そして新潟は福永、と、現在のリーディング上位3騎手がきれいに分け合う形で各競馬場のリーディング争いが決着したことくらいだっただろうか。

何となく本当の日常の戻りも見えてきた中で、こちらの方は来週以降もしばらく「無観客」が続くことになるが、それでもターフ上では様々な新陳代謝が起きている、ということに思いを馳せ、引き続き週末を楽しめればと思っているところである。

*1:ちょうど間もなく自分の所属クラブでも募集が始まる頃で、今年はディープインパクトキングカメハメハを手に入れられる最後の世代になりそう、ということもあって、1億円級の馬への投資(もちろん、自分が出資するのはその何百分の一、に過ぎないが)も本気で検討していたところだったのだが、1年後に同じような目に合うリスクを考えると、容易には手を出しにくくなったなぁ、というのが正直なところである。

*2:ユキチャンもブチコも、一度は見た目に釣られて馬券を買ったことがある。シロインジャーまではさすがにマークしていなかったのだけれど・・・。

*3:特にここ数年は、札幌、小倉の2歳Sに関しては、勝ち馬のピークは2歳秋まで、というのが定番のようになってしまっていたりもする。

*4:ちなみに、今週の2歳重賞を勝った2頭はいずれもノーザンファーム産で、2歳戦苦戦気味だった同牧場にしてみればようやく、といった感のある勝利だったと思われるが、そこで勝って今年の新種牡馬重賞勝ち1番乗り、となったのが「ミッキーアイル」だった、というのは、天下のノーザンといえど決して計算づくのことではなかったように思えてならない。

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