押し寄せる波に気づかない危うさ。

案の定・・・ではあるのだが、いよいよ最後の波が大きくなり始めた、そんな気がしている。

先月の終わり頃のエントリーで呟いた例のやつ。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

今のところは、まだ海の向こうの大統領の入退院劇だったり*1、海の向こうの偉大な日本人デザイナーの訃報だったり、と、今自分たちが住んでいるところには直接影響しない話題が取り上げられることの方が多いし、国内では「プロ野球のチーム内のクラスタ」とか「広瀬すず」といった有名どころの話がメインで、”身近な話題”という感覚は薄い*2

だから、それ以上にインパクトのあるネタ*3の前にはどうしてもかすんでしまうし、お国が率先して必死で”脱コロナ”アピールをしている現状ではなおさらだ。

だが、繰り返すなら、波は確実に押し寄せている。それもこれまで以上のインパクトで

7月、8月との比較で、感染者数の数字がそれほど増えていないじゃないか、という指摘もあるようだが、あの時は、まだ春先から続いた警戒心が残っていて、「夜の街」に代表されるような高リスクエリアの関係者が積極的に検査を受けていた、という背景がある(少なくとも東京都下では)。

ちょうどPCR検査もこれまでよりは受けやすくなっていた時期だし、何より症状が出れば「真夏に悪寒」だから、異常にも気づきやすい。

だが今は秋。そして急に暑さが涼しさ、寒さへと変わっていく季節の変わり目。

少々体調を崩しても「まぁそんなこともあるだろう」と思って油断しているといつのまにか・・・というパターンは十分考えられる時期でもある。

そして、一気に街に戻って活動を再開した学生たちは、昼の食堂街にも夜の居酒屋にもあふれている。

そんな様々な要素が絡まれば、”小さく”見えていた数字があるタイミングで突然跳ねる、とか、感染判明者全体の数字は小さくても、重症者・死者の数値の桁が変わってくる、といったことになっても全く不思議ではない。

既に出始めている経路不明感染者率の高い数字も、その予兆としては十分すぎるように思われる。

気になるのは、時に「過剰」と言われながらも、あれほど熱心に啓発を繰り返してきたメディアが、今回の波では完全に沈黙しまっているように見えること。

夏までは前面に出ていた小池都知事も、西村担当大臣も、専門家の方々の影も実に薄く、その代わりに飛び交っているのは「Go To」の掛け声ばかり

「経済を回せ」とか「ここで消費を活性化させないと事業者が立ち行かなくなる」とか、春先から念仏のように唱えておられる方々は多いのだが、自分の知る限り、飲食店も宿泊施設も、賢く切り抜けている事業主、事業者は、7月、8月の時点で、事業を継続していくための体制を十分整えていた。

訪れる人の数は減っても、削れるコストを削り、サービスの質は落とさず、結果的に満足度を高めてファンを増やす。

そんな素晴らしい対応を続けているところが、今の状況を乗り切り、コロナが明けた頃に一歩二歩抜けた存在感を示す。それで十分だったはずなのに、ここに来て「Go To」...

言うなれば、優れた生産者が、品種改良を重ね、少雨で乾燥しきった気候でも育てられる品種で頑張って作物を育てていたところに、機微に疎い天上人がいきなり恣意的に大雨を降らせ、「ほら、どうだい?今年もこれで収穫できるだろう?」とのたまわっているようなもので、この手の人工的な需要創出には、現場を混乱させて”根腐れ”を起こすことになりかねない、という危うさすらある。

さらに、キャンペーンに乗っかって全国に飛び散った人々の中から新たな感染発症者が出てきている、というのも既に報道されているとおり。

あくまで自己責任、とするむきもあるのかもしれないが、「Go To」をあたかも免罪符であるかのように人々に受け止めさせたのは、まさにキャンペーンの旗を振っている当局に他ならないのであって、当事者個人に非難を矛先を向けるのはあまりに気の毒、という状況もある。

このまま来年の五輪に向け、目の前の疫病のリスクからは目を背けたまま国全体が突っ走ることになるのか、それとも、あと1、2週間くらいで深刻な状況にまた逆戻りしてしまうのか、先のことを予測するのは難しいが、今、ただ一つ書き残しておくことがあるとすれば、

「Go To」は、政府公認のGoサインではない。

ということだろうか。

旅行でも飲食でも買い物でも、行くか行かないか、行くとしてどこに行くか、一人で行くか集団で行くか。それはすべて個々人のリスク判断に委ねられた選択だし、キャンペーンに載せられてハイリスクゾーンに突っ込んだ結果、何週間か後に苦しい思いをすることになったとしても、国も自治体もエージェントも、誰も責任を取ってくれるわけではないのだから・・・*4

そして何よりも大事なのは、これまできっちりと自分たちの仕事に徹して「経済」を下支えしてきた人々を、無秩序なキャンペーン、場当たり的な”景気刺激”施策の犠牲者にしないこと、それに尽きる、と思うのである。

*1:最近、あの大統領の話をすると「リアリティーショー」の主人公の一挙一党足に振り回される単純な視聴者になってしまうような気がして、いい加減やめておこうかという気分になっている。

*2:なぜ、セ・リーグパ・リーグもよりによって「追いかける」チームの方で主力選手離脱、という状況になってしまうのか・・・という無念さはあるが、仮に今首位を独走する巨人のレギュラー陣が全員新型コロナウイルスに感染してオーダー総入れ替えになっても、他のチームと互角以上の戦いはできるような気がするので(実際、開幕直前に離脱した選手がいても、見事なスタートダッシュに成功したわけだし)、結局は選手層の厚い薄いに起因する話に過ぎないのかもしれない。そして、千葉ロッテ集団感染の報に対しての感想はただ一言、「こんなところに出てくるな、鳥谷・・・」に尽きる。

*3:東証の市場ストップに始まり、日本学術会議から芸能人の訃報、吉報、著名アスリートの不祥事まで・・・。

*4:週末、人出でごった返す観光地の様子が伝えられる一方で、都内の名レストランはまだまだ閑散としていたりする。それはちょっとリサーチすれば気付く話だったりもするわけで、加えてこういう時は「多数派が取らない行動を選択したほうが何かと得である。」ということも心に留めておきたい(たとえば、ある程度の人数で飲み会をするなら1か月前、2か月前くらいがベストで、今やるのはほぼ自殺行為・・・とか)。

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