本当に大変なのは、たぶんこれからなのだろうと思う。

首都圏の緊急事態宣言解除を控えた週末。

心配された雨も土曜日のうちには降らず、気温も程よい感じ。

だからなおさら・・・だったのか、街の人出はいつになく多く、夕方過ぎの飲食店も、”ごった返す”という表現がしっくりくるような混雑ぶり。一瞬、「もう解除されるんだっけ?」と調べなおしたくなるくらいの状況だった。

もっとも、これは「宣言が解除されたから」というよりは、あまりに長すぎた「緊急事態の平常化」の影響によるところが多かったのかもしれない。

元々、今回の緊急事態宣言の発出に際しては、必要以上に「自粛」し過ぎた昨春の反省がかなり強めに出ていて、当初から「極力影響は限定的に」という腰が引けた当局のスタンスが垣間見えていたようなところはあったし、実際、年末から年始にかけて「どこまで増えるんだ・・・」とハラハラさせられた足元の状況は、

「飲食店 20時強制閉店」

という、事実上、今回の宣言下では唯一に等しい策を打ったことで劇的に改善されたのも確か*1

逆に言えば、それ以外のところでは、通勤はそれなり、ランチの人出もそれなり、休日も近場の行楽地やらお店やらではそれなりの人出、という状況がゆるゆると続いていたわけで、特に新規感染判明者数が落ち着きを見せた2月以降は、「飲食店の夜間営業」を除けば、宣言発出前と何ら変わらない、というかむしろ人々の動きが活発化したような印象すら抱くような状況だった。

それでも感染判明者数は横ばいにとどまり、重症患者数は減少して、医療機関の受け入れ態勢にも多少の余裕はできた、となれば、「緊急事態宣言を解除する」という判断自体は、まぁそれでよかった、というか、他に選択肢もなかったのだろう、と思っているところなのだが・・・


自分は、これが「終わりの始まり」などと言うつもりはない。

解除のタイミングが年度の変わり目、そうでなくても人が離合集散する時期と重なったことで、感染判明者数の数は少なからず増加することは予想されるが、昨年の日本が、そして世界中で同じような傾向が見られたように、これから気温が上がっていけばウイルスの勢いは自ずから収まっていくから、不運にも罹患してしまった方々の隔離と治療と行動追跡を辛抱強く続けていけば、致命的な事態にはならないだろうし、遅ればせながら日本に上陸したワクチンも、もはや「新型」ではなくなった2年前のウイルスの勢いを食い止めるには、十分役には立ってくれるだろう。

「0」にはならないが、かといって制御不能なレベルでもない、そんな状況で留まっている限りは、世の中普通に回っていく、ということは、緊急事態宣言下ですら証明されたことだから、表面的には何事もなく、週刊誌の記事に一喜一憂できる平和な日々が戻ってくるはず。

ただ、表向き、世の中が「日常」に近づけば近づくほど、「深刻な二極化」が顕在化してくるんじゃないか、というのが自分の懸念で、経済的な「格差」ならまだ政策で何とかできる余地があるが、

「変容した世の中に適合して、今やそれが『日常』になった人々」
(仕事はテレワーク、会議はWeb、通勤なし、飲み会なしのスタイルに適応した人々)

と、

「これまでの”変容”に対応できず、苦痛に感じていた人々」
「今が『日常』ではないと感じている人々」

との間の「格差」を埋めるのは、今や並大抵のことではない気がする*2

リスクとレピュテーションを過度に恐れる日本人の習性からすると、ネームバリューのある会社になればなるほど、「日常」に戻るといってもおそるおそる、ということになるだろうし、下手をすれば「変容」にかけた時間の倍以上の時間を費やすことになる可能性もあるが、かといって根本的なところで、「このままでいいじゃん」と頭を切り替えられるほど、さばけているわけでもない。

だから、これまで以上にモヤモヤした空気とイレギュラーな状況が続く、そんなことにもなりかねないだけに、特に中間管理職層の方々には、「心してかかられよ・・・」と申し上げるしかないわけで。

まず訪れる試練は、毎年恒例(だった)送別会か、はたまた職場の花見、か。

中間層にとっては、「若い奴らは仕方ないが、お前は来るよな?」的な、エライ人の手前勝手なカテゴリー分けにどう抗うか、という不毛な労苦も襲い掛かってきかねないわけで、今はせめて、GWくらいまでは心身ともに健康に乗り切られることを心からお祈りするばかりである*3

*1:一部で「なぜ飲食店だけが!?」的なトーンで抵抗を示すような論調もあったが、この2カ月ちょっとの状況に接すれば、”集団での飲み食い”以外の何かに原因を求める方がどうかしてる、とも思うわけで、昨年の春に少なからず影響を受けた他の業界、業種の関係者の中には「最初からこうすればよかったじゃないか」とか、「20時までと言わず、居酒屋を全面的に営業停止にしておけばもっと早く根絶できたんじゃないか」と思っている人も決して少なくないはず。自分も「飲食店」というアバウトなカテゴリー分けで、団体向け居酒屋だけでなく、個人、少人数客メインの店まで20時閉店にされてしまったことには強い違和感を抱いたものの、”ハコ系”の店に対しては逆にもう少し強い制約を課しても良いのではないか、と、未だに思っている。仮に補償金額を今の倍以上に増やしたとしても、ターゲットを絞って規制をかければ、全体では公費の持ち出しを減らすことができるはずだから。

*2:自分の場合、オフィスには毎日足を運んでいるし、打合せも基本は対面。昨年のうちは旅行にも何度か行ったし、飲み会も4人程度までならそれなりの頻度でやっていたが、その一方で、大人数の飲み会は断る、通勤時間帯の混雑した電車などもってのほか、というスタンスでバランスを取っていて、後者に関しては一連の新型コロナ禍がなくても「合理的じゃない、できれば避けたい」と思っていた側の人間でもあるから、そこまで元の世の中に戻ってしまう、ということになれば当然抵抗したくはなる。だから、仮に「この1年でオフィスに出たのは数えるほど」というスタイルでやって来た人に向かって、「企業の管理職の立場で『もうコロナ終わったからフル出勤で』と指示しろ」と言われたら、当然抵抗する。

*3:GW過ぎる頃には転職市場も猛烈に活発化していると思うので、「ああダメだ、うちの会社」と思ったら年代問わず、迷わず動くことをお薦めします・・・。

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