思えばこれは何度目の一歩目、だろうか。

そういえば、4月1日はエイプリルフール、と言われる日だった、ということに日が変わってから気付くくらい、余裕のない日常を過ごしているわけだが、そうはいっても世の中的には「新年度」。新しい人が新しい門出を迎えるタイミングでもある。

古い話になるが、自分が社会人になって一番感じたのは、

「一緒に机を並べる人々の世代の幅の広さ」

だった。

それまでの環境では、一番離れている、といってもせいぜい「中1」と「高3」*1、あるいは大学の新入生と長期留年生*2くらいの差で、離れているといってもたかが知れていたのだが、その意味で会社の環境は全く違った。

いろんなところに挨拶に行くと、必ず歳を聞かれて、お約束のように「若いねぇ」と言われる。そして、おもむろに生まれた年を聞かれて、次に出てくるセリフがこれだ。

「ああ○○年か、その頃、俺もう会社で働いてたな。」

その後には大概「もうそんな奴らが入ってくる歳になっちまったか俺は」とか、「俺もそろそろ引退だな(笑・・・っていいのか?)」的な、反応していいのかどうかよくわからないボヤキが続いて、新入社員一同大いに困った記憶があるが、とにかくまぁそんな感じだったのだ。

さらに言えば、自分の場合、(両親がnealy学生結婚だったこともあって)自分の生まれ年くらいに入社した方々、というのは、ほとんど自分の親と同世代だったりもしたから、相手を見つつ、トドメにその話をするかどうか、等々、最初の頃のあいさつ回りの期間だけで、対応力は随分鍛えられた気がする。

・・・で、何でそんな昔話をしているかといえば、もし仮に、今年「新入社員」として一歩目を踏み出す人に遭遇したとしたら、自分も、あの頃にかけられたセリフと同じことを言わねばならない世代になってしまったことに気付いたからである*3

時の流れの残酷さ、ああなんてこったい、と言いたくもなるわけだが・・・。


以前にも書いた通り、自分自身の「社会人一歩目」は、全くフレッシュさのかけらもない状態で、大学という閉ざされた環境でいろいろ背負ってきたものをようやく(でも不完全燃焼のまま〉おろしてきたばかり、疲弊感の極致、というような状況だった。

加えて四半世紀も前の、昔ながらの日本企業の昔ながらの育成手法だから、プロ野球で言えば、一軍の試合に出るどころか、ひたすらグラウンドでランニング、といった、現代の即戦力の若者なら3日経たずに逃げ出すかもしれない環境。いや、当時の自分ですら、「こんなところで何してるんだ俺は」と散々思ったものだった。

ただ、それが自分にとっては良いリハビリだったのは間違いなくて、ヘタをすれば30手前で燃え尽きても不思議ではなかったような状況で、今に至るまで飛躍的に”選手寿命”を延ばせたのも、まさにあの気だるい時間があってこそのこと。

もし、この日本にも真の「ジョブ型」が定着するようなことになれば、こんなエピソードもただのお伽噺になってしまうのかもしれないが、人生のピークをどこに持ってくるのが一番幸せか、ということを考えた時、「20代の無駄に思える時間」というのが実は凄く大事だったりするのかもしれないよ・・・ということは、今もなおフレッシュな気持ちで成長中(と勝手に思っている)一先達として、ここに書き残しておきたい*4

そして、「社会人」になってからもう何度目か分からないくらいだけど、目の前に「それ、私が生まれた年です!」と言い切るフレッシュパーソンが現れたとしても、自分にとっては、今日また改めて踏み出す一歩が、最初の一歩よりもはるかにワクワクするものだ、ということは自信を持って言える。


なお最後に、先ほど某ウェブメディアの企画(?)に乗っかってツイートした、#新人法務におすすめの本 を、過去のエントリーと合わせて紹介しつつ、このしょうもないエントリーの締めにすることとしたい。

いずれも、取り寄せてしばらく枕元に置いておいて損はない、そんな一冊だから、「新人」でいられる間に是非!

■『ビジネスパーソンのための契約の教科書』
k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

■『ビジネスパーソンのための法律を変える教科書』
k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

*1:12歳かそこらの新入生にしてみれば、大人一歩手前の18歳なんて雲の上の存在のように見えたのは確かだが、それでも同じ「生徒」であることに変わりはなかった。

*2:自分が大学に入った時は入学年次が10年くらい上の人が、なぜかまだ学部に残っていて、身近にいた院生を含めても「最長老」だったような気がするが、なぜかそれほど世代差のようなものは感じなかった記憶がある。まぁ、大学というのはそういう空間なのだろう、と思っている。

*3:環境が変わったおかげで、かつては必ず担当していたはずの「新入社員の相手」をしなくてすんでいるのが不幸中の幸いだが、もし環境が変わっていなければ、もっとザワザワした気分になっていただろう、と正直思う。

*4:個人的には、人生のラストに人生のピークを持ってきたい、というのがあって、この先何が起きるのかはお楽しみ・・・である。

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