現実になりつつある悪夢を目の前に。

これまでと同じように押し寄せてきた波、だがそこに一抹の不安を感じたのは気のせいではなかったのかもしれない。

誰が言ったか「勝負のゴールデンウィーク」。だがそれを超えても一向に収まる気配がない新型コロナ感染症の波は、「変異」という新たな武器を手に入れて、容赦なくこの国に襲い掛かってきているように見える。

あと数日で解除されるはずだった「緊急事態宣言」は、地域をさらに拡大して続行することがほぼ決定的な状況。

ワクチン接種のスピードも一向に上がらないまま、今回はこれまででも一番のレベルで職場内クラスタの発生の報も上がってきている。

世の中には、一年以上経っても未だに「感染判明者数」の数字の見方が分かっていない人がまだそれなりにいるようで、連休中の数字を見て「減ってる」とか「落ち着いてる」などと評価するつぶやきも見かけたが、東京都内では普通の平日の3分の1も行かないような検査数でこれだ、ということを考えると、明日からの数字が東京都で1,000人をコンスタントに超えてくるのはもはや避けられないと自分は思っているし、全国での数字が1月のMAX時超えの8,000人台、さらには1日1万人ペースに乗るのも、おそらく時間の問題だろう。

そうなると思い出すのが一カ月前のちょっとした呟き。

別にこの通りになってほしいと思っていたわけでは決してないが、「2019」という年に起源を持つこのウイルスは、我々が想像しているよりはるかに環境適応力が高く、進化のスピードも速い。

このままいけば、「英国」だ、「インド」だ、と言っている間に 、世界中に”Japanese variant”と高らかに報じられるような変異種が蔓延する日も、そう遠くないうちに訪れる。ああ何たる不名誉・・・。


そんな状況でも依然として「パラレルワールド」は健在で、今日の東証は何がとち狂ったのか日経225が2%近い大幅上昇を記録した。

確かに続々と発表されている各企業の1‐3月期決算は、前年反動もあって見かけだけは軒並み良い数字になっているし、固めの予想が功を奏して上方修正、コスト削減で浮いた利益を時流に乗せて増配、と、景気の良い話が続いている。

月の第1営業日、ということで今日続々と発表された4月の月次を見ても、明らかに「異常値」と言えるような対前年比200%、300%超えの数字が続々と・・・。

もちろん、前々年比で見ればまだ全然取り返せていない、という会社は多いはずだし、これまで調子のよかったスーパー、ドラッグストアといった業種は逆に反動減で、22年2月期、3月期の予想も弱気になっているところがほとんどだったりするのだが、トレンドとしては明らかに上向き。そして緊急事態宣言が出た後も、ほんの一部の業種を除けば、仕事の流れも止まることなく、むしろ加速しているんじゃないか、と思えるような感覚すらある。

だから、金も動くし、人も動く。電車の本数を減らせば人がホームにあふれ、酒類提供しないカフェや定食屋は、お昼時も閉店間際の20時頃になってさえも、空席を探すのが大変なくらいに混みまくる・・・。

だが、今の変異したCOVID-19というウイルスには、そんな不可思議な「共存」すら吹き飛ばすだけの勢いがある。

一番危険なのはこの週末。そしてここからの一週間。

この一年を振り返れば、どの分野の利害関係者にも良い顔をしようとした「八方美人」的な政策が、結果的により多くの業界にダメージを与える、という悪しきスパイラルの繰り返しだったような気がしてならない。

そして、だからこそ、ここからの1,2週間は、権力を行使できる立場にある方々が、たとえ一つ二つどこかの業界が吹っ飛ぼうと、本気で、徹底的に、リスクをかわすためのありったけの手立てを講じてほしい、と思わずにはいられない。

そこまでやって初めて結果的に救われる人、会社、業界・・・というものも必ずあるのだから、外野からのノイズなど気にすることなく、速やかに新たな対応フェーズに移管してほしい、というのが、今の切なる願いである。

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