人馬の世界の奥深さ。

そういえば最近、横道にそれたことしかブログに書いていない気もするのだが、月が替わっても最初の日は週末。ということで、引き続きその流れで・・・。

先週末にも書いた通り、この五輪ではライブで文字通り「生」の映像に触れることができる、ということで、メジャーな競技にも「日本選手登場」の触れ込みにもあまり目は止めず、普段は見られない競技の映像になるべく目を向けるようにしているのだが、特に今熱を入れて見ているのが馬術競技(Equestrian)。

大会の前半は、Dressageで一流選手たちが操る馬たちの華麗なステップに感心させられっぱなしで、特に団体、個人の二冠となったドイツのBREDOW-WERNDL Jessica選手とTSF DALERA号のコンビの整いぶりは予選から抜群だった。

そして、後半に入り、今日行われたのが総合馬術の2種目目、クロスカントリーだった。

会場は江東区大田区が帰属をめぐって熾烈な争いを繰り広げた埋立地エリア、海の森公園。

「全長4420mのコースを障害物を飛びながら走る」と聞くだけだと単純な話のようにも思えるが、コースに置かれた障害には、ShrineありStation Houseあり、下り坂での豪快なMt. Fuji Dropがあるかと思えば、池の中にもMt.Fuji Waterなる障害がある。

さらにSamurai Swordという日本刀を模した丸太障害が登場し、ゴール手前では”Bullet Trains”と名付けられた障害まで出てくる、ということで、どう見てもスポンサーの会社のものではない高速鉄道車両を模した障害が2つ並べられている*1

障害物の説明(IOCオフィシャルウェブサイトより):
https://olympics.com/tokyo-2020/olympic-games/resOG2020-/pdf/OG2020-/EQU/OG2020-_EQU_C03D_EQUOEVENINDV----------XC--000100--.pdf

個人的には、この23個の障害を眺めているだけでも十分ニヤニヤできてしまうのだが、加えて、これらの障害を散りばめたコースでレースが行われている映像を実際に見ると、息をのむような絵になる光景を度々目撃することができる

sports.nhk.or.jp

以前、欧州のどこかの国で行われていた大会では、いかにもヨーロッパらしい森の中、という感じのところでクロスカントリーをやっている映像を見た記憶があるのだが、今回のコースもアングルによっては、「これ本当に23区内?」と言いたくなるような緑深き森森としたビジュアルが登場するし、一方で、少し高台を走ればバックに映るのは東京湾とそれに沿って立ち並ぶ美しい建物たち・・・。

これぞ、山あり海あり大都会ありの東京の縮図だ!と言わんばかりのコースを人馬が颯爽と駆け抜けていくのが何とも気持ちよいことこの上ない。

この日のレースに関して言えば、最初にスタートしたタイのCHAVATANONT Arinadtha選手が池の障害でいきなり落馬する、というアクシデントから始まったし、途中では、メディアでも取り上げられていた4大会連続出場の大岩義明選手とCALLE 44号が中盤の障害を怖がって落馬失格となるシーンにも遭遇した*2

さらに、映像には「その瞬間」こそ映らなかったが、大岩選手の一つ前で走っていたスイス選手の馬(JET SET号)が、池の中の障害でアクシデントを起こして*3、しばらくレースが中断される、という出来事もあった。

いかに長年調教が施されているからといっても、自然に限りなく近い環境で動物を操って行う競技だから、様々なハプニングもアクシデントも起こり得る。

でも、そういったところも含めて味わうのがこの競技の魅力なのだろうし、難しいからこそ完全に御しきった選手には称賛の声をかけずにはいられなくなる(これは馬場馬術でも障害飛越でも同じ)のだと思っている。

そしてテレビ中継ではもちろん*4、仮に有観客開催だったとしても、「これ現地に行ったところで目の前で見れるのはほんの一瞬だけじゃん」というF1の応援状態で、ここまでにじっくりと満喫することはできなかっただろう・・・ということを考えると、今大会の「映像開放」*5の英断にはやっぱり感謝あるのみだな、と改めて思った次第である。

*1:英語実況を聞いていたらアナウンサーが普通に”Shinkan-sen”と連呼していた(笑)が、そのアナウンサー、日本に”Shinkan-sen”がいくつ走っているかご存じだったのかしら・・・?と。

*2:とはいえ一つ前で走っていたJET SET号のことを考えると、人馬ともに無事だったことだけでも何よりだとは思う。大岩選手ご本人が試合後に「スタート前の練習中のアクシデントで馬が怖がってしまって本来の走りができなかった」と、悔しさを押し殺した馬への愛が伝わるツイートをされているのも拝見して、なおさらそう思ったところはあった。

*3:結局、靭帯損傷で安楽死処分となったことが発表されている。

*4:今大会ではJRA所属の戸本一真選手がここまで上位につけているので、もしかしたら地上波の中継がちょっとは入る(入っていた?)のかもしれないが、それでも限られた放映時間(しかもどうしても日本選手にフォーカスされやすい)の中では、上手な選手もそうでない選手も両方眺めながら優雅に・・・というわけには到底いかないだろう。

*5:時代とともに変わるもの、変わらないもの。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~参照。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html