依然止むことのない新型コロナの波にも動じることなく続いている夏競馬。
そろそろ3歳世代は、未勝利戦がラスト数週、という状況になってきて、レースで敗れてそのまま引退発表、という悲しいお知らせを目にすることも多くなってきた。
残念ながら自分も、この世代の持ち馬は3頭中2頭が依然として未勝利脱出できず、という状況だけに、半ば腹をくくりつつも、「最後の切符」を掴むチャンスが巡ってくることを願い続けている*1。
一方で、エリートクラスの馬たちにとっては、古馬との本格的な対決に突入し、まだ「2歳」だった1年前からの大きな成長を見せつける時期でもある。
例年話題になる「今年の3歳は強いのか?」というテーマに関しては、自分はまだ確たる心証は持てておらず、下級条件では、クラシックのステップレースで好走していた馬が順当に勝ちぬけたレースもあれば、今週の阿賀野川特別(2勝クラス、新潟芝2200m)*2のように、この夏好調で人気も上位を独占していた3歳馬たちが、7歳馬モクレレ*3の前に蹴散らされる、といった事件も起きる。
牡馬・牝馬共に1頭だけ力が抜けていた昨年の3歳世代よりは、混戦で多くの馬が「勝ち味」を知っている今年の方が過去の例で言えば世代全体のレベルは高い、ということになりそうな気もするのだが、秋まで見ないと分からないところはあるのかもしれない。
ただ、こと今週の「トップレベル」のレースに関しては、3歳馬の独壇場、だった。
まず小倉のメイン、北九州記念(GⅢ)。
ハンデ戦とはいえ、人気になったのは重いハンデを背負った6歳馬ジャンダルム、そしてGⅠ馬・モズスーパーフレア。
スタートする時点では、1~4番人気までは古馬が固める、という状況だった。
それが蓋を開けてみれば、雨の降る稍重馬場で、最後の短い直線を力強く差し切ったのは、黒鹿毛の3歳牝馬・ヨカヨカ。
珍しい熊本産馬としてデビューするや否や、怒涛の3連勝で小倉を沸かせたのはちょうど1年前のこと。
それ以降、GⅠレースでこそ思うような結果は出せなかったものの、葵Sで2着に入って狙いをスプリントに定め、古馬との戦い2戦目にしてこの勝利、というのは実に痛快な光景だった*4。
そして、その20分後、今度は札幌のメイン、泣く子も黙る夏のオールスター、札幌記念(GⅡ)で主役を張ったのは、純白のソダシ、だった。
香港のGⅠをひっさげて参戦したラヴズオンリーユーが圧倒的1番人気となっている中で、斤量52キロと恵まれたにもかかわらず単勝2番人気に留まっていたのがこの桜花賞馬で、おそらく距離が2000mと比較的長いことも人気を落とした理由だったのだろうが、ゲートを出てみたら先行してしっかり折り合いを付け、後続を封じて堂々の優勝である。
3歳馬の勝利はハープスター以来、ということで、この次のレースが凱旋門賞だったらどれだけドキドキしただろう、とも思うが、倒した相手が骨っぽかっただけにこれからの期待もさらに膨らむわけで、年内日本でレースに出てくれる、ということに感謝すべきなのだろう。
ということで、期せずして北の白、西の黒、と色調も鮮やかに重賞を制した3歳馬たち。
もしかしたら、世代的な強さ、というところを超越して、むしろ「世代が変わっても牝馬は強い」ということを知らしめるような結果だったのかもしれないが、いずれにしても本格的な秋シーズンに向けていろいろと期待や想像は膨らむ。
このコロナ禍でもまだまだ続く楽しみが得られたことに感謝しつつ、この先のことにちょっとでも思いを馳せられれば、と思うところである。
*1:この時期の未勝利戦は、当然ながら「何としても最後の勝ち抜けを」という馬たちが殺到するので、下手をすると出走できないまま終わってしまう可能性もある。どうせ引退するにしても最後は最適な条件で走る姿を見せてほしい、というのがオーナーとしての切なる願いだったりもする。
*2:かつてはユーキャンスマイルも勝った3歳上がり馬の出世レースの一つである。
*3:あのアパパネの初仔で、デビュー当時は期待されていたから本来の実力を発揮した、といえばそれまでなのだが・・・。
*4:同じように追い込んできたシゲルピンクルビーは惜しくもモズスーパーフレアにハナ差届かない4着だったが、ここの順位が逆転していたら、馬券的にもさぞ面白かっただろうと思う。