雨に泣く者、笑う者。

「秋の空(模様)」と言えば、移ろいやすいものの喩えとして使われるくらいあてにならないものではあるのだが、こと、長年この9月の中~下旬に行われてきた菊花賞トライアル、神戸新聞杯に限って言えば、”雨の中のレース”になった記憶はほとんどない。

実際、netkeibaで遡れるだけ遡って調べてみても、過去20年でレース中に雨が降っていたのは、サートゥルナーリアが勝った一昨年と、マチカネフクキタルが勝った14年前だけで、その時も芝の状態は「良」。

湿った馬場で行われたレース、となると、重馬場で行われた「1988年」まで遡る必要があるし、「不良」馬場となるとさらに3年遡って「1985年」まで歴史をひもとかなければならない。

だが、今年に限って、そんな「特異日」のレースが、猛烈な雨の中、ひどく荒れた不良馬場を舞台に行われた。

前日は好天の中、良く仕上がった芝の上で2歳レコードが連発されていた中京の馬場が、この日は逆に足抜きの良くなったダートで2歳レコードを出すような状況で、たった一日でここまでガラリと状況と変わることはそうあるものではないのだが、よりによってそれがダービー馬の秋初戦のレースに当たってしまった、というのが、あらゆる関係者にとっては何とも不運だったというほかない・・・。

自分はこういう馬場の時は、不良馬場勝率のデータを頼りに、馬柱の中にキズナ産駒、バゴ産駒がいないかをまず探す。そして見つけたらその馬自身の、重馬場、不良馬場実績を確認する。

そのルーティンに則れば、今年は迷わずステラヴェローチェ一択

芝の不良馬場で勝率10%を超えるバゴ産駒の上に、自身も昨年のサウジアラビアロイヤルカップを不良馬場の中圧勝した実績がある。
さらに、その重賞実績に加えて、朝日杯FS2着、皐月賞、ダービーでも、ともにしぶく3着に食い込んでいるのだから、「主役」としても申し分なし。

そんなふうに自分ですら簡単に辿り着ける答えなのだから、ちょっとでも競馬がわかっている人なら、大方同じことは皆考えたはず。

だが、この日一本被りの人気になったのは、なぜか、ダービー馬・シャフリヤールだった。

もちろん、ディープインパクト産駒が皆、重・不良馬場が苦手、というわけではなく*1、この日、東のメインで苦杯を喫したレイパパレのように、重い馬場の方が冴える馬だっていないわけではない。

ただ、荒れた馬場を走れるディープ産駒には母系の血筋なり、体型、走法なり、何らかの裏付けが必要、というのが自分の考えで、シャフリヤールに関しては、そういったプラスの要素がまるでなかった*2

なのに、人々を無謀な買いに向かわせてしまう「ダービー」というタイトルの重さ・・・。

残酷なまでに「法則」そのままの結果となったことは、改めて説明するまでもない。


今日、この「トライアルレース」に出ていた馬の中から最後の「一冠」に向かう馬が何頭いるのかは分からないが、これまで横山典弘騎手、吉田隼人騎手、と、玄人好みの名騎手たちが乗り継いできたこの馬が、ここで重賞を勝って、菊花賞の主役にも躍り出た、ということはもちろん喜ぶべきことだと思う。

ただ、自分はそれ以上に、バゴ産駒のとてつもない不良馬場適性を証明できた、ということもまた大きいと思っている。

来週はいよいよ悲願の舞台。

昨年は不良馬場、そして今年も来週末の現地の天気予報は雨マーク。
いつも通りなら、どうやったって馬場は「重」か「不良」に決まっている*3

ロンシャンの芝が、日本の「不良馬場」と比べてもさらに一段二段重い馬場だ、ということは、これまで跳ね返されてきた陣営から散々聞かされてきたコメントではあるのだけれど、今年刺客として送り込むのが、日本が誇る道悪巧者の血筋、キズナ産駒、そして、まさに凱旋門賞覇者の血を引くバゴ産駒だ、というところに自分は一筋の光を見ている。

そして、後から振り返った時に、この日極東の島国で行われたささやかな3歳GⅡ戦が凱旋門賞を制した新女王への最高のはなむけだった、という結末になることを自分は願ってやまないのである。

*1:そもそも産駒も自身も不良馬場を苦にしないキズナは、他でもないディープインパクト産駒である。

*2:全兄のアルアインなどは比較的荒れた馬場のレースでも走るイメージはあったのだが、改めて戦績を振り返ると、大敗を喫した菊花賞をはじめ、雨の中のレースでは一度も馬券に絡んでいない。

*3:こちらは神戸新聞杯とは異なり、過去10年で良馬場は5回しかない。そして、その「良」馬場にしても、日本の馬場と比べたら、比較にならないくらい「重い」ことは、勝ちタイムを見れば一目瞭然である。

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