まだ、終わってはいなかった。

オリックスの大逆転サヨナラ劇で幕を開けて以来、連日白熱した試合が続いた今年の日本シリーズ

2点差以上付いたのはわずか1試合だけ*1。あとは第3戦以降、どっちに転んでもおかしくない展開で舞台を東京ドームから神戸に移して4試合。

最後の第6戦も、無双・山本由伸投手が9回141球、11奪三振でわずか1点に抑えたかと思えば、対するヤクルトも意地を見せて7奪三振の高梨投手の力投から細かくつないで結局、リミット限界の延長12回まで突入。

8回、山本投手が山田(哲)選手からのクリーンナップを圧巻の三者連続三振に取った後、1番から始まる打線でオリックスがきっちり点を取っていれば*2、おそらく日曜日まで続いていただろうが、そこで突き放し切れなかった結果、最後はベテラン・川端慎吾選手の意地の一振りと、3イニングまたいだマクガフ投手の魂のピッチングでヤクルト勝利。

チームとしては20年ぶり、セ・リーグのチームとしても2012年の読売以来、実に9年ぶりにヤクルトスワローズが覇権を奪回する、という形で幕を下ろすことになった。

ちょうど1年前、読売の見るも無残な4連敗(2年続けて8連敗)の惨劇を見た時に、もうこれはこのタイトル戦自体の意味がなくなってしまったのではないか、と感じたことは今でもちゃんと記憶に残っている。

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そして、例年とは顔ぶれがガラリと変われど、セ・パ両リーグ優勝のタイトルを引っ提げて順当に大舞台に出てきた今年の両チーム対戦がワンサイドで終わるようなことになれば、「終了」の予感も確信の域に達するはずだったのだが・・・


「初戦必勝」の教えが染みついていたはずのヤクルト*3が、守護神を立てて衝撃的なサヨナラ負けを喫した時、今年もこのままパ・リーグ代表がずるずると勝ち続けるのでは?という予感はした。

それに、個々の選手の力で見れば、山本、宮城という投の2枚看板に、福田から宗、吉田(正)、杉本と続く切れ目のない上位打線まで、オリックスの方が圧倒的に迫力があったし、実際、それぞれの選手も大舞台に飲まれることなく持てる力のかなりの部分は発揮できていたような気がする。

それでもこういう結果になったのが、それに続く選手たちの層の厚みの差によるものなのか*4セ・リーグ代表以上に大舞台慣れしていなかったパ・リーグ代表の”若さ”によるものだったのか、あるいは、多くの人々が忘れているが球団名には微かに残っていたバファローズ”の悲劇的な運命ゆえだったのか・・・*5

スコアだけ見れば”白熱”でも、失点の裏には四球あり、失策あり、継投ミスあり・・・という展開だったから、口悪く言えば、場慣れしていない者同士の”どんぐりの背比べ”だったからこその拮抗だった、ということになるのかもしれない。

ただ、それまでさして関心のなかったチームでも、「1対1」の対決を何試合か見ていれば、それぞれのチームのパターンも、監督の好みも見えてくるわけで、そこから俄かにどちらか一方に肩入れして応援したい、という意欲もわいてくる。

そう考えると、この70年以上続いている舞台にも、まだまだ存在意義はあるような気もするわけで、来年、再び元の木阿弥にならないことを祈念しつつ、行方を見守ることにしたい*6

*1:それも、両チーム先発の高橋奎二投手、宮城投手が投げ合い、8回にようやくヤクルトが先制しての2‐0だから、決して大味な試合ではなかった。

*2:2番・宗、3番・吉田(正)の連打で格好のお膳立ても整っていたのだが・・・。

*3:野村克也監督時代の日本シリーズは敗れた1992年も含めて全て第1戦勝利。若松監督時代の2001年も第1戦は勝利で飾っていた。

*4:何だかんだ言っても、名手・坂口選手や嶋捕手をベンチに置き、田口投手を中継ぎで使える選手層はさすが在京人気球団、と思うところはあった。

*5:こんなことを書いてはいるが、自分も最終第6戦で改めて「そういえば・・・!」と思い返すまでそのことをすっかり忘れていた。どちらかといえば2013年の楽天の優勝で新しい歴史の扉が開かれたと感じた元近鉄ファンは多かったと思うし・・・。

*6:個人的には、故・野村克也監督の存在感が再び浮き彫りになるような「楽天対ヤクルト」みたいなカードか、あるいは鉄板の「阪神対新庄・日ハム」だろうと思ったりもしているのだが、現時点では妄想の域を出ていない。

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