「流れ」の恐ろしさを知った日。

どんな物事にも、流れというものが必ずある。

そしてひとたび大きな流れができてしまうと、それに逆らうのは難しい。

今日、マリンスタジアムで佐々木朗希投手が軽く投げるボールをバットに当てるだけで精いっぱいだったオリックスのバッター達は、それを嫌というほど感じさせられただろうし、それと平行して開催されていた中央競馬の世界でも、”悪い流れ”に呑み込まれて嘆き節、となった人々は実に多かったはずだ。

春のクラシック第1戦、牝馬一冠目の桜花賞

チューリップ賞1着馬が人気になったら切っとけ、が鉄則のレースだから、どれだけ人気を集めようが、大外枠で1番人気に祭り上げられてしまったナミュールに賭ける手はないレースだった。

だが、データ的にも例年の傾向からしても、戴冠に最も近いと思われた2歳女王、名門千代田牧場生まれのサークルオブライフが、最速の上がり(33秒3)を記録しながら3着馬にクビ差及ばない敗北を喫し、同じく2歳GⅠで結果を出し、近年流行りの「直行」を選択したラブリイユアアイズに至っては先行するも大沈没して最下位18着。

2歳GⅠ3着から慣らし運転の前走を経て、きっちり体を絞って参戦したウォーターナビレラこそ、武豊騎手の好騎乗で勝利まであと一歩のところまで近づいたもののそれでも2着が限界で、目の覚めるような切れ味で最後に同馬を交わし去って勝ったのは何と、これまで重賞2着が最高のスターズオンアースだった。

そういえば、ナランフレグ、ポタジェ、と、これまで堅実だが今一歩だった馬がGⅠで重賞初勝利を飾る、という流れが今春2週連続で続いていたではないか!と気づいても後の祭り。

「重賞2着」がチューリップ賞フィリーズレビューならまだしも、フェアリーSクイーンCを勝ちきれず、さらにそこから桜花賞へ直行、というローテを取るような馬は、例年なら検討の対象にもならないところだが、それが勝ってしまうのが今のトレンドだとしたら、来週からまた馬柱を見る目を新たにしなければならない、ということになるだろう。

他にも、変な流れに巻き込まれてしまっているのが横山武史騎手で、レシステンシアの”逃げ失敗”に始まって、エフフォーリアのまさかの敗戦、そして今週のナミュール、と、同じ勝負服で3週連続、GⅠでの1番人気を裏切る(しかもただ負けるだけではなく、馬券にも全く絡めない)というこの流れはかなりのマイナス。

もちろん、それぞれの馬にも負けた理由を求めることはできるし、騎乗した競馬場が中京、阪神とホームコースではなかったことも、まだ若い騎手には酷な材料だったのではないかと思うのだが、それでもこれだけひどい結果が続くと、せっかく築きかけた”ノーザンファーム主戦”の地位もどうしても揺らいでしまう*1

来週も、今年は傑出した馬が不在で何が起きるか分からない皐月賞、という舞台での戦いになるだけに、この流れがもう一度、ということになる可能性も全く否定できないのだが、馬連の配当に5ケタ、5ケタ、4ケタという数字が並び、ワイドですら一度も3ケタの数字が出ていない、という状況がずっと続いてしまうと、せっかく参入してきたライトなファンに”小さく当てる楽しみ”が伝わらないじゃないか、という思いもあるだけに、再びの波乱を心の片隅でかすかに期待しつつ、どこかで”お約束”のような流れが戻ってきてくれることも願っているところである。

*1:それでもコンスタントに乗れる機会がまだまだ予定されているだけ、今週まで騎乗することすらできず、騎乗したらしたでナミュール以上に大敗、というルメール騎手よりはまだマシ、ということになるのかもしれないが・・・。

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