空前の「国内旅行」ブームとその先にあるもの。

今年はすごいことになるだろうな、というのは何となく気付いていた。

土曜日の日経紙の記事より。

国内の観光需要が回復している。21日に発表した国内航空11社のゴールデンウイーク(GW)期間中の予約人数は、国内線の予約客の合計が245万人と前年同期比で23%増えた。国際線は8社の合計で36万人と約3倍になった。」(日本経済新聞2023年4月22日付朝刊・第3面)

今思えば、去年のGWも、「久々の緊急事態宣言下ではないゴールデンウィーク」ということで、当時の感覚では随分と人が動いていた気がしたし、実際それは旅客数のデータにも表れていた*1のだが、今年はさらにここから大幅増となるだろう、というのが、現在のほぼ確実な見通しである。

そう、新型コロナ禍下を約3年もの間過ごしてきた人々は、とにかく消費することに飢えているのだ。

そして、不運にも29日が土曜日と重なってしまったために、海外にまで足を伸ばすには少し体力がいる今年の曜日配列は、まさに「国内旅行のための黄金週間」である。

「コロナ前」は、国内のホテル・旅館のバカバカしいくらいの高価格設定を敬遠して、「それなら海外の方がよっぽどマシ」と羽田から早々に飛び立っていった人々も、「今年まではまぁしょうがない」という感覚で、でも、今の世の中の雰囲気でどこにも行かないのはさすがに耐えられない、と”近場”の国内観光地で妥協する。

そんな行動パターンが積み重なった結果生まれた、”かつて”を彷彿させるようなホテル・旅館の価格帯の高騰。5月の連休ピーク時は飛行機も鉄道も予約はまぁまぁ取りにくい。

ここ数年、さんざん苦しい目にあわされてきた国内観光業界にしてみればまさに待ちに待った瞬間の到来だし、腕まくりして観光客を迎える準備を整えている方々に向かって、「なんて暴利な・・・」などと言うつもりは全くないのであるが・・・


自分は、初めて新型コロナに直面した2020年から、夏、冬、ゴールデンウィークと、どこかしかには「旅」に出かけていたし、多くの人々が”自粛”してこもり気味になる中、リスクを取って大いに恩恵を受けた側の人間でもある。

昨年末にはワクチンの「接種証明書」を引っさげて、とうとう海外への旅まで解禁してしまった。

だから、今の突発的”インフレ”の状況はどうしても冷ややかな目で眺めてしまうし、ピーク時は海外に行くか、あるいは家の近所でじっとしている、という「コロナ前」の常態を早くも取り戻そうとしている。

それでもなお「旅に出る」という人々を止めたり揶揄するつもりは毛頭ないのだけれど、「他の人たちの動きを見ながら動く」という悪しき日本人の象徴のような精神で出かけて行って、果たして得られるものがどれほどあるのか。そして、その”コスパ”を考えた時、GWの最終日を後悔せずに終わらせられるのか、というのはちょっと引っかかるところである。

また、これまで日本の観光業界を支えてきた人々であれば、今年のブームも決して一過性のものでは終わらせず、さらにその先へつなげることまで意識されてはいるだろうが、その願いが果たしてかなうのかどうか。

もう少し状況を見た上で、未来への想像力を改めて働かせたいな、と思う2023年春、である。

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